第2話

「ところで、用事って何?まさか、この原稿を読んで、感想を聞かせろ、とかそういう感じ?」


宗佑が心底、迷惑そうに言う。


「まあ、なんというか、ちょっと話し相手にでも、と思ってな」


「兄貴....」


宗佑は気の毒そうな顔を向ける。「友達、いないのか?」


「失礼な奴だな。ちょっと、頭の整理をしたいだけだよ」


「ふーん、結婚でもすんの?」


相変わらず的外れなことを言う弟を無視して、早速本題を切り出す。


「宗佑、お前、この事件について、どう思う?」


「この事件って、この記事の?」


「ああ、そうだ」


宗佑は、改めて原稿を確認した。胡散臭い内容で、見出しからして、既に怪しい。




『深夜の連続殺人。新宿区の怪事件』




「腹が減ってて、読む気がしないなあ」


見出しを一瞥しただけで、宗佑は顔を上げた。


「お前なあ。そんな態度じゃ、社会でやっていけないぞ」


「いや、これはやる気の問題じゃない。能力の問題だ。要約してくれ」


「まったく、仕方ない奴だな」宗太は呆れながらも、「一週間前、新宿区の路上で、二人の成人女性の刺殺体が見つかった」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る