第13話
「あっ」宗太が気のない声を出す。
「もしかして、カバンそのものが重要なんじゃないか」
「カバンそのもの?」
「なんとなくだけど、池田が、このカバンを持っているのは、いささか不自然な気がする」
「個人がどんな物を持とうが、その人の勝手だろう」
「でも、このカバン、ちょっと大げさすぎないか?」
「大げさ?」
「たかだか財布とか携帯を入れるぐらいなら、もっと小ぶりのカバンがあるじゃないか。それこそ、千堂が使っているカバンはポーチだろう」
たしかにボストンバックと言えば、ちょっとした小旅行くらいは賄えそうではある。
「池田の職業は看護師だ。家と職場の間を行き来する仕事道具なんて、そんなに多くないだろう?」
「医療道具は、まさか…持って帰る訳ないしなあ」
「かといって、制服を持って帰るとは思えないぞ。ナース服で通勤している看護師がいれば、コスプレもいいところだ」
その言葉に、宗佑の頭の中で何かが繋がった。同時に、稲妻が走る。
「兄貴」宗佑は空を見つめて言う。焦点が合っているのか、合っていないのか。端から見ていると不気味だ。
「事件の日の池田アキの服装は分かるか?」
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