第4話
「へぇ、
「はい、
それだけで大体のことを察する
「・・・・・・仇討ちかい?」
暫しの沈黙。
「相手は? 武士かい?」
三十路ほどの女はふと視線を天井へと向ける。
暫く沈黙したあと口を開いた。
「はい、
そこから
「で、何でまた
それとも主家が動かない、動けない程物騒な事にでも首を突っ込んだのかねぇ」
どう考えても公金横領、代官の
そしてその下手人を追っている若い二人。
主家が動けていない段階で、まぁ失敗は目に見えている。
「まぁいいさね、それで仇討ちの許可は?」
「・・・・・・あんた、主家の許可無しで追ってきたのかぃ。・・・・・・呆れたねぇ」
仇討ちには手順がある。
まず、主家に許可を貰う。
見つけたら仇討ち。
見事打てたら奉行所に人殺しの罪人として一度捕まる。
主家の許可証を
また、逆に討ち取られた場合は相手方は無罪放免。
もっとも仇討ち以外の事で追われていたら別ではあるが・・・・・・。
そして領外へ出る場合は主家より幕府へと話が行く。そこで各奉行所の
目の前の女と
「ん? 主家の姉川家は仇討ちを認めなかったのかい?」
鬼灯の問いに女は暫く沈黙する。
ゆっくりと時間をかけた後、事情を話し始めた。
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「実は姉川家と
【仇討ちは諦めて任せろ、動くことは
何故亭主が殺されたのかも分からない上に説明すらありません」
三十路ほどの女は溜息を吐く。
(ああ、やっかいなことに足を突っ込んだかぁ・・・・・・。
余程のことなのだろう。
しかし主家の姉川家だけではなく隣家の
余程どころじゃないね、これ
しかも主家の止めを振り切って仇討ちね・・・・・・、最悪だよぉ)
「で、あんたはおとなしくしておくことが出来ずに国を出た・・・・・・と?
得物を持たずに出たのは仇討ちと悟られない為かい?」
鬼灯の問いに女は黙って頷いた。
「あんたさ、多分ばれてるよそれ。
えらいことになる前に
傷心癒やしの旅に出ていたことにしてさぁ。
仇討ちしたい相手がどんなのか知らないけどさ、鍋島家、黒田家の追っ手という程なら相当の手練れだろう?
下手人は討たれるよ?
それだけでかい家なんだからさ。あんたもそこら辺は承知しているはずだけど?
大体西国のでかい家が二つも動いているんだ、ただ事じゃあないよ。
下手すればあんたらも主家、鍋島家、黒田家辺りから消されるよ」
その様子を見たのであろう、
「母上を虐めるな!」
大きな声で
三十路ほどの女は【はっ】として顔を上げ慌てて手で制す。
「はははっ、元気の良い
まぁ、止めてどうこうなるようでは無いね。
たださ、その事情じゃあ誰も売ってはくれないと思うよ。
それとさぁ、その事情、あちこちで話していたりしないようねぇ・・・・・・って、してるのかぃ?!」
その沈黙と
「ま、普通の
もう
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結論から言うと非常に足りない。
母親が出した金子は伍両と参分ほどであった。
正直なところまったく足りない。
それで二人分だ。
鬼灯は何とか二人が生き残れるような
それも数打ち物がやっとである。
「う~、さすがにこの
まさかここまで
一応この
そしてやはり世間知らずでかなりぼったくられていたことが分かった。
母親は顔を真っ赤にして俯き、
そして
「これ・・・・・・、これ!」
突然、部屋の隅を漁っていた
母親も
童子の差し出した
その中身を確認した
「あんた・・・・・・、どうしたんだぃ? これ・・・・・・」
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