第7話 はじめての美少女攻略

 資金にある程度余裕ができたオレは、攻略スキルを開いて、次の行動に備えていた。

 そう、美少女の攻略である。ワクワクしかしないワードだね。


 ギルドの宿泊スペースで攻略画面を開いて、検索条件を設定する。


条件は、

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・美少女

・処女

・冒険者

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である。


 冒険者という条件を追加してみた理由は、これから、この異世界を旅するにあたって、冒険者だと都合がいいかなと考えてのことである。


『検索開始』

 と念じると、町の中に赤い点が1つ表示され、宿屋で止まっていた。今はまだ朝方なので寝ているのだろうか。


 ここ数日は依頼をこなすばかりで、この子とは遭遇しなかったが、今日はまずコンタクトを取りたいと思っている。


 どうやって会いにいこうか?と考えていると、そんなこと考える必要ないな、と気づく。彼女は冒険者なんだし、きっとギルドに来るだろう。


 赤い点を選択して、『攻略対象に設定』と念じる。


 すぐにアドバイスが表示された。


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・ギルドの待合スペースで待機し、掲示板にきたところで話しかけてください。


・1人で依頼をこなすことを悩んでいるため、一緒に依頼をこなしましょう。


・依頼では中級魔法が使えることを見せてください。

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 なるほど、便利である。では、待つとしようじゃないか。



 身支度を整えて、ギルドにて待っていると、

 カランッ

 と扉が開く音がする。


 扉の方をみると、茶髪でツインテールの女の子が現れた。ツインテールは小さめの束にまとめられていて幼い印象を受ける。

 服装は、駆け出しの冒険者かな、という地味目の防具を身につけていて、短剣と小さな杖?のようなものが腰にぶら下げられていた。

 顔は、検索条件に設定したとおり、可愛かった。


 ぐへへ、かわええなぁ、と思いながらも、あまりジロジロ見過ぎないように注意していると、その子が掲示板の方へ向かう。


 掲示板を眺めながら、

 「どうしよう、1人でできるかな」

 と呟いていた。


「あの、ちょっといいですか?」


「え?はい、わたしですか?」


「もしかして1人ですか?よかったらオレとパーティ組みませんか?」


「えぇ!?いきなりパーティのお誘いですか!」


 ん?びっくりしている様子だった。なんか間違えたようだ。


「あ、すみません。パーティじゃなくてもいいので、一緒に依頼をこなしませんか?オレも1人なので、少し不安なんですよね」


「あ、あぁそうなんですね。わたしも1人でモンスター退治なんて出来るのかなって不安だったんです。だから助かります!」


「モンスター退治だと、どれを受けようとしてたんですか?」


「えと、このホワイトバイソン討伐っていう依頼です」


「なるほど」


 難易度は初級Aに設定されていた。オレが受けれるギリギリのランクだ。


「あの、えーと、オレはライといいます。冒険者登録したばかりで初級Cなんですが、あなたのランクを聞いてもいいですか?」


「あ!はい!わたしは、シーナといいます!ランクは初級Bです!」


 あ、ランク負けていた。断られるかも?


「じゃあ、さっそく受けてきてもいいですか?」


 杞憂だったようだ。


「はい。じゃあコレにしましょう」


 2人して受付に向かい、ギルドプレートを提示する。そのとき、こっそりと目を閉じて、シーナちゃんの好感度を確認する。


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シーナ

 好感度

  23/100

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 なるほど、初期値は八百屋のおばちゃんとそう変わらんな。

 

 確認が終わったら目を開けて、依頼用紙を持ってギルドの外に出た。


「あの、ライさんはどんな武器を使うんですか?見たところ、何も持っていないようですが……」


「あー、剣士志望なんですが、まだ武器が用意できてなくて。もし良かったら武器屋に案内してもらえないですか?」


「そうなんですね……わかりました。じゃあ、まずは武器屋に行きましょう」


 シーナちゃんから少し頼りなさそうな目を向けられた気がするが、気にしないようにして後をついていく。



「いらっしゃい」


 いかついオッサンが店番をしている小さな武器屋に到着した。防具も置いているので、冒険者の初期装備は一通り揃えれそうだ。

 でも、たいしてお金ないし、とりあえず剣だけでいいや。


「あの、剣ですとこのあたりかと」


「うん、ありがと」


 値札を見てみる。

 3万、5万、10万ルピー。

 ……たっけ。

 いや、まぁ戦いに使うもんだし、これくらいはするんかな。


 でも、3万ルピーしかない全財産を使う気にはならず。


「うーん」

 と唸りながら店内を見渡す。


 そうすると店の端っこに、

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どれでも1万ルピー

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 と書かれた張り紙と、樽の中に雑多に放り込まれている武器を見つけた。


 その樽の中をあさって、剣の形をしたものを何本か触ってみる。


「んー、これにするか」


 オレは腰から足元くらいの長さの剣を選んだ。初期装備だし、特にこだわりはない。

 会計を済ませていると、シーナちゃんから

 ホントにこいつ大丈夫か?

 といった目線を向けられていたが、無視することにした。


 攻略アドバイスには何も記載されてないイベントだし、大丈夫なはずだ。

 ……大丈夫だよね?


 不安になって好感度を確認したところ、

-------------------

シーナ

 好感度

  15/100

-------------------

 下がっとるやないけ!!


 不安になる。しかし、オレには最強のチートスキル、攻略スキルさんがついているのだ。

 だから、大丈夫なはずだ。そう、自分に言い聞かせる。


「…じゃあ、行こうか」


「はい…」


 不安な気持ちを抱えながら、2人で町を出て、依頼書にかかれているモンスターの生息地に向かうオレたちであった。

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