第310話 聖剣様を堕としたい
ハーレム、ハーレムしたい……
リリィと結婚したばかりのオレは、自室のベッドで寝転びながら、そんな節操のないことを考えていた。
結婚したばかり、とはいっても結婚式から2週間は経っている。
この期間、オレは剣の修行をしたり、リョクたちのテントにいって適当に稽古をつけたり、妻たちとイチャイチャしたりして過ごし、幸せを満喫していた。
しかし、何か目的を持って動いているわけではない。だから、次なる目標を掲げるにはいい頃合いだと思う。
うん、思うったら思う。
だって、なにかしら目標があった方が楽しいじゃん?
本来なら、次の町に冒険に出かけるところだが、雷龍様から「半年は無理するな」、と言われてるし、クリスを置いてレウキクロスを出ていくのも気が向かない。
あいつがついてきてくれるならそれで万事解決なのだが、何回話しても「聖剣の役目は捨てれない」、という回答だった。
だから、あいつと一緒にいる方法は考えつつ、他の目標についても考えていくことにする。
つまり、ハーレム、ハーレムだ。
オレはこの異世界にハーレムを作りにきた。
今回、棚ぼた的に、金髪オッドアイ美人のクリスという嫁を新たに加えることができたのだが、ホントにこれは予想外だった。
だから、クリスをハーレムに加えたら何をしてやろう、なんて妄想も全然してこなかった。しかし、時間ができた今は違う。
ハーレムしたい、クリスを加えて。
うん、翻訳すると、嫁全員7人を同時に抱きたい。
「7人……7人か……」
考えただけで鼻血が出そうになる。
「7人……オレのベッドだと小さすぎる気がするな……」
独り言を呟きながら、ぽふぽふとベッドを叩いて確認するが、オレのベッドはセミダブルくらいのサイズで、とてもじゃないが7人+オレが乗ることはできなそうだった。
「ふーむ?」
だとすると、特注してデカいベッドを買うか、2台のベッドを並べるかしないとだな?
「たしかにな、天才か?」
オレは自問自答しながら、イカれたアイデアを実現すべく頭を悩ませはじめたのであった。
♢
「もぐもぐ」
オレは一日中ハーレムについて考え、結局のところ、空き部屋からベッドを一台拝借することに決めた。明日にでも自室にこっそり持ってこようと思っている。
「今日もステラさんのご飯は最高だね!」
「うふふ♪ありがとうございます♪」
隣のクリスが嬉しそうに箸をすすめていた。
今は夕食の時間、クリスのやつは、仕事がある日でも、朝と夜はうちの屋敷に足を運び一緒にご飯を食べることにしている。
今日は平日なので、聖騎士の仕事帰りのクリスを含めて、全員で夕食を食べているところだった。
オレは、みんなのことをひっそりと観察する。もし、オレがハーレムしたいって言ったらどう反応するだろう?
うーん、ソフィアとティナ、この2人はまた反対するような気がする。
リリィ、ステラ、コハル、ミリアはたぶん大丈夫だ。お願いすれば許してくれると思う。
クリスはどうだろうか?
隣の金髪をじっと見た。
「ん?なんだよ?」
「じー……」
こいつもイヤだって言う気がする。それか、恥ずかしいからダメだって言うだろうな。うん、すんなりいいよ、とは絶対言わないだろう。
「なに見てるんだよ?」
「クリス」
「なんだ?」
「今日もおまえは可愛いな」
「ぶふっ!?な、なんだよ急に!?」
「おい、お行儀よく食べなさい」
「キミが突然変なこと言うからだろ!」
「別にいつも思ってることだ、変なことじゃない」
「な、なんなんだよ……ホントに……」
「うふふ♪」
「ついに普通にイチャつきだしたわね」
「ラブラブ……だね?」
こくこく
「発情したメスの匂いがするのだ」
「おねえちゃん、下品なこと言わないの」
「うるさいやつだなぁ、おまえはもっとメシ持ってこい」
「……」
そういえば、このドラゴンいつまでここにいる気だ?
