第22話 ハーレムへの第一歩

 リリィの承諾も得たことだし、オレは攻略スキルを開いてマップ上の赤い点を選択し、『攻略対象に設定』と念じた。


 すると、攻略さんからすぐにアドバイスが表示される。


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ギルドに行き、パーティ募集の貼り紙を確認してください。


その後、モンスター討伐依頼をこなし、夕方までにはギルドに戻って来てください。


ギルドに戻ったら、騒ぎを起こしている中心人物に接触し、なにを言われても反論せず、パーティに誘ってください。

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「……」


 〈騒ぎを起こしている〉

 〈なにを言われても反論せず〉


 この2つの文言が気になる……気性が荒そうな人物である。


 まぁ!でも!会ってみないと何もわからないしね!


 オレはハーレムの第一歩を踏み出せることで謎のポジティブを発揮し、これ以上考えるのをやめた。


「じゃあ、そろそろギルドに行こうか」


 カーテンの向こうから、身支度が整ったリリィが出てきたので、そう声をかける。


「はい、お待たせしました」


♢♦♢


 オレたちはギルドに赴き、まずは攻略さんの指示通り、掲示板でパーティ募集の貼り紙を確認した。


 パーティ募集、パーティ募集、あ、この辺か。


 パーティ募集の張り紙は、掲示板の右端にまとまっており、今は3枚しかないようだった。


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1枚目

 [募集人材] 回復魔法が使える方

 [条件] ランク制限なし、どなたでも

 [現パーティ構成] 前衛職3名

 [ひとこと] アットホームな男の園です


2枚目

 [募集人材] 前衛職募集

 [条件] 冒険者ランク上級以上

 [現パーティ構成] 魔法職上級Aが1名

 [ひとこと] 特になし


3枚目

 [募集人材] 攻撃魔法が使える後衛職の方

 [条件] 冒険者ランク中級以上の女性の方

 [現パーティ構成] 前衛職の女性2名のパーティです

 [ひとこと] 優しくて気軽に話せる子がいいです

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 なるほど、この3枚のうち、攻略対象の子が出したものがあるとすれば、2枚目だろう。


 相手は魔法を教えることができるレベルの魔法使いだ。


 [現パーティ構成]のところを見ると、魔法職で冒険者ランクが上級Aということなので、たぶんこの張り紙を出した子が攻略対象なんだと思う。


 んー、だとしたらマズいな。


 相手は上級以上の冒険者をお求めのようだ。オレのランクは中級C。この募集条件には当てはまらない。

 まぁ、攻略さんを信じるなら、なんとかなるのだろう。


「とりあえず今日もモンスター討伐にいこうか」


「はい」


 オレはパーティ募集の張り紙から目を離し、リリィに向き直る。


 そこで、周囲から注目を浴びていることに気づく。主に男の冒険者たちからの目線だった。そいつらは皆、リリィの方を見て様子を伺っていた。今までもリリィのことを見てるやつはいたが今日はやけに多い。


 そりゃこんだけの美少女だ。目を引くのもわかるが、なんだ?


 あ、そうか、エマの防具だ。今までのシスター服は、わりと地味目であったので、そこまで注目を浴びなかったが、今は違う。

 女性的で可愛らしい服をきた絶世の美少女がいるのだ。注目されるのは当然のことだろう。


「おい、おまえ声かけてこいよ?」

「いや、でも男連れだぜ?」

「あいつの女じゃねーかもしれないだろ?」


 みたいな声が聞こえてくる。


「……」


 オレはおもむろにリリィの頭を撫でて、

「いやー!今日もオレのリリィは可愛いなぁ!」

 と少し大きめの声を発する。


「あの、ライ様、恥ずかしいです…」

 少し赤くなってしまうリリィ。


 その様子を見て、周りの男たちからの視線は感じなくなった。

 あからさまに「チッ」と舌打ちをしているやつもいた。


 これで声をかけてこないだろう。満足したので、依頼書を持って受付に向かうことにした。


♢♦♢


 適当なモンスター討伐として、中級Cレベルの猫型モンスターを討伐することにした。


 見た目は可愛らしいため、討伐するのに抵抗を覚えたが、いざ戦闘になるとかなりの素早さに翻弄されることになり、少し苦戦してしまった。

 だが、しばらくしたら対処できるようになり、無事8匹の討伐をこなすことができた。今は二股の尻尾を剥ぎ取っているところである。


 まだ日は高いが、夕方までにはギルドに戻れ、という攻略さんの指示だったので、早めに帰ることにする。


 さぁ、一体どんな女の子が待ち受けているのだろうか。


 オレは討伐の疲れなんてすっかり忘れて、ワクワクした足取りで町へ向かって歩いていった。

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