第3話
「それは、そうと」
「どれは、どうと」
「才能銀行って知ってるか」
幸兵衛がそうのたもうた。
「知らん。永遠に無縁そうな名前だ」
アダシがケツでメザシの干物を食べながら
答えた。
「地球にある銀行で、ありとあらゆる
才能を預金してあるそうな」
「ない、オレには預金する才能など
一ミクロンもない」
アダシが頭を激しく振った。
「それでな、ルピア―ノ三世は
知ってるだろう」
「あの、大泥棒」
「そう、その大泥棒が地球まで行って
増幅して超パワーアップした
いろんな才能を異世界に持ち込んで
きたって話だぜ」
「へぇーっ」
アダシは内心、興味をそそられたが
どうせ自分には関係のないことだと思い、
シラをきった。
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