第105話 工匠の町デルシア
「おぉ〜、ここがデルシアかぁ〜」
オレは馬車を降りた場所から、デルシアの町を見上げながらつぶやいた。
その町は、山と山の麓に挟まれる形で作られており、上から見ると細長い三角形になっているだろう。
オレたちが今いる正門の前は、三角形の底辺にあたる場所で、木材と石材によって作られた巨大な砦が目の前にそびえ立っていた。
その砦は、5階建てのビルほどの高さで、屋上には見張りが数人いるのが見える。
町の奥、三角形の頂角に近づくほど標高が高くなっていて、なだらかな上り坂に町を作ったようだ。
町の中からは、モクモクと多くの煙が上がっていることから、ここが工匠の町で工房がたくさんあるんだな、と想像させる。
「よっし!さっそく入ろうか!」
テンション高めのオレが皆を引き連れて門まで歩いていくと、守衛にとめられ1人2万ルピーの入場料を取られた。
結構高くて、う~ん……ってなった。
なので、「冒険者として依頼を受けて、町を出入りする度に入場料を取られるのか?」と確認したところ、デルシアのギルドの依頼書を見せれば無料になるということだった。
うん、まぁそれならいいか。毎回2万ルピーも払ってられないからな。ケチくさいことを考えながら、巨大な砦の門をくぐる。
門の先には、石畳の道路が真っ直ぐと山頂に向かって伸びていて、その左右に綺麗にならんで建物が建っていた。
ところどころに、横道があり、そっち方向にも町は広がっている。
建物は石造りのものが多く、無骨な印象だ。
見てくれよりも機能性だ。と言わんばかりの町並みに、工匠の町、という響きにあっているな、と感じた。
「へー!今までにない雰囲気の町だ!おもしろいね!」
「そうですね!」
ステラがまっさきに反応してくれた。オレと同じように目を輝かせている。他のみんなは、そこまでは興奮していないが物珍しそうに町を観察していた。
「よーし!それでは!まずは宿の確保からだー!」
「いきましょー!」
ゴーゴー!という感じで片手を上げながら、先陣をきって歩いていく。
「やっぱり、新天地に来るのは楽しいなー!」
新しい町を探検することで、オレのテンションはどんどん上がっていった。
少し歩くと、
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宿屋街はこちら
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という看板を右手に見つけることが出来た。とりあえず曲がってみる。
その横道を歩いていくと、左右に6軒ほどの宿屋があり、各宿屋の前に、1泊の料金と部屋の広さ、グレードが書かれた看板が立てかけられていた。
比較しやすくて助かるシステムだ。
とりあえず、真ん中よりも少し高いグレードの宿を覗いてみて、清潔そうだったので、その宿に決めた。
もちろん一部屋だ。しかし、キングサイズのベッドはないので、いつも通りダブルベッドが3つの部屋を選んだ。
とりあえず部屋を確認してから、すぐに宿を出た。まだまだ探検は終わっていないのだ。
「次は工房とかを見に行こー!」
「りょーかいです!」
また、みんなを引き連れて町中を歩く。
大通りまで戻って、坂を登っていくと、上に行くほど、煙突のモクモクが増えていった。
煙が出ている建物の1つを見ると、表の看板には、
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名工 ゴルエスの武器屋
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と書いてあった。
ほほう、自分で名工と名乗るとはよっぽど自信があるんだな、と思いながら入店する。
お店の中には武器がたくさん並んでいて、レジらしきカウンターの奥には、窯がメラメラと燃えているのが見えた。
その手前で職人らしき男性と、奥さんだろうか、エプロンをかけた女性が話している。
どちらも子どもくらいの身長だ。しかし、男性には立派な髭があり、ずんぐりしていた。
ドワーフだ!
指輪を溶岩に投げ入れる物語に出てきそうなドワーフがそこにいた!
