3章 白髪クソガキ魔女っ娘

第21話 正妻に浮気の相談してみた

 隣で眠るリリィを見ながら、オレは今後のことを考えていた。


 ここ1週間、モンスター討伐をこなしながら生活してみていくつか課題が見えてきた。


 まずは風呂だ。この世界では日常的にお湯を使って風呂に入るという習慣がなく、井戸水で身体を拭くのが常識だ。

 試しに宿のおかみさんに頼んで桶一杯のお湯を購入してみたが、「何に使うんだい?」と不思議がられた。


 その日の夜、購入したお湯でリリィの身体を拭いてあげると「あたたかいお湯だと気持ちがいいですね!」とすごく喜んでくれた。

 しかし、お湯を頼むたびに奇異の目で見られるのもめんどうであった。つまり、自分でお湯を調達できるような魔法を覚えたい。


 これが1つ目の課題だ。


 あともう一つ、何度もモンスター討伐をこなしていると、そのモンスターを倒すことに慣れてきて、まとまった数を倒すことができるようになってくる。


 そのため、モンスターの素材もまとまった数持ち帰る必要があるのだが、その運搬が意外と大変なのである。

 中には毒を持つ素材や触ると痛いものもあり、気を使って運搬するのがめんどうであった。


 なので、やはりアイテムボックスの魔法は必須だなと思っている。


 この2つの課題を解決すべく、魔法道具屋に向かったのだが、この世界に魔法のスクロールをめくればすぐに魔法を覚えれるー。といったものは存在せず、地道に教本で学ぶしかないということがわかった。


 試しに高い金額を出してアイテムボックスの教本を買ってみたが、ちんぷんかんぷんであった。


 リリィにも見せたが、わかりそうもない、とのことだった。申し訳なさそうにしていて、かわいそうだったので、たっぷり可愛がっておいたのは言うまでもない。


 で、話を戻すと、


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魔法を覚えるには教本で勉強する必要がある。

でも教本見てもわからない。

魔法を教えてくれる先生が必要。

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 という結論になる。


 ここまで考えて、オレは攻略スキルを使った。


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検索条件

 ・美少女

 ・処女

 ・現在、恋愛対象がいない

 ・一夫多妻制への抵抗が少ない

 ・条件が揃えば旅に出れる

 ・魔法に精通しており、他人に教えることができる

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『検索』


 随分と都合が良い条件だなと自覚はあったのだが、なんと、オラクルの町中に赤い点が1つ表示されている。


 さすが冒険者の町、人材は豊富なようだ。渡りに船である。


「……」


 あとは、リリィになんて言うかだなぁ。オレは頭を悩ませながらも今日は寝ることにした。



「リリアーナさん、ちょっと真面目な話しがあります」


「はい、なんでしょうか?」


 オレはベッドに正座しながらリリィに向き合う。オレの様子を真似てリリィもこちらを向いてくれる。


「あの、魔法の教本のことなんだけど、オレたちじゃ見てもわからなかったよね?」


「はい、申し訳ないですが、その通りです」


 リリィがシュンとしてしまう。


「いやいや!そこはオレも同じだから気にしないで!

 それでね!アイテムボックスを覚えるには魔法の先生が必要だと思うんだ!」


「ふむ、たしかにそうですね」


「だから、今日から仲間になってくれそうな魔法がうまい人を探そうと思うんだ」


「それは、アイテムボックスを教えてもらうだけでなく、パーティに入れる、ということでしょうか?」


「う、うん、そうだね……そ、それでですね……

 その先生なんだけど、オレとしては女の子を勧誘したいと思っております!」


 勢いで言うしかない。


「女の子ですか、理由をお聞きしても?」


「それは!オレが女の子に囲まれたいダメ男だからです!」


 勢いでなんとかなるのだろうか?


「………なるほど、つまりライ様はわたしだけじゃ満足できないと…」


「へ!?いや!そんなことはなくて!リリィは最高で!めちゃくちゃ愛してて!

 でも……なんというか…男のロマンを追い求めたいというか…なんというか……スケベで、すいません…」


「……ふふっ。意地悪をしてしまいましたね」


 リリィは怒っているのかと思ったが意外にも平然としていた。


「わかりました。今日から新しい仲間を探しましょう」


「……いいの?」


「正直、複雑な気持ちはありますが、ライ様がわたしのことを愛していただいているのはよく分かっているつもりです。なので、そこに不安はありません。

 それに元々、ライ様はわたしだけが独占してもいい器の方ではないと思っておりました。ライ様はこれから多くのことを成す方だと思っています。なので、仲間も増えていくでしょう。

 でも……少し不安があるとしたら…その…パーティが増えても…今までのように、可愛がっていただけるのでしょうか?」


 恥ずかしそうに上目遣いでそう言われる。


「っ!?もちろんだよ!たくさん愛すよ!」


 オレはたまらずリリィを押し倒す。


「……まだ、朝ですよ?」


 赤くなっているリリィに覆いかぶさり、オレがどれだけリリィを愛しているか教え込むことにした。

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