第103話 新天地に向けて

 オレは、1人でガルガントナの町に出かけて、昨晩見つけた次の攻略対象の子がいる場所について調べることにした。


 冒険者ギルドに行って地図を確認すると、その子がいるのは、〈クルーセオ鉱山〉という場所の近くだとわかった。


 受付嬢に詳しく聞くと、鉱山の近くには町があり、そこのギルドから出る依頼は、クルーセオ鉱山での採掘依頼、またはモンスター討伐依頼のどちらかが多い、とのことだ。

 つまり、この子は冒険者で依頼を受けて鉱山に入っているのかな。と見当を付ける。


 それと、受付嬢によると、クルーセオ鉱山近くの町の名は〈デルシア〉といい、工匠の町と呼ばれているらしい。

 デルシアでは、クルーセオ鉱山から採れる鉱石を使った武器や防具の生産が盛んであり、腕利きの名工がたくさんいるとのことだった。


 それは一石二鳥だな、と思い、受付嬢にお礼を言って、ギルドを後にした。


♢♦♢


「次の目的地だけど、工匠の町デルシアでもいいかな?」


「デルシアっていうと、武器職人がたくさんいる町だったかしら?」


「そうみたいだね」


「武器?剣の師匠を探すのではなかったのか?」


「うん、それなんだけど、剣の達人なら良い武器を求めて、デルシアを訪れるんじゃないかなと思ったんだ。それに武器も新調したいなと思ってて」


「え?でも、ライさんにはキルクがありますよね?」


「うん。オレの武器はこれ以上ないってくらいのものだから良いんだけど、ステラにはもっと強力な武器でもいいんじゃないかと思って」


「ええ!?私この剣気に入ってます!せっかくライさんが選んでくれたのに!変えたくないです!」


「そう言ってくれるのは、すごく嬉しいけど、やっぱり剣は実力にあったものじゃないとダメだと思うんだ。

 ステラのことずっと見てきたけど、やっぱり以前ほどの力は出せてないよね?だから、ステラに合った、ステラだけの剣が必要だと思う。それにさ、別に今の剣を処分する必要はないよ。オレも今までの剣は保管してあるし、たまに取り出して手入れしたりとかもしてるしさ」


「そ、そうですか?ライさんがそういうなら……わかりました」


「もちろん次の剣もオレが選んでプレゼントするよ」


「ホントですか!なら大丈夫です!」


 ステラは納得してくれたようだ。


「みんなはどうかな?」


「わしは人間の町のことはわからん。おぬしについていくだけじゃ」


「わたしも大丈夫です」


「うん、特に問題はないわ。いいわよ」


「みんな、ありがとう。じゃあ、準備を整えたらデルシアに向けて出発しよう」


 そのあと、みんなで町に繰り出して旅の準備をすることになった。


 まず、野営用のテントだが、追加で5人用のものを買うことにした。つまり、5人用テントを2つ設営して、2組に分かれて寝ることになる。


 オレは10人用とかのデッカいのを買おうとしたのだが、「設営が大変でしょ」とソフィアに言われてやめることにした。


 なるべくみんなで寝たいのになー、と思ったが、しょーがない。どうしてもというときは、5人用テントでみんなで寝ようと思う。快適に寝るには狭いと思うけど、まぁいいだろう。


 ぎちぎちなのもそれはそれでいい。

 …う~ん、いいね。


 え~……あとは、万が一に備えて、それぞれのアイテムボックスに1ヶ月分の食料を買い込むことにした。

 アイテムボックスには余裕があるし、もしバラバラになっても1か月以上は生き延びれるようにするためだ。


 あとは、ティナの旅用具一式と、みんなの足りない分の衣服などを購入した。


 ディグルム商会に行けば全部無料でくれそうなものだが、さすがにそこまで図々しくはなれないので、やめておいた。


 ほどなくして、旅の準備は整い、みんなで夕食を食べてから、宿に戻り、順番にシャワーを浴びる。


「ソフィア」


「なに?」


「一緒に入る?」


「……だめ」


「はーい」


 シャワーに入るときにお誘いしてみたが、残念ながら断られてしまった。オレはこの後のことをワクワクしながら自分のシャワーの番を待つ。


「じゃ、おやすみー」


 みんなに声をかけてから、明かりを消していく。


 ベッドにはオレが先に入って、布団をめくってソフィアを呼び寄せる。


「ほら、おいで?」


「……うん」


 大人しく入ってきた。と思ったらくるりと向こうを向いて寝てしまう。


「あれ?ソフィア、ソフィア、こっち向いて?」


「……いや」


 恥ずかしいのだろうか。オレは後ろから抱きついた。


「ま、まだ、みんな、起きてるから…」


 なるほど、みんな寝るまで待て、と。


 オレはそのお願いを無視して、ソフィアのもふもふパジャマの上着に手を入れる。


「や…まって…」


「ごめん。今日はずっとソフィアのこと考えてて、我慢できない」


 短パンの方にも手を入れる。


「ちょ!ちょっと!」


「……ソフィア、そっか、ソフィアも待っててくれたんだね?」


「やぁ……そんなこと…言わないでよ…」


「だって、ほら、こんなに…」


「ち、ちがうもん…」


 そんな、セリフとは裏腹の反応を返してくれる魔女っ娘にオレの理性はどんどんと溶けていく。

 しばらくソフィアのことをもみほぐしてあげて、短パンだけを脱がした。


「それじゃもういいかな?」


 ソフィアの片足を少し持ち上げて、あえて同意を求める。


「やぁ……みんなにバレちゃう…」


 案の定、肯定はしないところが可愛くって、ソフィアの懇願を無視して甘い夜を過ごすことにした。


♢♦♢


 翌日、オレたちは、ガルガントナの知人に挨拶をして、ノアールに意識共有で行き先を伝えてから、デルシア行きの馬車に乗り込んだ。


 デルシア行き、とはいっても馬車を乗り継がないといけないらしい。ただ、ガルガントナもデルシアも大きな町なので、1回の乗り継ぎで行けるそうだ。


 これから、2週間の馬車の旅、長い道のりになる。


 しかし、新しい町へのワクワクと、新しい嫁候補との出会いにもっとワクワクして、不安なんて全く感じていなかった。


 次はどんな美少女との出会いが待っているのだろう。

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