第167話 ツインテ妹に頼られたい

「お……おはよう…」


「ん?あ、おはよう」


 ミリアに声をかけられて目が覚める。上半身だけ起こして、隣を向いた。


 ミリアは布団の上に女の子座りしていた。ぽかえいを両手で抱きしめている。


「あ…あの……昨日は…わたしの話…聞いてくれて……ありがと…ね?」


「うん、ぜんぜん大丈夫、ミリアのこと知れて嬉しかったよ。頑張って話してくれてありがとうな。オレにはなんでも話してくれていいからね?」


「う…うん……なんでも…はなす…」

 にこっと笑ってくれる。


「ミリアは1人で頑張ってきてホントにすごいな。ミリアはすっごく偉い。でもね、これからはオレのこと頼ってほしいな」


「い…いいの?……たよっても…?」


「うん、なんでも言ってほしいし、ミリアのためならなんだってやるよ」


「なんでも?」


「うん、なんでも」


「う、うゆ…うれしい…」


 ぎゅ。

 ミリアはぽかへいを強く抱きしめ、顔を半分くらい隠して、上目遣いでオレのことを見ていた。

 すごく可愛い。


「よかった、ミリアは素直でいい子だね」


 左手を伸ばして頭を撫でる。


「えへへ……あのね…なでなでされるの…すごくうれしいの…」


「そっかそっか。たくさん撫でてあげるぞー」


 嬉しいと言ってくれたので、たくさん撫でる。

 撫でられながら、嬉しそうなミリアが口を開いた。


「あの……また…一緒に…寝てほしい…な?」


 さっそくのお願いなのかな?と思い嬉しくなる。


「もちろん!今日から一緒に寝よう!」


「う、うん!」


 それから、オレは先に部屋を出て、着替えを済ませてリビングに全員が集まるのを待った。


 全員集まったら、そのあとはいつも通りの一日を過ごす。


 ミリアの家の前で剣の稽古をして、全員で朝食を食べ、畑仕事をし、家に帰ってきたら魔法の勉強会だ。


 昨日、ミリアはライトを習得したので、今度は闇属性の重力魔法初級を勉強することになった。

 ミリアは魔法の天才、ということだけあって、重力魔法の方も順調に習得できそうな雰囲気だった。


 それに比べ、オレは全然ダメだった。


「おぬし、集中しておるか?」


「してる、してます。でも、難しいんです…」


 重力魔法上級の魔導書を見て、ノートにペンを走らせるが全然理解できない。


「じゃから、ここはこうじゃ」


「はい…」


 ティナ先生が何度目かの指摘をしてくれるが、なんでそこがそうなるのか全然わからなかった。


「ちょ、ちょっと、トイレ…」


 ぐったりしながら、トイレに立つ。


 そのとき隙を見て、攻略スキルを開くことにした。好感度の確認だ。


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ミリア

 好感度

  88/100

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 すごく、上がっていた。

 もうカンストするんじゃないかと思ってしまう。


 でも、単純に喜ぶことはできなかった。


 それは、昨晩、ミリアの話を聞いて、すごく辛い経験をこの村でしてきたことを改めて知ったからだ。

 それに、今までの話から、ミリアを不幸にした人間がこの村にいるということに勘づいてしまった。


 たぶんあいつだろう。


 オレは、初日に宿代をもらって嬉しそうにしていたクソジジイのことを思い出して、どうしてやろうか、と頭を悩ませた。

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