第3話 お昼ご飯

「ルナちゃん、お弁当持って来てるんだ」

「うん」

「上に学食があるから、そこで食べよう」

「持ち込みしていいの?」

「みんなそうしてるよ」


 5階へ上がると一気に賑やかになった。


「『菜の花のおしたし食堂』が和食で、こっちの『KKモントレイユ』が洋食、『左手でクレープ』が軽食。学校からの助成金があって安く食べられるの。ミカ今日は何食べる?」

「うーん、夕べハンバーグだったから和食かな」


 カエデたちは食券を買うのに並んだ。


「ルナちゃん、窓際の席確保しといて」

「わかった」


 ルナは誰にも座られないように、向かいの席に弁当を置いた。

 すると、それにも関わらず近づいて来た人物がいた。


「誰にも言うなよ」


 三橋が釘を刺しに来た。


「彼女に用事があるのか?」

「いえ、初めての学校で不安だと思って励ましてたんです」

「三橋君は優しいね」

「理事長、ここの席が空きました」


 よりによって真後ろの席に座らなくても。理事長なんだから、もっといいもの食べに行きなさいよ。


「ここの学食は結構いけるんだよ。だけど、ときどきチェックしに来ないとな」

「覚えておきます」


 もう理事長になった気分でいる。


 二つ先の席が空いたのでルナは移動した。

 それを見た理事長が、何も遠慮しなくてもと言った。

 遠慮じゃないの避けてるの。


「ルナ、先に食べてくれたら良かったのに」


 かつおだしのいい香りをさせた蕎麦をトレイに載せミカが言った。


「何か食欲なくなっちゃった」

「ヤツのせいだね」


 カエデの天丼も美味しそうだった。


「お弁当と代えてあげようか? 蕎麦の方が食べやすくない?」

「いいの?」


 ミカの言う通り、確かに好物の蕎麦は喉通りが良かった。


「う~ん、ルナのママの厚焼き卵うま~い」

「わ~お、お弁当ですね」


 いつの間にか隣に座った金髪女子が目を見開いた。

 外国人?


「ワタシも食べていいですかあ?」


 ミカに卵の半分を口に入れてもらって満足そうな笑みを浮かべた。


「ブリュヴェール、初めてのお弁当の味はどう?」

「おいしいです。とてえもおいしいでえす」

「明日からお蕎麦にしようかな」


 ルナがぽそっと呟くと、


「私もルナのお弁当食べた~い。明日は私と代えっこして」


 カエデが力強く言った。


「話が弾んでるね」


 トレイを返すのに理事長がテーブルの横を通り過ぎた。

 本当はフレンドリーでいい理事長なのだろうが、傍仕えがあまりにも悪すぎた。

 三橋が通り過ぎて行くと、ルナは身震いした。





🏠菜の花のおしたしさん、お名前をお借りしました。ありがとうございました。

作品 『ウタ』


https://kakuyomu.jp/works/16817330660222165365


🏠KKモントレイユさん、お名前をお借りしました。ありがとうございました。

作品 エトワール1993』


https://kakuyomu.jp/works/16817330651518193136


🏠左手でクレープさん、お名前をお借りしました。ありがとうございました。

作品 『らいかんさんが逝く!』


https://kakuyomu.jp/works/16817330653870648603


🏠ブリュヴェールさん、お名前をお借りしました。ありがとうございました。

作品 『独り言ノート』


https://kakuyomu.jp/works/1177354054898045550 





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