第125話 スカートめくりはロマンです

「はぁ?死神となんてごめんだよ」


 ガタイのいい女戦士がリーダーのパーティに話しかけたら、開口一番ムカつくことを言われた。


 他のパーティに声をかけはじめてから3日目、通算3組目の冒険者パーティだ。


 まぁ、事前に話し合っていたし、こういうことがあるのは想定済みだ。冷静に冷静に。

 オレの任務は、ギルドで冒険者たちの信頼を勝ち取ることだ。こんなことではキレたりしないのだ。


「さぁ、とっとと行きな。縁起が悪ったらないね」

 そのゴリラ女は、片手でオレたちのことをシッシとやってみせる。


 縁起が悪ってなんだぁ?

 コハルみたいないい子にふざけんなよ!!


「オレもあなたのような失礼な人は願い下げです。噂でしか人を判断できないなんて、愚かですね。あなたの方こそ、とっととお帰りになってはいかがですか?」


 オレは頭に怒りマークをつけたまま、笑顔で丁寧に対応してあげた。

 このゴリラ女に。

 感謝してもらいたい。


「はぁ!?そっちから声かけといて!舐めた口聞くんじゃないよ!ぶっとばしてやろうか!」


「はぁ!?やってやるぜ!かかってこいよ!」


 立ち上がったゴリラ女に対して、オレも拳を構える。


「ら、ライ様、あいては女性ですよ…」


 ゴリラみたいだけどな。


 あわあわとリリィがオレのことをおさえ、ゴリラ女をとりまきの仲間たちが抑えに入る。


「あたしは弱い男が嫌いなのさ!腕相撲であたしに勝ったら言うこと聞いてやるよ!」


「ああいいぜ!吠え面かかせてやるぜ!」


 そしてオレとゴリラ女との腕相撲大会がはじまり――

 勝った。ぎりぎり…


「………や、やるじゃないか」


「はぁはぁ……これでこっちが上だ。まずはコハルに謝れよ…」


「わ、わかったよ……嬢ちゃん、すまなかったね」


 一応申し訳なさそうに頭を下げるゴリラ女。


 そのあとでチラリとオレの方を見るそいつの頬はなんか赤い気がした。勘弁してくれ…


 そして、上級Bの依頼をそいつらパーティと一緒にこなしにいく。今日も今日とて順調に依頼をこなすことができた。


 オレたちと組んだパーティは、オレたちメンバーの強さを絶賛したり、連携のしやすさを褒めてくれる。

 今日のゴリラパーティも例にもれなかった。


「ステラ!コハル!あんたたちと組むと戦いやすねぇ!!」


「そうですか?それはそれは♪ありがとうございます♪」


「あ、ありがと」

「ピー♪」


 ゴリラ女は前衛の2人が気に入ったようだ。


 こんな感じで、連日、別のパーティと一緒に依頼をこなしていった。


 1週間で毎日別のパーティに声をかけたことで、7つのパーティと依頼をこなすことが出来た。

 どのパーティとも、依頼が終わったころには気さくに話せるようになり、良好な関係を築けていると思う。ギルドに行けば手を振って、ひとこと挨拶するくらいの仲にはなれた。


 もちろん、コハルが一緒にいてもイヤな顔せずに話してくれる。もはや、コハルのことを死神だなんて思っているやつは少数派なんじゃなかろうか、そう思えるほどになってきていた。


♢♦♢


 そしてついに、重力魔法中級習得の期日がやってきた。


 攻略さんの指示では〈2週間以内に習得しろ〉、だった。今日がその2週間後だ。


「や、やっと……やっとできた……」


 オレは、宿の自室で、自分自身を浮かせることに成功した。


「やればできるじゃない!」


「へー!面白いね!ボクにもできるかな!」


 褒めてくれるソフィア先生と浮いているオレのまわりを面白そうにグルグルと見て回るコハル。


「あんたはアイテムボックスが先ね」


「う…はい、ソフィア先生」


 コハルの方はというと、アイテムボックスがあまりにもうまくいかないため、火属性魔法初級を先にやることにして、昨日、ファイアは使えるようになったところだった。


「じゃあ、また明日」


 コハルとソフィアが一緒に部屋から出て行く。2人はとても仲良くなっていて、今日は2人でおしゃべりしながら寝る、とのことだった。

 廊下の方から、隣の部屋の扉が閉まる音が聞こえてきた。


 リーン


 その音を確認してから、オレはサイレントのベルを予告なく鳴らす。


「はぁはぁはぁ…」


「ライ様?」

「あ、やっぱりもう限界でしたね♪」

「なんじゃ?」


 1人だけ何が起きるか把握してウキウキしてる嫁を横目に、扉の鍵をかける。


 も、もう無理だ。

 2週間!2週間だぞ!

