第325話 王としての振る舞い

 復興作業を進めていくうち、ショウも前向きになり、いつも通りリョクと一緒に笑顔を浮かべるようになった。


 雷龍様も特に暴れたりせず、大人しくステラの料理で買収されていた。


 こうして復興作業は、順調に進んでいった。


 その間も、オレは頻繁にノアールと通話する。娘のことを攻略するか、しないか、その問題を棚に上げてではあったが……


 そんなこんなで、復興作業をはじめてから、1ヶ月近くの月日が過ぎた。



『それじゃー、おやすみなさい♡パぁパ♡だぁいすき♡』


『う、うん……おやすみ、ノアール……』


 プツ。


 通話を切った後、


「やばい……」


 オレは1人、テントの中でつぶやく。


 攻略スキルの画面を眺めてのセリフだった。


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ノアール

 好感度

  88/100

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 ノアールの好感度がどんどん上がっていく。


 電話してるだけなのに、


 攻略さんがなにも仕事してないのにだ。


『……サボってるみたいな言い方しないでください』


『あ!お久しぶりでっす!』


『……』


『これ、どうするべきだと思います?』


『そんなの知りませんよ、好きにすればいいじゃないですか』


『な、なんでそんな冷たいんですか……』


『……』


『ひどい……』


『……』


 しゅんとして見せるが、攻略さんからは返答はない。攻略さんがオレの相談相手になんて、なってくれるはずもなかった。


 でも、こんなしょうもない会話をしてくれることがちょっと嬉しい。なんだか、攻略さんとも距離が近づいたような気がするからだ。


『勘違いしないでください』


『あ!ツンデレですか!?』


『……』


『ごめんなさい……』


『あんまり調子乗るとアドバイスしませんからね』


『はい……』


 この日は、攻略さんに釘を刺されてから眠りにつくことになった。



「我らが王よ!」


「……」


「ライ殿!」


「なんすか?」


 明け方、作業が始まる前にジャンのアホが笑顔でやってきた。


「王宮の準備ができたので!今日からそこに入られよ!」


「いやだが?」


「なんと!?みなが王のために準備したというのに!あまりに薄情ですぞ!」


「……とりあえず、王になるかどうかはおいといて、オレはそんな豪華な場所に住む気はない。せっかく準備したっていうなら、みんなの仮の住処とか、休憩所として解放しろ」


「な、なるほど……庶民的な暮らしを望まれると?しかし、王である人物が普通の家に住むというのは……レウキクロスの邸宅くらいでしたら大丈夫ですかな!?」


「ん?オレたちが住んでた屋敷のこと?」


「はい!」


「まぁ……あれくらいなら……」


 あの屋敷も十分贅沢ではあったが、まわりに似たような家もあったし、金持ちの貴族くらいの家なら住むにはいいかなと考える。家族も多いことだし。


「では!すぐに用意を!」


「待て」


 オレは、笑顔で踵を返したジャンを呼び止める。


「はっ!」


 あいつはすぐに戻ってきて膝をついた。

 こういう服従ポーズもまじでやめてほしい……

 それよりもだ。


「オレたちが家に住むのは最後でいい」


「それは?どういう意味でしょうか!」


「避難民のみんなが落ち着いて住む場所を手に入れてからでいいって言ってんだ」


「………王よ……」


 ジャンが顔を上げて、心底感動したような顔を向けてくる。


「王じゃない」


「今のお言葉をみなに伝えてきます!」


「おい!やめろ!!」


 オレの静止を聞かず、ジャンは嬉々としてかけていった。


「最悪だ……」


「キミが王様らしいことを言うからだろ?」


「そうかぁ?」


「いや、どちらかというと王様らしくはないのかな?普通の王様なら、復興作業で身体は動かさないし、豪華な家に住んで踏ん反り返ってるか」


「そんな王は滅んでしまえ」


「はは、過激なこと言うなぁ。でも、キミの考え方は立派だと思うよ」


「なんだかなぁ…別にそんなつもりないのに…」


「……カッコいいと思う」


