第306話 金髪オッドアイ聖剣女と主従契約
「汝、クリスタル・オーハライズは、我、ライ・ミカヅチを主人と認めるか?」
「認めてやってもいい」
「はいはい」
オレは呆れ声を出しながら、クリスの左手の薬指に指輪をはめてやった。
その指輪がふわっと光り、ライ・ミカヅチの名前が刻まれる。
「ライのは僕がつけてあげるよ」
「そう?なら頼む」
クリスに指輪を渡すと、オレの右手の薬指に2本目の指輪をはめてくれた。
そして、指輪にはクリスタル・オーハライズの名前が刻まれる。
「これで正式な妻だな」
「うん、嬉しいよ」
「それは良かった」
「キミも嬉しいだろ?」
「あたりまえだろ?」
「なら嬉しいって言え」
「嬉しい嬉しい、こんな美人が妻になってくれて」
「なんか気に入らない」
「注文が多い」
「……なんなの、こいつら?」
「うふふ♪これが2人なりのイチャイチャなんですよ♪」
「ちがうが?」
「ちがうが?」
「拍手をするタイミングがわからんのじゃ」
「では、今から」
パチパチパチパチ。
リリィが拍手をはじめたら、みんなも拍手をしてくれる。
オレとクリスが結ばれた翌日、オレたちは自宅のリビングで主従契約を結び終わった。
その様子をみんなが見ていて、笑顔で祝福してくれる。
「みんな、ありがとう。ライを落とせたのもみんなのおかげだ」
「落とせたとか言うな、本人の前で」
「うるさいなー、もうキミは黙ってなよ」
「なんでだよ、おまえ、わからせてやろうか?」
「はぁ?どういう意味だよ?えっちなことしたって僕は屈しないぞ?」
なにそのセリフえろいやん。
絶対屈服させてやるんだからね、そう思いながら、オレは聖剣女のことをジッと見つめる。
「……」
「エロい顔で見るな」
「おまえのセリフのせいだ」
「2人は仲良しなの?ボクにはいがみ合ってるように見えるけど」
「ピー?」
「そう…だね…でも、仲良し…だよ?」
みんながニヤニヤしはじめたので、気まずくなって話題を変えることにした。
「あー……ところで、リリィとの結婚式の準備は進んでるかな?」
「はい、みんなが手伝ってくれてるので順調に進んでいます」
「それは良かった。オレに手伝えることはないかな?」
「そうですね、そろそろライ様の衣装の寸法を測っておきましょうか」
「タキシードみたいな服を着るのかな?」
「えーっとですね。クロノス教式の結婚式ですので、男性は神官服を着ることになってます」
「そうなんだ?神官服っていうと、ユーシェスタさんが式典のときに着てたような服だよね?」
教皇様の横に立っていたときのユーシェスタさんのことを思い出しながら確認する。
「えぇ、あの服に近いものになります。結婚式用のものは装飾が異なりますが」
「そっかそっか、わかった。じゃあ、どこで寸法する?」
「服飾屋の方をこちらにお呼びしますので、明日にでも」
「うん、了解。ちなみに、リリィの結婚式での服装って」
「もちろん白のウェディングドレスよ!」
ドドン!
ソフィアが腰に手を当ててドヤ顔をしていた。
「おぉ!そこは王道なんだ!楽しみだなー!リリィのウェディングドレス姿!めちゃめちゃ綺麗なんだろうなー!」
「そんな……ライ様…恥ずかしいです…」
「うふふ♪めちゃめちゃ期待してていいですよ♪」
ステラのセリフでオレの期待値は爆上がりしていった。しかし、それと同時にあることに気づく。
「というか!みんなはそのドレスもう見たってこと!?ズルい!オレも見たい!」
「おぬしには当日のお楽しみじゃ」
「えー!」
「おにいちゃん…めっ…おたのしみ…なの…」
「そうなの?」
「そう、なの…」
「はぁーい」
「おにいちゃん…いいこ…だね…」
すっかり妹に言いくるめられるオレ、ミリアに怒れるとなんだか素直に言うことを聞きたくなってしまうのだ。
ということで、リリィのウェディングドレスをお預けされたオレは、後日、自分用の衣装の寸法を測ることになった。
リリィやみんなの手配でどんどんと結婚式の準備が進んでいく。
オレ自身も手伝いたい気持ちはあったのだが、相変わらず「何もするな」と言われたので、リハビリがてら剣の修行を再開することにした。
雷龍様曰く、魔法を使わず、肉体的ダメージを負わないなら剣を振るのは大丈夫、とのことだ。
だから、極論を言えば上級Cくらいのモンスターとなら戦ってもいいことになる。なぜなら、それくらいの強さのやつならダメージなんてもらわないからだ。
とはいっても、今は結婚式の準備でみんなが忙しいし、さすがに一人でモンスターを狩りに行ってくるなんて危ないことはしない。
筋トレなんかで少しずつ体力を戻しながら、クリスやコハルたちとも模擬戦を行い、感覚を取り戻していく方向で身体を鍛えることにした。
それに、もちろん新妻のクリスとのイチャイチャも欠かさない。
みんながいるところでは、オレもクリスもイチャつくのが恥ずかしかったので、こっそり2人っきりになる機会を作ってイチャついた。
でも、そんなオレたちの魂胆も、みんなにはお見通しだったようで、イチャついた次の日には何人かにニヤニヤされてしまっていた。
そんなこんなで、楽しく日々を過ごしていると、結婚式の日がやってくる。
ついに、ついにリリィが夢だと言っていた結婚式だ。
オレもリリィのウェディングドレス姿が楽しみすぎて、前日はあまり眠ることが出来なかった。
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