 重力魔法を覚えるために!禁欲して!

 近くにこんなに綺麗な子たちがいるのに!

 気が狂いそうだ!


 オレは血走った眼で三人の方に近づいていく。


「うふふ、今日はどんな風にしたいですかー?」


 ステラが指を顎に当てて、クネクネしながら挑発してくる。


「な、なんじゃ…?」


 ティナは怯え顔、リリィは赤くなって大人しくしている。


「さっそく重力魔法でも活用してみます?スカートめくりとか!」


 ズガーン!!


 そのときライに電流走る。


 ステラさん、あなた天才ですか。


「へへへ……」

 オレは思わず口から笑みがこぼれる。


 お、オレはステラに掌をかざして、念じはじめた。


「う、浮け…」


 ふわふわとステラのスカートがめくれて中身があらわになった。白タイツに水色の下着が眩しい。


「いやーん♪」


 ステラはセリフとは裏腹に全然いやそうじゃない。

 少しだけ両手でおさえる仕草は見せるが、スカートの中を隠せてはいない。オレがジッと覗き込んでいるのを嬉しそうに見つめてきた。


「なっ!?なにしておるのじゃ!?」


 ティナが騒いでいる。次にリリィの方にも掌をかざす。


 真っ赤になっているが逃げようとはしない。へへへ……


「う、浮けー」


 ふわふわ


 シスター服がめくれて白のガーターとレースが現れる。

 ふむふむ、素晴らしいですね。オレは右手を掲げたまま、じっくりとその光景を観察した。


 そんなオレの視線をリリィは受け止め、真っ赤になったまま斜め下を向いて目をつむった。


「へ、へへへ……えっと…次はティナ…」


 キョロキョロをエルフちゃんの姿を探すと、逃げ出そうとしていたらしく、ステラに羽交締めにされていた。


「どーぞー♪」


「やめろー!」


「浮け浮けー!」


 右手をかざすとバタバタと暴れるティナのスカートがめくれて、黒の紐パンがあらわになった。


「ひ、紐パン!紐パンだ!」


「やめ!やめろー!この変態ども!!」


「あら、エッチなの付けてますね。期待してたんですかー?」


「ち、ちがうのじゃ!もしかしたら、そろそろかと思っただけで!」


「ほ、ほほう?そのために準備していたと?

 ティナたん……ステラそのまま捕まえといて」


「はーい♪」


 オレは全裸になって、準備してくれていたティナに近づく。


「や、やめるのじゃ…」


 まだ少し抵抗しているが、ステラにおさえられて動けるはずもない。


「イヤだ」


オレはティナを抱きしめて、キスをしながら身体をまさぐった。


「んむっ!んー!んー!んん!?」


「なんだ、準備できてるじゃん」


「ち、ちが…う!んんんん!」


「えっちな下着もつけてるし、ティナはえっちなエルフだね」


「ひ、ひどいのじゃ…なんでそんなこと言うのじゃ?」


 うるうると涙目で見つめられてしまう。


「ごめんね。いじわるしすぎたね?ちゃんと優しくするから」


 なでなでと頭を撫でてなだめる。


 ティナの機嫌が直った後、ペロペロとたっぷり味わわせていただいた。



「ライさーん?うふふ♪」

「ライ様…」


 一通り楽しんだ後、2人に声をかけられる。


「よ、よし、2人で準備して」


 ドカッとベッドに腰掛ける。準備は必要なさそうだが、2人が跪いてくれる。


「いただきまーす♪」

「失礼します…」


 左右からの攻撃に耐えながら、オレは最高の瞬間を迎える準備をする。そのときはすぐにやってくるだろう。

 しかしオレは負けない、負けないんだから!



 かなり満喫させていただいた。ご馳走様です。


 入れ替わり立ち替わり、1人3回戦はした。2週間の禁欲生活を取り戻す勢いだった。


 それにしても、ちょっと前から思っていたが、この身体の精力はどうなっているのだろうか?

 転生前のことを思い出すと、1日でたっぷり時間を使っても、右手さんだと4回か5回が限界だった気がする。


 それがそんなに時間をかけずにこれですよ、すごい精力だよね?

 この身体って特殊能力でもあるんですかね?


 いや、これが本番、リアルが持つ力、ということなのか。


 う~ん、グッバイ右手。


 そんなわけのわからないことを考えながら、オレはベッドに沈み込んでいく。今日も今日とて、幸せな脳みそであった。

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