第107話 クルーセオ鉱山
ルカロさんに上級Cの依頼を受け付けてもらった後、オレたちはすぐに町から出て、町から少し歩いたところにある洞窟に踏み入れた。
クルーセオ鉱山の洞窟である。
クルーセオ鉱山には豊富な鉱石が眠っており、デルシアの町はこの鉱石資源によって栄えてきた。
しかし、この鉱山には等級が高いモンスターが多く、誰もが簡単に鉱石をとれるわけではない。
だから、ドワーフの工匠たちは冒険者に鉱石の採掘を依頼し、そこで入手した鉱石で武器や防具を作成する。
そして、その武器や防具を冒険者が購入する、という上手いサイクルが出来上がっているように見えた。
オレは、洞窟の中を先頭で歩きながら、ひっそりと攻略スキルを確認する。
----------------
コハル
好感度
11/100
----------------
まぁ、喋ったことないし、こんなものだろう。
ティナのとき、ずっと好感度1だったオレに、これくらいの数値じゃダメージ与えられないぜ〜?
「あの者は、剣の師匠にはなるのかのう?」
ティナのことを考えていたら、ティナに話しかけられた。
デルシアに来た目的は、剣の師匠を探すためだと伝えていたので、ティナはコハルが剣の師匠になる人物なのか気にしているようだ。
「んー、どうだろうね?デルシアでは1番強いって言ってたし、剣は2本さしてたから可能性はあるかも?」
オレ自身は攻略スキルでコハルちゃんが剣を教えれるってことを知っている。だけど、それは説明できないので、濁しておくことにした。
「そうか。まぁ、おぬしがそれでいいならよいが」
「修行は私が付き合いますから!先生が見つからなくても大丈夫ですよ!」
「はは、ありがと、ステラ」
「ライ様は可愛い子なら大丈夫です」
なんだか、リリィがすました顔で棘のある言い方をする。
「えっと……それは、ごめん、否定できない。もし、嫌だったらすぐに言ってね?」
「いえ、ちょっとイジワルしてみただけです。なにか事情がありそうでしたし、あの子が苦しんでいるなら助けてあげたいです」
さすがうちの天使様だ、優しさの権化である。
「はぁ、またメンバーが増える予感がするわね」
ソフィアが溜息をつく。
それを目指してるんです。とは言えず、笑ってごまかしながら、鉱山を進むことにした。
依頼書と一緒にもらった地図を見ながら、ゆっくりと進む。分かれ道には看板が立てられてるので、地図と照らし合わせていけば迷うことは無さそうだった。
今回受けた上級Cの依頼は、パール鉱石という鉱石の採掘だ。地図に従い指定の場所を目指して進んでいく。洞窟内は、ゆるやかな下り坂になっていて、どんどん深部に向かっていってるようだ。
途中、鱗が岩のようなトカゲ型モンスターに何度か出くわしたが、問題なく対処して目的地を目指す。
指定の場所につくと、そこには、白くて透き通った鉱石がチラホラと壁から飛び出していた。
依頼書と見比べると、あれがパール鉱石で間違いないと判断できた。
「よーし!掘るかー!」
オレは事前に買っておいたピッケルをアイテムボックスから取り出し、力強く握ってパール鉱石めがけて振り下ろした。
カーン!カーン!
小気味よい音が洞窟内に反響する。
これこれ!洞窟で採掘といったらこれだよな!
オレはワックワクな気分でパール鉱石を叩き続ける。
一定確率で、お守りとかドロップしないだろうか。
「力仕事は男の役目だから!みんなはそこで見ててくれていいからね!」
と張り切ってピッケルを振るっていたのだが、
しばらくすると、
「もうよいかのう?」
「いいんじゃない?」
と、ティナとソフィアが呟き、土魔法で鉱石を丸ごと壁から引き剥がした。
「……」
オレはその光景を呆然と見つめるしかなかった。
………えー…そんなんできるならピッケル買うとき言ってよ。
いや、たしかになんか、「そんなの要らないわよ」とか言われてた気がするけど…
鉱石採掘といえばピッケルやん…
それがロマンやん?
「じゃ、たくさん採れたし、帰りましょ」
ピッケル片手に固まっているオレをみんながスルーし、ソフィア先生の指示に従って帰る準備を始める。
なんだか腑に落ちないが、オレも大人しく従って帰ることにする。
帰りもトカゲくんが出てきたので、ピッケルの恨みを晴らすべく、ピッケルを使って叩きのめしておいた。
♢
デルシアに戻る途中、目をつぶるとさっそく攻略スキルにアドバイスが表示されていた。
---------------------------------------------------------
今日中に、だいこんの葉っぱと
いろんな種類の小さい豆を入手してください
---------------------------------------------------------
ほほう、簡単な内容だ。とりあえず、帰りがてら買っていこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます