第124話 冒険者たちの信頼を勝ち取れ

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コハル・カグラザカ

 好感度

  83/100

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 コハルがみんなの前で涙を流した次の日、攻略スキルを確認したら、コハルの好感度がかなり上がっていた。


 コハルは本当の意味でオレたちパーティに心を開いてくれたんだな、と実感できてとても嬉しくなる。


 そして、新しいアドバイスだ。


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これから毎日、異なるパーティと一緒にモンスター討伐依頼を受けて、

冒険者たちの信頼を得てください。

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 な、なるほど…


 重力魔法の習得期限まであと1週間ほど…

 オレは相変わらず苦戦していた


 それなのに、ここにきて、めんどくさそうなアドバイスが追加されてしまった。


 正直言って、嫁以外と行動を共にしたくない、という気持ちが強い。でも、このアドバイスが意味することって、つまり、キースへの対抗策なんだと思う。


 なぜなら、なんの証拠もないクラン壊滅事件の責任をコハルに押し付けたあいつは、長年この町にいたってだけで信用されている。それに、あいつ自身じゃなくて、あいつのクランが信用されていただけだ。


 だから、オレたちが冒険者たちに信頼されれば、キースのやつより、オレたちを信じるぜって人も出てくると思う。


『つまり、そういうことですよね?攻略さん』


『……』


 あいかわらず答えてはくれない攻略さんではあったが、オレは自分の考えに自信があった。


 よし!めんどうだが、みんなに提案して頑張ってみることにしよう!


♢♦♢


「そうやってコツコツ信頼を積み上げるということですね。さすがライ様、名案です」


「んー、めんどくさいけど、それ以外なさそうね」


「ぼ、ボクと一緒に依頼受けてくれるかな?」


「そこは、まぁ新顔さんを中心に誘うとか?」


「な、なるほど。わ、わかった」


 攻略さんからのアドバイスをさもオレが思いついたかのように説明して、みんなの同意を得れたので、冒険者ギルドの待合所にいく。


 まずは、待合所でテーブルを囲んでいた適当な4人パーティに声をかけてみた。同年代くらいの男のみのパーティだ。


「あの、すみません。もし良かったらオレたちと一緒に依頼を受けませんか?」


「え?オレたち?なんでですか?」


 話しかけられた4人は驚いた様子を見せて、気まずそうにしたあと、佇まいを正した。なかなか真面目そうなやつらである。


「最近、クルーセオ鉱山で物騒なことが起こってますよね?だから、なるべく大人数で受けた方がいいかと思って」


「それは…たしかに…ちょっと待ってくださいね」


「なぁ、騒動が落ち着くまでは様子見ようって話だったよな?」

「でもさ、そんなこと言っても金がないのは困る。これはいい話なんじゃねーか?」

「それは、そうなんだけど…」

 そんな感じで、4人は話し合っていた。


 チラリと、リーダーらしき男がコハルのことを見る。

 コハルの噂を知っているのか、そいつも一緒なのか?と言いたげだった。


「コハルは特級Bの冒険者で、たしかな実力があります。

 オレたちはデルシアにきてから2週間以上ずっと一緒にいましたが、誰も怪我すらしていません。彼女の噂はいわれのない濡れ衣です」


 少しムッとしながらコハルのことをフォローする。


「……わかりました……いえ、失礼しました。ぜひ、一緒に受けさせてください」


 ふぅ、礼儀正しいヤツで良かった。


 その日は、こいつらと協力して、無事に上級Bの依頼をこなすことができた。


「みんなめちゃくちゃ強いですね!オレたちなんもできなかった!」


「いやー、そんなことないですよ」


 洞窟内の帰り道を歩きながら、男たちと会話する。


「特にコハルさんとステラさん!オレもあんな剣士になりてーなー!」


 ふむふむ、感触は上々のようだ?


 たしかに、コハルとステラは一流の剣士だよね、うんうん。

 ……オレは?


 いかんいかん、自己顕示欲は捨てるのだ。今はそんな場合じゃない。それに男にモテてもどうでもいいのだ。


 ギルドについたら、そいつら4人組とは笑顔で手を振って別れた。


「もしよければまた!」

 別れ際にそんなことを言われてしまう。


 すまんな。毎日違うパーティと組め、というアドバイスなんよ。


♢♦♢


 翌日、男2人、女2人のパーティに声をかけた。


 コハルのことは昨日と同じように説明する。ツッコまれるとイライラするので、最初に説明しましょう、と話し合って決まったからだ。


「いい話だと思います。わたしは」

 1人の女の子がオレたちと組むのに賛成する。


「だな!それにみんな可愛い子ばっかだ!」

「おまえ!そういうこというのやめとけって!」

 この意見に調子の良さそうな男が同意し、友達らしき男がツッコんでいた。


「彼女たちは全員オレの妻です。近づいたらコロします」


 調子の良い男のスケベ顔が気になったので釘を刺しておく。


「おぉぉ?えぇぇぇ?全員???それはさすがに冗談キツイぜ…」


 調子の良い男は、妻たちを順番に見渡すが誰も妻であることを否定しない。


「あ……ぼ、ボクは、まだ……違います」


 へへへ、〈まだ〉ね。

 うんうん。いい心掛けだ。


「ま、マジかよ……あ、アニキって呼んでいいですか?」


 男から羨望の眼差しを浴びせられる。


 勘弁してくれ、男にモテたいという趣味はない。


 そして、上級Aの依頼を楽々こなした。


「また一緒にやろーなー!アニキー!」


 いやだから……


 両手で大きく手を振るそいつに手を振り返して、みんなで宿に戻る。


「あんた、男にもモテるのね」

 ニヤニヤとクソガキがからかってくる。


「別に嬉しくない。ソフィアにモテテればそれでいいかな?」


「……う~ん?」


「ライ様、そのセリフはあまりキマってません」


「ライさん!私は!?私は!?」


 うしろからぴょんぴょんと抱き着かれた。


「おぉ?もちろんステラにもモテたいよ」


「もちろんモテモテですよ♪うふふ♪」


 ソフィアとリリィには不評だったが、ステラには喜んでもらえたようだ。


「ボク、他のパーティともうまくやれてるのかな…」


「おぬしはうまくやれておる。自信を持ってよいのじゃ」


「ピー♪」


「そ、そうかな。ありがと、ティナ」


 前を歩くティナとコハルも仲良く話している。うん、みんな仲良くってなによりなによりだ。


 そういえば、コハルはオレたちと同じ宿、隣の部屋に泊まることになった。だから、魔法勉強会に関わらず同じ方向に帰ることになる。


 コハルの攻略ももう終盤なのかな、オレは内心そんなことを考えながら、ニコニコと宿への帰り道を進んでいった。

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