第97話 ロリBBAエルフと主従契約
「おはよう」
「……おはようなのじゃ。おぬしはひどいやつじゃ」
昨晩のことを恨めしそうに文句を言うティナ。
そんなティナをこれでもかとキスで黙らせてから、外に出れるように身支度をはじめた。
ティナの準備ができるまで待って、向き合って話し出す。
「ティナ」
「なんじゃ?」
「ティナは、オレの妻になってくれるんだよね?」
「そうじゃ」
「もう一生離さないから」
「う、うむ……なんじゃ突然…恥ずかしいやつじゃな…」
「それで、これから旅をするにあたってお願いがあるんだけど、いいかな?」
「ふむ?内容次第かのう?」
「えっとね、ティナの自由を縛りたいとか、そういう目的じゃないってことは分かってほしいんだけど、ティナには主従契約を結んで欲しいんだ」
「主従契約じゃと?なぜじゃ?」
「あ!まずね!これは分かってほしいんだけど!
オレが使えるのは初級の主従契約だから、特に強制力はなくて、相手が嫌だって思ったらどんな効果も簡単に解除できる契約になってるからね!だから!ティナの意思を曲げるようなことには絶対ならないから!」
オレは、奴隷にされていたティナに対して、似たような契約をしたいなんてお願いしていることに、すごく後ろめたくなって必死に言い訳を並べ立てる。
「なるほどのう?……ふむ?おぬし、まさか奴隷契約のことを思い出して必死に言い訳しておるのか?」
「うん…そうだね…なんかティナが嫌なこと思い出すかなって…」
「ふふ、なるほどの、そのことはもうよいのじゃ。むしろ、わしはおぬしに買われて……その……幸せじゃ…」
「ティナ…」
そんな嬉しいことを言われて、ジッとティナのことを見つめてしまう。
「…んんっ!!そ、それで!その主従契約とやらの目的はなんじゃったかの?」
恥ずかしくなったのか、照れた顔で咳払いされたので、話を本題に戻す。
「主従契約を結ぶとね、離れたところにいても意識共有ができて便利なのと、避妊効果を付与できるからだよ。
これから旅をするのに子どもができると困るでしょ?
あ、でも、もちろん将来的にはティナとの子どもは作りたいと思ってるよ。
……どうかな?」
「ふ、ふむ?まぁ意識共有については、わかった。しかし、子どもについては…」
なんだか気まずそうにするティナ、なんだろう。
「あれ、もしかして人間とエルフって子ども作れないとかある?」
「いや、そんなことはない。ただ、エルフは妊娠しづらい種族じゃ。人間との間となると、もっと確率は下がるじゃろう。
だから……その…できれば、避妊はしたくないのじゃ…」
まさか、そうか…
ティナはオレとの子どもを、欲しいって、そう思ってくれているのか。
「わかった。なら、避妊は無しにしよう」
「良いのか?」
当り前だ、妻の気持ちには応えたい。
「うん、もしすぐに子どもが出来ても、一旦旅は中断して一緒に育てよう」
「そうか!ありがとう!嬉しいぞ!ライ!」
不安だったのか、ティナが満面の笑みを浮かべてくれる。
「オレもティナがオレとの子どもを欲しがってくれて、すごく嬉しいよ。
じゃあ、契約するね。あ、ティナの苗字も教えてもらっていい?」
「うむ。ティナルビア・ノア・アスガルドじゃ」
なんか仰々しい名前だ。いいところのお嬢様だったりするのだろうか?
「あれ?ノアって…ノアールの名付け親ってティナだったよね?」
「うむ、ノアールの名前はわしの家名から取ったのじゃ。アスガルド王国のノア家のティナルビアじゃ」
「え?まさかティナって王族なの?」
「うむ。言っておらなんだか?」
「えぇ!?聞いてないよ!つまり、ティナってお姫様ってこと!?」
「うーむ、姫とは少し違うのう。
ノア家は王家の守護を司っておる分家の家系じゃ。王位継承権のある直系が絶滅しない限りは、ノア家に王は生まれぬ」
「な、なるほど?でも、そっか、ティナに気品があるのって、いいとこ育ちだったからなんだね」
「気品?ふふ、そんなものを感じておったのか?それは気のせいじゃ」
「そ、そうかなー?だって、こんなに綺麗だし、食事のときとかの所作が上品だったから」
「も、もうよい…あまり、恥ずかしいことを言うな」
ティナが赤くなってジト目で睨んできたので、それくらいにしておいた。
「じゃあ、契約するから」
「うむ」
「汝、ティナルビア・ノア・アスガルドは、我、ライ・ミカヅチを主人と認めるか?」
「うむ、認めよう。愛してるおるぞ」
「ありがとう。オレも愛してる」
そう言って、ティナの薬指に指輪をはめる。
指輪が光り、ライ・ミカヅチの名前が刻まれた。
オレは4つ目の指輪なので、申し訳ないと思いつつ、人差し指にはめる。そこには、ティナルビアの名前が刻まれた。ノア・アスガルドはイニシャルだけが刻まれる。
「これで正式な妻じゃな」
ティナが指輪を眺めて嬉しそうにする。
可愛かったので、頭を撫でて、抱きしめてキスをした。
「じゃあ、みんなにも報告しようか」
「うむ」
こうして、4人目の妻となったティナと手を繋ぎ、みんなが待っている宿のロビーに向かうことにした。
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