「はぁ?」


 クリスのことを見ると、なぜか頬を染めていた。


「なんだその顔……」


「ぶっ飛ばすぞ?」


「ごめんなさい…」


「……今晩、キミのテントに行ってもいいか?」


「……え…いいけど」


「じゃあ、今晩ね……」


 クリスは照れた顔のまま、持ち場に戻ろうとする。


「待て」


「なんだよ?」


「何をしたいかハッキリ言えよ」


「……サイテー」


「い、言わないと、してあげないぞ……あ、テントには来ていいよ。2人っきりにはなりたいし」


「……キミって……へんたい……」


「いいから、はよ言え」


 オレが催促すると、クリスがジト目の赤い顔で近づいてきて、耳元で囁いた。


「……カッコいい王様に愛してもらいたい…」


「……ごくり」


「なんか言えよ……」


「おまえ最高かよ……」


「ばか……」


 そう言い残し、踵を返して聖騎士隊のところに戻っていくクリスのことをジッと見た。

 女になってから、聖剣としての衣装も少し変わったように思う。なんだか身体のラインがハッキリしてるような。


 うん、いいケツだ。今晩が楽しみである。



 復興作業を終えた後、空が暗くなってから、オレはそわそわとあいつのことを待っていた。


「来たぞ……」


「おう……」


 テントの外からクリスの声が聞こえたので、開けてやる。


 湯上がりのようで、タオルを肩にかけてクリスが入ってきた。服装もティーシャツ短パンでラフな感じだ。


「……色っぽいじゃん」


「あ、ありがとう?」


「なんだそれ…」


「キミのほうこそ…」


「ごくり……なんか久々な気がするな……」


「だね…お互い忙しかったし…」


「オレは、何回かそれらしく誘ったつもりだけど…」


 そう、実は度々こいつのことは誘っていたのだ。夕食は一緒に食べてたわけだし。


 でも、なんだかんだで、はぐらかされ続けていた。だから、クリスとするのはかなり久々だった。


「僕にだって聖剣としての立場があるんだぞ?仲間の目だってある」


「でも、じゃあなんで今日は来てくれたんだよ?」


「ティナさんが認識阻害使えるってこの前聞いたから」


「あ、そか、知らなかったのか。ごめんな、我慢させて」


「いや……べつに…我慢とかじゃないけど…」


「む、素直にならないとしてあげないぞ?」


「意地悪だよね、キミって」


「なんかおまえはいじめたくなる」


「やってみろよ、ばーか」


「はぁ?こっちこい!」


 グイ。


 オレはクリスのことを引き寄せ、腰を抱いてやった。


「きゃっ!?」


「へへ、かわいい声だしやがって」


「野盗かよ、野蛮人」


「うっせー」


 ちゅ。


 オレはクリスに優しいキスをしながら服を脱がしていく。下着姿にしてやった。


 今日は黒レースの下着だった。大人っぽいクリスに似合っててグっとくる。


「野蛮人のくせに、キスは紳士的じゃん」


「だからうっさい。んー、おまえはオレに対する態度がなってないな。お仕置きしてやろーか?」


「はぁ?なんなのキミ?」


「とりあえず、誠意を見せてもらおうかな。おまえから誘ったんだし」


 オレは服を脱いで、ゴロンと寝転がる。


「なにしてんの?」


「またがれよ」


「……やだ」


「オレと反対の方を向いてまたがれ」


「だからやだって!」


「ならしてあげない」


「……」


 しばらく目をつむっていると、のそのそとクリスが動く音がする。


 目を開けると、素晴らしい光景が広がっていた。


 クリスのセクシーな下着が目の前にある。


「ふーん?」


「な、なんだよ?」


「べつにー、期待しててくれたんだなって」


「うっさい……」


「じゃ、なにするかわかるだろ?してよ」


「……わかんない」


「じゃあ、オレからしてやるよ。真似すればいいからな」


「な、なにを……ひゃ!?」


 オレが顔を近づけると、クリスがまたカワイイ声を出す。


 オレはしばらく楽しんだあと、クリスのことを再度促した。


 すると、やっと観念して奉仕をはじめてくれる。


 よしよし、今日はたっぷりといじめてやろう。

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