第7話
「どうだ?不思議だろう?」宗太は得意げに言う。
「それで、この事件を記事にして、怪しげな実話系雑誌に売り込んだ訳ね....」
宗佑は記事を横目で見ながら、「でも、単純に『不思議な事件です』ってだけじゃ、インパクトに欠けるなあ」
「だろ?だから、お前の推理が聞きたいんだよ。俺はお手上げだ」
これこそが宗佑を呼びつけた目的である。
「まず確認したいのが、唯一の目撃者である、トラック運転手の証言だな」
「そう言うと思って、確認してある」
「取材によると、運転手はこう警察に証言したそうだ。いわく、『千鳥足で道路に躍り出て来たもんだから、一目で酔っ払いだと分かった。交差点は薄暗かったし、あまりに突然のことで、ハンドルを切ったが、間に合わなかった。』」
「じゃあ、牧口は酒に酔っていたのか」
「酔った勢いでの犯行という可能性は否定出来ない。ただ、確証もないな。奴の体内にアルコールが残っていたかは、未確認だ」
宗佑は腕を組んだ。悩んだ時のいつもの癖である。そのまま黙り込む。
「なるほど。さっぱり分からん」
「だろ!やっぱりお前でもお手上げか」宗太が嬉しそうに言う。
「あのな、兄貴は本気で俺に事件を解いて欲しいのか?」
「無論、そのつもりだ。ただ、あっさり解かれると兄としての威厳が無くなる」
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