第99話 ロリエルフの新衣装と新装備
ガルガントナにつくと、まずは、ゴリシスターのアリアさんに会いにいき、護衛のお礼とこれから町を出ることを伝えた。
「別の町でうちのクランの奴らに会ったら、よろしく言ってやってくれよ!そんときは、あんたたちを手助けするよう伝えておくからね!」
「ありがとうございます。それでは、これからも子どもたちをよろしくお願いします」
全員で頭を下げてから移動する。
次はディグルム商会だ。
応接室に招かれたオレたちは、なんだか高そうなお茶菓子をご馳走になって、ディグルムと会話した。
他国でも釣具は順調に売れているようで、ディグルムはその売れ行きを嬉しそうに話してくれた。商売繁盛していてなによりだった。
「あ、そういえば、こちらの店舗って服も置いてましたよね?」
「えぇ!自慢の品を仕入れておりますとも!」
「じゃあ、このあと、ちょっと見せてもらいますね」
「もちろんです!ぜひご覧ください!」
ディグルムの許可を得てから、応接室を出て洋服のコーナーへ行く。
「ティナはさ、オレの妻になったら好きな服を着てくれるって言ったよね?」
今のティナは相変わらず見習い冒険者風のパッとしない服を着ている。だから、初デートのときのセリフを思い出して、確認してみた。
「ん?確かにそう言ったのう。うむ、おぬしが選んだものなら喜んで着よう」
「よーし!ティナに似合う服あるかなー!」
同意が取れたことで、オレは張り切って服を選び出す。
「下はスカートがいいな。服の色はやっぱり髪色に合わせて緑っぽい色を入れたい。あと、エルフ的な要素も捨てれないよね」
オレはぶつぶつと独り言をいいながら、しばらく洋服コーナーを物色した。
そして、色々と悩んだ結果、これだ!という組み合わせを選び抜いた。
「じゃあ!これ着てみて!」
「う、うむ」
選んだ服をティナに渡して試着室に押し込む。
「まだかなまだかな」
「ライさんは服のセンスも抜群ですね!」
「あんたと違ってね」
「どういう意味ですか~?」
ステラとソフィアが言い合いをはじめるが放置する。今はティナの新衣装のことで頭がいっぱいだ。
しばらくすると、
シャッ
っと試着室のカーテンが開けられた。
「ど、どうじゃ?」
ティナが恥ずかしそうにモジモジしながら姿を現した。
今までもすごく可愛かった。
でも、さらにティナの良さを引き立てるような、すっごく可愛らしいエルフちゃんがそこにはいた。
上着には、白を基調にしたブラウスを着ていて、肩のあたりがくりぬかれているデザインだ。
ところどころ黄緑色の刺繍が入っており、その刺繍で作られている模様は、どこか異国の民族的な雰囲気だ。これはエルフっぽさを演出していると思う。
でも、そこまで大きな模様ではなくて、小さめに入っているので、くどさはなく上品な雰囲気も持っていた。
下はシンプルに茶色のミニスカート。今までは地味な短パンだったので、このギャップにグッとくる。
そして靴は、膝下あたりまでグルグルと巻きついているような茶色のサンダルだ。このサンダルがまさにエルフって感じで、森の中に住んでいそうなイメージを持たせる。
「うん!イメージ通りだ!めっちゃ可愛い!」
「そ、そうか?なら、よかったのじゃ」
オレが褒めると、控えめに笑ってくれた。すごく可愛かったので、よしよししておく。
お会計をしようとレジの女の人に声をかけると、
「ミカヅチ様にはお好きなものを差し上げるようにとオーナーから伺っています」
と言われた。
マジすか、さすが太っ腹のディグルムさん。
お言葉に甘えて、その場で値札を取ってもらい、新衣装を着たまま店を出ることにした。
「あとは、武器が欲しいのじゃが、見に行ってもよいか?」
「うん、もちろんいいけど、ティナって魔法で戦うのがメインだよね?武器なんて必要なの?」
