第46話 毎朝最高の料理を作ってくれる美少女
翌日、オレは騎士団長さんとの約束通り、昨日より1時間ほど早くファビノ食堂に来ていた。
扉を開けて「おはようございます!」と声をかける。
「あ、おはようございます♪お待ちしてました」
テーブルを拭きながら、彼女が笑顔で挨拶を返してくれる。すでにロウソクも準備してくれていた。
「こちらにどうぞ」
「はい!今日も楽しみにしてきました!」
「うふふ♪ちょっと待っててくださいね」
オレはテーブルに座ってワクワクしながら料理を待っている。すぐに彼女がお盆に乗せた料理を運んできてくれた。
「〈春野菜を添えたエッグベネディクト〉です。それと、〈春野菜のコンソメスープ〉です」
「わー!楽しみだな!いただきます!」
オレはニコニコと手を合わすと、まずは料理の観察からはじめた。
丸型のマフィンの上に大きなベーコンがのっていて、その上に半熟の卵がのっている。そこにトロトロに溶けたチーズがかぶさっていた。そして、サイドには緑系の野菜をメインにいくつかの野菜がかわいらしく配置されている。
スープの方も彩りが良く、いくつもの野菜が黄金色のスープの中に浮いていた。
「今日の料理もオシャレでカワイイですね!」
「ありがとうございます!ぜひ味の方も教えてください!」
彼女はまた立ったままオレのことを見ていたので、「よければこちらに座りませんか?」と正面の席に誘ってみる。
「いいんですか?では、お言葉に甘えて」
すぐに正面に座ってくれた。
今日もナイフとフォークを使いながら食事をする。
「昨日のも美味しかったですが、今日のこのエッグべねでぃくと??もとっても美味しいです」
「うふふ、ありがとうございます」
オレのたどたどしい料理名の発音を笑われてしまう。いやー、美少女の笑顔は最高だね。
「美味しかった〜。大満足です!」
「お粗末様です。あっ、お茶お出ししますね」
いいながら、厨房の方に向かっていったかと思うとコーヒーを出してくれた。コーヒーの味はあまり詳しくないが、これもとても美味しく感じた。
「うーん、深みがあって美味しいです。これは豆が違いますねぇ〜豆が」
と通ぶってみたら、
「あははっ、ホントにわかってるんですか」
と彼女は笑ってくれた。
「うふふ、ホント調子がいい人ですね。あ、えーと、あなたは…」
「あ!遅くなりましたが、オレはライ・ミカヅチ!冒険者をやっていて、最近リングベルに来ました!」
自己紹介していなかったことに気づき、あわてて自分の素性を明かす。
「そうですよね。この町の方じゃないのはわかっていましたが、冒険者の方でしたか
リングベルでは珍しいですね」
「そうなんです。冒険者稼業をやるには難しい町だって知らずに来てしまいました。えっと、あなたは?」
「あ、私は…ス…」
「ス?」
「スナフ!スナフ・ファビノです!」
キン?
どこぞの吟遊詩人のような名前だ。まぁ人の名前をどうこうはいうまい。
「スナフさん!これからよろしくお願いします!オレのことはライと!」
「はい、ライさん、これからよろしくお願いしますね。リングベルにはいつまで滞在を?」
「んー、しっかりとは決めていないんですよね。でも!今はこんな美味しい料理を毎日食べれるのでずっといたい気分ですよ!あっ…」
歯の浮くようなことを言っていることに気づくがもう遅い。でも、本心であった。
「あ、ありがとうございます……あ!明日もがんばりますね!」
彼女は手を合わせながらニコッと微笑んだ。
少し頬が赤い。その様子を見て、オレも少し恥ずかしくなってしまう。
「…えっと、スナフさんはこの後、お仕事なんですか?」
今の時刻は8時半くらいだろうか。1時間くらい早く来てほしい、と伝えられていたので、これから用事があるのだと推測する。
というか、間違いなく騎士団のところに行くのだろう、だって騎士団長なんだし。
「え、えぇ…そうですね…」
しかし、なんだか気まずそうにしているので、それ以上は聞かないようにする。
騎士団長だもんね、とは言わないことにした。
一応、変装?してるみたいだし、気づいてないように振る舞った方がいいと思ったのだ。
「わかりました!では、お邪魔するのも良くないので、オレはそろそろ行きます!」
朝食の代金を支払って席を立つ。
「そういえば、スナフさんは朝食どうしてるんですか?」
「今から簡単なものを食べようと思ってますよ?」
「そうなんですか?あの、もし良かったら、明日からは一緒に食べませんか?」
「え?いいんですか?」
「はい!その方がオレも楽しいですし!」
「わかりました。じゃあ、明日からは一緒に食べましょう♪」
「はい!じゃあまた明日!」
明日からは、スナフさんと一緒に朝ご飯だ。楽しみに思いながら、帰り際に攻略スキルを開くと、
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スナフ・ファビノ
好感度
41/100
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とずいぶん好感度が高いことを確認できた。
リリィは〈3/100〉、ソフィアは〈13/100〉スタートだったので、最初からだいぶ高い。
これはもしかしてチョロインなんですか?スナフさん♪とか能天気に考えながら、軽い足取りで宿に戻るオレだった。
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