三(死)体

@bankman

第1話

「なあ、兄貴。ホントにこんな馬鹿げた記事で、金が貰えるのか」


「馬鹿げた記事って...お前、タイトルしか読んでないだろ」


平日の昼過ぎ、どこにである喫茶店での会話である。

二人の兄弟が、テーブルを囲んでいた。


兄、柳宗太そうた。職業は、フリーのライターである。

そして、弟は、柳宗佑そうすけ。大学生という名のニートである。


「ちなみに、原稿料って、いくら貰える予定なの?」


「それは、これから仕上がる最終稿の内容によるな」


先ほど宗佑に渡した原稿は、あくまで案に過ぎない。このまま編集部に渡しても問題ないのだが、幾つか引っかかる点がある。


「俺もライターにでもなろうかな。文章を書くだけなら、俺にでも出来そうだ」


「あのな。警察関係者は勿論、被害者の友人たちにも念入りに取材したんだぞ。ものぐさなお前には到底、出来ない仕事だよ」


宗太は、ここしばらく、ある事件の取材をして、それを原稿に纏めたところだ。

しかし、どうにも締まりが悪い。

自分だけではどうにもならないので、弟の知恵を拝借しようという訳である。


この弟というのが、怠け者なのだが、昔から他の人間とは違う視点でものを見ているようで、なかなか馬鹿にできない。

今まで、いくつかの事件を解決しており、警察内部にも弟を知る者がいたりする。

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