第8話 美少女攻略スキルの効果

「シーナちゃんは、短剣と魔法を使うの?」


「え?はい。初級ですけど魔法が使えます。短剣は、一応持ってるって感じです」


「あ、ごめん。タメ口イヤだった?」


「いえ、ぜんぜん大丈夫ですよ!ライさんは剣がお得意なんですか?」


「いやーどうなんだろ?使ったことないし」


「え?」


「あ!でも魔法は結構自信あるよ!」


 シーナちゃんがドン引きしかけていたので、フォローする。


「へ、へー……そうなんですね…」


 頬がひくひくしている。あんまりフォローできなかったようだ。


 まぁ、実力を見せればいいことだし、他の話をすることにした。


 なんで冒険者になったとか、次はどこの町にいくのかとか、そんな話題だ。


 美少女とのお話を楽しんでいると、すぐに小さい湖の水辺につき、討伐対象が水を飲んでいるのを見つけることができた。


「じゃあ、前衛はオレで。まずはシーナちゃんの魔法で攻撃しようか」


「はい。いきます!ファイア!」


 シーナちゃんの初級魔法がホワイトバイソンに直撃する。


 ホワイトバイソンは「ンモォォ」と悶えたあと、こちらに向き直り睨みつけてきた。あんまり効いてるようには見えない。

 

 興味深く観察しているとヤツがオレに向かって突進してくる。


 なぜかあまり恐怖心を覚えず、適当に剣を構えて角に叩きつけると

 バキンッ

 と鈍い音をたててホワイトバイソンの角が叩き折られた。


 その動きの流れでするっと突進をかわす。角を折られたことで、さっきよりも大きな唸り声をあげているのをみて、「サンダーボルト」と片手を構えて唱える。


 バリバリと腕から発せられた雷撃は、ホワイトバイソンに命中したかと思うと、一瞬で黒焦げになる。

 ヤツは、なにも発することができず、ズドンと倒れるだけであった。


「す、すごい……すごいです!ライさん!中級魔法を使えるなんて!それに身のこなしも!熟練の剣士みたいでした!」


「……」


 んー、コレですよコレ。シーナちゃん、とてもいいリアクションですね。花丸です。

 俺TUEEEといえばこれ。美少女からの「まさかこんなに強かったなんて!」という賞賛。

 うーむ、素晴らしい。


 いかんいかん。感動を噛みしめるのもいいが、返事をしないと。


「いや、たまたま上手くいっただけだよ」


「そんな!謙遜がすぎます!初級Cでこんなに強いなんて、すごすぎますよ!すぐにランクも上がると思います!」


「そうかな?ありがと」


「ところで、討伐完了の証明ってどうやればいいのかな?」


「えと、角を持ち帰れば大丈夫だと思います!」


「そうなんだ、わかった、ありがとう」


 オレはさっき叩き折った角を拾って腰のベルトに挟みこむ。


「じゃあ帰ろっか」


「はい!」


 帰り道、シーナちゃんは行きと比べて明らかにテンションが高かった。


 「いつから中級魔法覚えたんですか!?」

 「剣使ったことないってウソですよね!?」

 「どこかの国の騎士とかだったんですか!?」

 など、質問責めだ。


 適当に答えつつ、隙をみて目をつぶる。


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シーナ

 好感度

  60/100

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 ビックリするくらい好感度が上がっていた。


 ギルドで最初会ったときは23/100

 武器屋を出たあたりは15/100

 まで下がってしまい、まったく脈は無さそうだったのに一気に半分をこえてきた。


 ぐへへ……

 この調子でいけば攻略できるんだな。ワクワクしますね。


 オレは、確かな手応えを感じつつ、これからのことに期待を膨らませて、ギルドへの帰り道を進んでいった。



 カランッ

 ギルドの扉をあけて受付に向かう


 そこには1人の若い男がいて、カウンターに身体を預けながら、受付嬢と話していた。体調が悪そうである。


「リック?」


 シーナちゃんがそう言いながら男性に駆け寄る。


「こんなところでなにやってるの!?宿にいないとダメって言ったでしょ!?」


「いや、だって、お前が1人で出ていったから心配になって。もしかしたら1人で依頼受けたのかと思って」


「もう!そんなのいいから!こっちきて座って!」


 シーナちゃんはリックという男の肩を抱えて椅子に座らせる。そこでオレと目が合う。


「あんたは?」


「あぁ…オレは…」


「この人はライさん!わたしの依頼を手伝ってくれたすごい人なんだから!リックもライさんみたいに頼りになってもらわないと!」


「なんだよそれ。えー、ライさん?オレはリック。シーナとパーティを組んでる。今日は手伝ってくれてありがとう」


 熱があるのだろう。フラフラとしながらも丁寧にお礼を言っている。


「いや……こちらも1人だったので…大丈夫です…」


 2人があーだこーだと話しているうちに、依頼の完了手続きを済ます。ホワイトバイソンの角は、受付嬢に回収された。


「じゃあ、シーナさん、これ報酬の半分です。では」


「え!ライさんが倒したんだから貰いすぎですよ!」


「いやいや、大丈夫です。じゃあ」


 言いながら、急足でギルドの扉をあけて外に出る。


「ふぅ……」

 お相手がいるなんて聞いてないよ…


 ガッツリ萎え散らかした声色でため息をつく。


 シーナちゃんの攻略は順調のように見えたが、すでに好きな相手がいる人から略奪する趣味はなかった。

 スケベ人間のくせに、NTRは嫌いなのである。


 シーナちゃんが彼のことを好きなのかどうかは知る術がないが、恋愛経験値の低いオレの目から見ても相思相愛のようだった。


「まっ、お幸せに……」


オレはトボトボと歩きながら、今後のことを考えていた。




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1章まで読んでいただきありがとうございます♪

次章では、プロローグに登場したあのヒロインの攻略が始まります。

引き続きお楽しみください。

そして、ここまで読んで、面白い、面白そう、と思っていただけましたら、

作品情報から★をいただけないでしょうか?

モチベアップのためにも!なにとぞ!なにとぞ!お願い致しますm(__)m

                                真心糸

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