第4話

「全員死人で、死人に口なしだ。でも、兄貴、やっぱりオカシイぜ。警察は牧口を犯人と断定したんだろう?被害者も死んで、ちゃんとした目撃者もいない。そんなあやふやな状況じゃあ、捜査は出来ないはずだ」


「たしかな物証があったのさ」


宗太は警察関係者から取材した内容を確認するために、メモ帳を開いた。


「千堂・池田の両遺体のすぐ側に、ナイフとスタンガンが落ちていた。まず前者のナイフだが、二人の遺体の傷跡とも照合した結果、ピタリと一致した。これが凶器で間違いない」


「なるほどね。そこから、牧口の指紋が見つかったんだな?」


宗太は頷く。「続いて、スタンガンだが、こちらからは、池田アキの指紋が出た。おそらく護身用で持ち歩いていたんだろうな」


「なんと、随分と防犯意識の高い看護師だな」


「加えて、トラック運転手の証言では、牧口はボストンバックを持っていたそうだ。このバックも事故現場で警察が押収した」


「被害者のものか?」


「そう推測される」


「どっちの?」


「池田アキだ。彼女の友人にも確認したが、池田は、職場への通勤用に時たま、このボストンバックを使っていたらしい」


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