「ねぇ、彼らの種族って?」
ワクワクしながら、ティナに小声で確認する。
「ドワーフじゃな」
「やっぱり!ちなみにエルフと仲悪かったりする?」
「ん?なぜじゃ?」
なるほど、そういう設定はないらしい。だいたいドワーフとエルフって仲悪いことが多いのがお約束なんだけどな。まっ、いいか。
オレは、はじめてみるドワーフを横目に店内をぐるぐると回る。
どの武器にも細かい細工がしてあり、美しい仕上がりだ。高そうだな、と思い値札を見るとめちゃくちゃ高かった。
どれも30万以上から、という感じだ。
ステラの今の剣が20万だったから、それよりも高いものばかりだ。ちなみにオレは1万の剣と8万の剣を使ってから、雷帝剣キルクに持ち替えた。
だから、すごく高く感じる。
さて、ステラの新しい剣はこの店で見つかるだろうか。ステラと2人で何本か手に取って構えてみるが、ピンとくるものはなかったので、次の店にいくことにした。
工房の看板を毎回チェックすると、どの店にも
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名工○○の××
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と書いてあり、○○のところに店主の名前、××のところに扱う主な商品という表記なのがわかった。
今は防具屋を見ている。
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名工 バッガスの防具屋
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である。
この店も見事な装飾が彫られた防具が並んでいて、どれも高かった。防具はとくに求めていないので、見学だけして次の店にいく。
煙突のモクモクを目印に何軒も回っていくが、どの武器屋にもステラにしっくりくる剣は見つけれなかった。
装飾は豪華なのだが、なんだかピンとこない。見た目だけよくなって性能が変わらないなら、新調する意味はないのだ。
ステラも同じ意見のようで、これなら今の剣と変わらない、とのことだった。やっぱりそうだよね、と会話する。
武器屋めぐりをしていると陽も落ちてきたので、切り上げて食堂にいくことにした。
どの食堂も酒を出すのが当然のようで、メニューにはたくさんの種類のお酒が記載されていた。
食事をしていると、仕事終わりのドワーフたちがやってきて、度数が高そうなお酒を木製のジョッキでガブガブと飲みはじめた。
ドワーフは酒好き、という設定は有効のようだ。
ほほう?つまり、隠れた名工を見つけて飲みニケーションで仲良くなって、すんごい剣を打ってもらう、みたいな展開になるんですかね?
ワクワク。
それはすんごい。
そんなことを考えながら、宿に戻る。
「あー!やっぱり、新しい町は楽しいなー!」
シャワーを浴びたオレは、ハイテンションのまま、ベッドの上で座っていたリリィの胸の中にダイブして呟いた。
「きゃ!?あ、あの…ライ様…」
「なぁに!」
すりすりとリリィのπを堪能してから顔を上げる。
「その…恥ずかしいです…」
「ご…ごめんなさい…しゅーん…」
怒られたので頭を離す。
「え?いえ!大丈夫です!いらしてください!」
「わぁーい!」
もう一度抱きついてスリスリする。そんな幼児退行ぎみのキモいオレをリリィはよしよしと撫でてくれた。
「ライさん、私にも甘えていいですよ♡」
「いいのー!」
いいながら、ステラにも抱きついてスリスリ。
「うふふ♪かわいいですね♪」
「あっ、ライ様…」
オレが離れると寂しそうにするリリィ。
「リリィもこっち来て!」
「はい!」
オレはステラとリリィの胸の中に包まれた。2人して頭を撫でてくれる。
「ふぁ幸せだなぁ……したい!」
オレは2人の返事を待たずに押し倒して、交互にキスをする。
美味しいなぁ。1週間ぶりのデザートだ。
オレのなぞのハイテンションに、ソフィアとティナが遠目に引いていたが、そんなの気にしない。
リリィの白のネグリジェとステラの水色のネグリジェを肩から外して下にずらし、現れた4つの山を順番に攻略する。
しばらくしたら2人の顔が変わってきたので、順番に愛した。
終わったころに振り向くと、ソフィアとティナが赤い顔をしてこちらを見ていたので、なにも着ないまま近づいていく。
「2人ともお待たせ!」
言いながら、2人のことも攻略することにした。
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