いや、まぁ別にいいんだけど、いつまでいたって。
そんなことよりも、ハーレムだ。
ソフィアとティナはなんとか説得するとして、新参のクリスをさっさと落としておきたい。
そのためにはどうするか。
「クリス」
「……なんだ?」
なぜか身構えているクリス。
「今晩、暇?」
「今晩?それって食事のあとのこと?」
「そうそう」
「明日も仕事だけど……寝るまでなら……」
こいつはレウキクロスに自宅があるので今はそっちに住んでいる。今日もご飯を食べてのんびりしたら帰るつもりだったようだ。
ココに引っ越せばいいのに、とは思うし、勧めたこともある。でも、オレたちがレウキクロスを旅立った後のことを考えて遠慮しているのかもしれない。以前、引っ越しを勧めたときは荷物が多いだとかいう適当な理由ではぐらかされたものだ。
「ふーん、なら泊まってけよ」
「いいけど……」
「リリィ」
「はい、なんでしょうか?」
もう片方の隣に座っている天使にも声をかけた。
「今晩、暇?」
「え?……はい……」
「なら、この後オレの部屋に来てよ」
「はい……」
「まさか、あんた……」
「はう…おにいちゃん…」
「あれ?僕に泊まってけって……リリィさんはなんで?え?みんな何その顔?」
「我の眷属は、なぜこうも下品なのだ」
これから起きることをクリスだけがわかっていなかった。
♢
「ねぇ、泊まってけって言ったよな?」
自室に戻ったオレは、椅子に座り、金髪美少女2人をベッドに座らせていた。
「ああ、言ったな」
「じゃあ、なんでリリィさんも部屋に呼ぶんだよ。その、、僕は泊まってけって言われたから、そういうことだと……勘違いしたんだが?」
「……」
リリィは黙って、クリスは不満そうに抗議を始めた。
「てか、勘違いじゃないんだが?」
「はぁ?」
「リリィ」
「はい……」
「覚悟はできているな?」
「……はい、出来ております……」
「いい子だ。クリス」
「なんだよ?」
「おまえはオレの嫁だな?」
「もちろんそうだよ?なんだよ今更」
「オレはおまえを愛してる」
「……だから、なんなんだよ、さっきから……ぼ、僕だってキミを……」
恥ずかしそうにする金髪オッドアイ。
「オレはおまえと同じくらい、リリィやみんなのことも愛してるんだ」
「それは、そうだよね、知ってる」
「だから、全員とえっちなことをしてる」
「……は?」
「全員とえっちなことを」
「わ!わかってるよ!いや!知らないけど!なんでそんなこと僕に言うんだ!」
会話の雲行きが怪しくなり、焦り出すクリス。
「おまえはオレの嫁だよな?」
再度質問するオレ。
「は、はぁ??」
「オレは嫁たちを同時に抱くって決めてるんだ。だから、今からおまえとリリィを同時に抱く」
「は?」
「リリィ」
「はい……」
「クリスはまだお口でしてくれないんだ、どう思う?」
「え?どうとは……」
「妻として、良くないと思わないか?」
「それは……わたしにはわかりません……」
「そうなの?んー、そっか、わからないかー。とりあえず、クリスにお手本見せてあげてくれないかな?」
「わ…わかりました…」
「じゃ、よろしく」
オレは腰の位置をずらして、椅子の前の方に座り直す。ベッドからリリィが立ち上がって近づいてきた。
「リリィさん?」
「……」
「ちょっと待ってね。クリスが見やすいようにするから」
「……」
椅子の向きを調整した、クリスから見やすいように。
「じゃ、お手本してして」
「はい……」
リリィがオレのズボンに手をかけて、
「リリィさん!?なにやってるの!?」
「………はもっ」
優しくオレを包み込んでくれた。
目はつむっている。
さすがに、クリスの前ではじめてするのは恥ずかしいのだろう。
その表情がたまらなく興奮する。
「クリスしっかり見ろ。オレの1番最初の奥さんのお手本だ。ありがたく参考にしろよ」
「な!ななな……」
クリスは真っ赤になりながら、でも、目はそらさずにオレたちのことを見ていた。
しばらくしていると、なんだか内股になり、もじもじし出すクリス。
「なんだ?リリィとオレを見て興奮してんのか?」
「な!?最低!キミは最低だ!」
「でも愛してるんだろ?」
「くっ!」
「そろそろ、おまえもしてくれよ。せっかくリリィがお手本見せてくれてるんだぞ?」
「イヤだ!」
「なら、今日はオレとリリィがイチャついてるところをそこでずっと見てろ」
「な、なんだよそれ……」
「悪い嫁には罰を与えるのだ」
「キミはなにを言って……」
「リリィ、そろそろ跨ってほしいかも」
「は、はい……」
そして、立ち上がるリリィ。
椅子に座るオレに跨ってきてくれた。
「失礼します……」
「うん、いつもありがとう」
「いえ……」
「リリィさん!?僕がいること忘れてない!?」
「……」
クリスの言葉には頑なに反応しないリリィ。
それを見て意地悪してみたくなる。
「リリィ、クリスに答えてあげないの?」
「え?それ、は……」
ふわぁぁ、いい表情ですね。
そして結局、その日、クリスが素直になることはなかった。
んー?意外と手強いな。
見せつけていれば我慢できなくなって参戦してくると思ったのに……
思惑が外れたオレは、その日からクリスを毎晩呼び出して、嫁の誰かとイチャつく姿を見せつけることにした。
コイツは逃げようとはしないけど、自分自身は全然参戦してこない。めんどうなやつだ、早く陥落すればいいのに。
でも、これはこれで楽しいから続けてみることにした。
あ、ちなみにこの行事に協力してくれているのは、リリィ、ステラ、コハル、ミリアの4人だ。
ソフィアとティナは逃げていったので、とりあえず泳がしておくことにした。
いや、泳がせながら仕込みも怠らない。屋敷で2人を見つけてはキスしまくって身体を触って焦らしまくってやった。朝から夜にかけて何度も何度も。
このメスガキ2人もしばらくすれば我慢できなくなって陥落するだろう。こいつらが寸止めに弱いってことは周知の事実だ。
問題はクリス。オレと嫁の情事を毎晩至近距離で観察させているのに、なかなか陥落しない。
「おにいちゃん…おにいちゃん…しゅきだよ…」
「オレも大好きだよ、ミリア。ほらほら、ミリアだってこんなに頑張れるんだぞ?聖剣様のくせに情けないなぁ?」
「くっ!僕は絶対屈しないぞ!」
それはフラグなんよ。
そう思いながら、オレはミリアのことを楽しんだ。
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