第208話 強化魔法の実験

「おはよー」


 翌日、ティナと一緒にみんなと合流して朝食をとる。


 少ししたらギルドに向かい、中級Cのモンスター討伐依頼を受けて町を出た。



 モンスターの生息エリアに近づいてきたので、討伐前に魔法使いの2人に対して、ミリアの強化魔法をかけてもらう。


 昨日話していた実験のためだ。


「じゃ、ミリア、お願い」


「うん…ソフィアちゃん…ぽかへい、いくよ?」


 こくこく


「すぅ……みんなー!がんばってー!」


 ミリアの強化魔法の光がソフィアとティナに降りそそぐ。


「……ふーむ、ウォーター」


「ファイア!フレイムストーム!」


 2人はなにやら考えながら魔法を唱えて試し打ちをはじめた。


「なるほどのぅ」


「なるほどね」


「ど、どうだった…かな?」


「そうね、魔法使いにも効果がありそうよ。なんというか、魔法を練るのが簡単にできるわね。いつもより、スッと発動する感じね」


「ほほう?」


「うむ、しかし威力が上がるわけではないようじゃの。じゃから、やはり前衛職に使うのがよいじゃろう」


「そっか…」


 あまり役に立ちそうにないと思ったのか、ミリアは残念そうだ。


「十分すごい力じゃぞ?」

「そうよそうよ」


 2人が気づいてフォローしたら、すぐに笑顔になってくれた、良かった。


「魔法の扱いが楽になるなら、ライがやろうとしてたことに使えないかな?」

 とコハルが思い出したように言う。


「あ!そうか!たしかにな!」


「なんのことよ?」


「実は朝の稽古のときに、コハルとステラと特訓してたことがあるんだ!」


「へぇ?どんなことよ?」


「足からライトニングを出す!」


 オレは「名案だろ!?」と言わんばかりのドヤ顔で魔法使い2人にオレのアイデアを発表した。


「なぜそんなことするのじゃ?」

「またおかしなことして…」


 ソフィアとティナはアホを見るような顔で見てくる。


「早く走れるかと思って!」


「アホね…」


 言ったね?ソフィアたん。

 アホを見るような顔で見てくる、ここまではギリセーフだ。

 しかし、「アホね…」これはダメだ、お仕置きします。


「ボクも最初はアホだと思ったけど、制御できれば必殺技になりそうなんだよ」


 ん?コハル?はい、お仕置き2人目確定です。


「そうなんです!ライさんのアイデアすごいですよね!」


「ありがとなーステラ、よちよち」


「うふふ♪」


 ステラの頭を撫でながらアホだと思っていた2人に復讐を誓う。


「なら、とにかく見せてみなさいよ」


「わかったー、ちょっと離れるね、危ないから」


「危ないとはなんじゃ?」


「ふっ飛ぶからねー、あはは」

 と面白そうにするコハル。


「ほう?」


 オレはみんなから離れて、誰もいない草原めがけてダッシュのポーズをとる。

 そして踏ん張って、


「ライトニング!」

 叫んで、両足からライトニングを放出した。


 バンッ!と炸裂音が鳴った後、オレは前方の上空に投げ出され、


「へぶっ!」

 と地面に転がった。


「ライ様! ヒール!」


「いてて、ありがと、リリィ」


 リリィが駆け寄ってきてくれて、すぐにヒールをかけてくれる。


「面白いじゃない!アホの発想は斜め上をいくわね!」

 ソフィアも駆け寄ってきてワクワクした顔をしていた。


 んん?またオレのことアホって言ったか?


「たしかに面白いのう、制御さえできればじゃがな」


「そうなんだよねー、うまいこと前だけに力を向けれなくてー」


「おにいちゃん…あとで…魔法…ためす?」


「うん!そうだね!試してみたい!」


「わかった…」


 と、いうことで強化魔法のクールタイムが終わったら試させてもらうことになった。


 ソフィアとティナ曰く、強化魔法がかかっていると魔法が練り易くなる、とのことなので、もしかしたら上手く制御できるようになるかもしれない、と期待する。


 こうして、わくわくしながら、モンスター討伐に向かうことにした。

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