少なくともガルガントナでモンスター討伐をしているときは精霊魔法だけで戦ってたから気になって質問する。
「そうなのじゃが、魔法メインじゃと詠唱に時間がかかるからのう。詠唱を省略するための媒介が欲しいのじゃ」
「わかった。じゃあ武器屋に行こう」
「詠唱を省略?どういうことよ?」
「それはじゃな――」
うちのロリ魔法使い同士が魔法理論について難しい話をはじめたので、それをBGMにしながら武器屋に向かうことにした。
うん、マジで何言ってるかわからん、もはや外国語であった。
♢♦♢
-武器屋-
「エルフといえば、やっぱり弓?」
弓を片手に持って、ティナに聞いてみる。
「うぇぇ…弓は死ぬほど練習させられたから嫌いじゃ」
めっちゃイヤそうな顔をされた。なにかトラウマがありそうな雰囲気だ。
「なにか、そうじゃのう、飛び道具で面白い武器はないかのう?おっ?これはなんじゃ?」
「お客さん、そいつは銃って武器で、火薬を使って弾を発射するんだ。面白い武器だが、弾代が結構かかるのが難点だな」
店主が教えてくれる。
「ほう?面白そうじゃな、こいつを2つくれ」
「毎度!銃を使うならホルダーもあったほうがいいぜ!」
「では、それも貰おうか」
「あ、じゃあお会計を」
選び終わったようなので、オレが財布を出してレジに向かおうとする。
「大丈夫じゃ、武器の分は自分で出す」
「え?でも、あんまり手持ちないんじゃない?」
ティナとモンスター討伐をした回数はそこまで多くない。オレたちは討伐報酬を均等に分配しているから、ティナの所持金はあまりないはずなのだが。
「いや、家出するときにたっぷり持ってきておる」
そういって、ティナがアイテムボックスに手を突っ込み、おもむろにドサっと袋を取り出した。
「こ、こりゃすげぇ…」
店主が驚くのは当然で、その袋の中には、金貨以外にも高そうな貴金属がたくさん入っていた。
「それで、いくらじゃ?」
「え、ええと……」
「あ、値札はちゃんと確認してますからね?」
金塊に目がくらみ、ぼったくってきそうな気配を店主から感じたので、釘を刺しておく。
無事、定価で購入することができた。
そのまま店を出て、店の前で金持ちエルフに話しかける。
「ティナさん」
「なんじゃ?」
「オレたちの前以外で、大金を出すのはやめましょうね?
悪い人間が悪巧みするかもしれないので。例えば、さっきみたいにぼったくってやろうとか、盗んでやろうとか思うやつもいるかもしないから」
「ふむ、たしかにそういうやつらもおるな…これからは気を付ける」
「おっけ、なら大丈夫」
注意が終わったところで、ティナはさっそく、先ほど購入したベルト型のホルダーを身につけて、2丁のハンドガンを装備した。
ガンナーエルフの誕生である。
ベルトは茶色のものを選んだので、スカートやサンダルとの相性が良く、エルフの見た目と銃のアンバランス差が逆に異世界感を増していて、カッコいい。
「へー、さまになってるわね」
とソフィア。
「ところで、なんで弾は買わなかったんですか?」
とステラ。
「それは、精霊の力を借りれば弾はいらんからじゃ。この銃を媒介にして魔法を放つ」
「へー!面白いわね!あとで教えなさいよ!」
「だから、ソフィアよ、精霊と契約してないと使えないのじゃ」
「まぁまぁ、魔法の話は一旦置いておいて、そろそろご飯にしませんか?ライ様」
「そうだね、そうしよう」
リリィの提案を受けいれて、夕食を食べに行き、今日はガルガントナの宿に泊まることにした。
ふふふ、みんなをデザートにするのはいつにしようかな?
オレは夕食が終わってから、そんなことばかり考えていた。
これからの妻たちとの時間が楽しみすぎて、思わず顔がニヤけそうになっていた。
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