第104話 2週間の馬車の旅
ガルガントナから、デルシアまでの馬車旅は、2週間。
1日に3時間ほど進んで休憩、3時間ほど進んで休憩、を繰り返し、夜になると就寝となる。
同乗している人たちは、馬車の荷台で寝る人もいれば、テントを張る人もいる。
オレたちはテントを張って寝ることにした。荷台の地べたで寝るより、テントの方がかなり快適だったからだ。
それに、一応プライベート空間は確保できるのと、かわいい嫁たちの安全面を考慮してもテント一択であった。
だって、みんな可愛いから、他の客が変な気を起こして、オレの嫁に指一本でも触れてきたら、そいつをぶちコロしてしまうかもしれない。
オレが犯罪者にならないためにもテントで寝るのはマストだった。
しかし、それでも心配なものは心配だ。だから、旅が始まった当初は、オレが徹夜で見張り番をしようと考えた。
みんなのテントの前に椅子を出し、ドンッ!!と腕組みをしながら鬼の形相をしたものだ。
すると、「なにをしておるのじゃ?」とティナに話しかけられ、カクカクシカジカだと説明する。
そして、「ふむ?では精霊に見張ってもらうとするかの」と言われて万事解決した。
ホント、困ったときはティナさんやで。その晩、感謝の気持ちを伝えようと布団の中に潜り込んだら、
「さすがにココではイヤじゃ、周りに知らぬ者がおるのじゃぞ?」
と真面目な顔で怒られたので、抱き枕にして寝るだけに留めた。
うんうん、やっぱり他人が近くにいるときはよくないよね、うん。
オレは我慢できる男、我慢ができる男だ。
……がまんがまん。
禁欲生活、じゃなくて、馬車の旅が始まってから1週間後、中継地点の町に着いた。
一旦、その町で宿をとり、1泊休憩して体力を回復。
そして、1週間たまったものを4人に吐き出させてもらった。我慢する必要がないときは、我慢しない。そりゃそうだろう。
うん、この一週間ほんとツラかった…
だから、つらいつらいと泣きつきながら懇願すると、最後にはティナもみんなですることを了承してくれた。
ふふふ、ティナもみんなでの夜に少しずつ慣れてきてる気がする。順調だ。
そして、また1週間の旅が始まった。この中継地点の町からデルシアまでは、この馬車一本で行ける。
基本的には前半の旅と同じで、3時間ほど進んで休憩、夜になったら就寝という行程だった。
今回の旅で思ったのは、馬車を貸し切ってもいいな、ということだった。
馬車は10人ほどで相乗りするのだが、やはり他人と長時間過ごすのは気を遣わないといけないので、めんどうだった。
馬車を貸し切るには料金を倍出せばいいし、オレたちには貯金もあるので、次回からはそうしよう、とひそかに決意する。
それと、もう少し快適な移動手段はないものかねー、とも考える。いっそ、自分達専用の馬車を買って、それで移動するのもいいかもしれない。
今乗ってる馬車はぱっと見る限り、そんなに質の良い馬車ではない。これよりも高価なものを買えば、見た目も乗り心地も改善するかもな~、と考える。
うん、いいアイデアだと思う。デルシアについたら馬車の店もチェックしよう。
そんなことを繰り返し考えながら、妻たちと差し障りの会話をしていたら、やっとデルシアに到着した。
予定通り、中継地点の町から1週間の道のりであった。
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