第175話 やっぱり、みんなのお母さん

 無事に7つの属性石を触る事ができたリリスたち。7つもあった事から1つも新たに魔法を覚えられなかった子はおらず…石を触る前に隠し部屋の天使の血と魔物の血を飲んでいた子たちには羽がはえる前兆も出てきていた。


 「さぁみんな?明日は頼んでいた服と防具を受取りにナーレの町まで行くから、今日はもう寝ようね〜?」

 「は〜い」x6

 「人族の町…行くの?」

 「うん。大丈夫だよ?エレナ。ナーレの町にはお姉ちゃんのお友達もいるから、離れないようにしてれば安全だよ?」

 「そうなの…?」

 「うんうん。大丈夫だよ?エレナちゃん。他の町はどうか知らないけど、ナーレは大丈夫だよ」

 「そうなんだ…わかった」

 「明日はいっぱい歩くから早く寝ようね〜?魔法の使い方は明日教えてあげるからね」

 「は〜い」

 「あっ!お姉ちゃん膝枕…お約束したよね?」

 「大丈夫だよティム。ちゃんと覚えてるよ?してあげるけど、背中ムズムズしてる子からでもいいかな?いっぱい寝ないとだからね?」

 「うん。いいよ〜」

 「ありがとう。じゃあ…アリア、ミーナ、マリー、リサ?2人ずつおいで?お姉ちゃんの膝枕だよ~」ポンポン


 リリスはそのまま寝かせられるようにベッドの上に座り、誰からくるか待っていた。


 「えっと…アリアちゃん行く?」

 「いいの?」

 「うん。いいよ。リサちゃんも行っておいで?」

 「はい。ありがとう」

 「ごめんね。ミーナちゃん決めちゃった…」

 「ううん。これでいいよ。リサちゃんは眷属初日だし…アリアちゃんもずっと我慢してたもんね」

 「うん。ありがと」

 「決まったみたいだね?アリアはこっちで、リサはこっちからね?」

 「は〜い」

 「はい」

 「あぁ〜。お姉ちゃんのお膝…お母さんだ」

 「ね〜。お姉様…お母さん」

 「はいはい。良い子は寝る時間だよ〜」トントン

 「お姉ちゃんがお母さん?」

 「んとね…お姉ちゃんにああやって膝枕されると、まるでお母さんに抱っこされてる感じになるからだよ~」

 「へぇ~」

 「エレナちゃん、気付いてなかったんだね?」

 「うん」

 「もうちょっと待ったら、エレナちゃんにもしてくれるから待ってようね〜?」

 「うん!」


 リンがエレナにリリスの膝枕の秘密を話している時には、すでにアリアとリサは夢の中に入っていた。


 「さすがお姉ちゃん…もう寝かせちゃった」

 「ね〜。みんなのお姉ちゃんがみんなのお母さんだもんね」

 「す〜す〜」zzz

 「す〜す〜…お姉様」zzz

 「よし。2人をきちんと寝かせて…っと。マリー、ミーナ?おいで?」ポンポン

 「うん」

 「うん!」

 「はいはい。左右に分かれてね〜そうそう」

 「わぁ…お母さん」

 「…ゴロゴロ」

 「2人の事だからまた遠慮したんでしょ?大丈夫?我慢しなくていいんだからね?」トントン

 「…うん」

 「…にゃ」

 「へぇ~。みんなすぐに寝ちゃった…」

 「うんうん。ここにいる子はみんなお姉ちゃんの膝枕が大好きなんだよ」

 「へぇ~。ミーナお姉ちゃんまで…」

 「そうだよ〜」

 「そろそろ寝たかな?」

 「…す〜」zzz

 「…お母さん」zzz

 「大丈夫みたいだね。2人もきちんと寝かせて…っと」


 夢の中へと入ってしまったマリーとミーナもきちんとベッドに寝かせると、リリスはティムとエレナに向かって大きく両腕を上げて、おいで?と迎えいれた。


 「エレナちゃん行っておいで?お母さんみたいに感じるよ?お姉ちゃんの膝枕」

 「は〜い」

 「ティムちゃんも、私は最後でいいから…」

 「うん!」

 「エレナはこっち、ティムはこっちにおいで?」

 「は〜い」

 「いい?エレナちゃん。いくよ?せ〜の…」

 「わぁ!お姉ちゃんなのにお母さんだ…」

 「ね〜。お姉ちゃ〜ん」スリスリ

 「もぅ。ティムったら〜くすぐったいからダメよ?」

 「え〜?プニプニして、いいにおいして…お母さんみたい」

 「ほら、エレナもいるんだからスリスリはやめようね?」

 「は〜い」

 「トントンしてあげるから早く寝ようね?明日は町まで歩くんだからね」トントン

 「ふぁ〜い…」

 「あぁ…お母さん」

 「リン?悪いんだけど、2人が寝たらお庭でやりたい事あるの。手伝ってくれる?」

 「うん。いいよ」

 「ありがと〜」


 元気いっぱいのティムもリリスの膝枕にかかればすぐに夢の中に向かい始めた。一緒に膝枕されていたエレナはティムよりも早くにぐっすりと寝てしまっていた。


 「むにゃ…」zzz

 「…す〜す〜」zzz

 「ふぅ。2人もきちんとベッドに寝かせて…っと」

 「お疲れ様。お姉ちゃん」

 「うん。全然嫌な疲れじゃないけどね」

 「うふふ♪お姉ちゃんならそうだと思ったよ」

 「みんなちゃんと私の言う事守ってくれるし…とっても良い子だからね」

 「うん!…それで何するの?」

 「忘れちゃった?エレナのお母さんのお墓だよ。いつまでもポーチの中はダメでしょ?」

 「あっ!そうだった…」

 「エレナに遺体を見せたくないから、寝るまで待ってたのよ…」

 「そっか…。お父さんたちのお墓の横でいいよね?」

 「うん!早くエレナのお母さんも寝かせてあげようね」

 「うん!」


 リリスとリンはこっそり家を抜け出して、お庭にあるリンの両親とティムの祖父のお墓の横に新たに《ピットホール》リンの魔法で穴を掘った。


 「ありがと。じゃあここにエレナのお母さん入れてくれる?」

 「うん」

 「やるよ?少し離れててね?…《ファイヤーウォール》」

 「エレナのお母さん…アンデット防止のため、仕方なく体を焼かせてもらいました。エレナは私が大事に妹として育てていきますので、ここから大きくなっていくエレナを見ててください」

 「エレナちゃんのお母さん…私たちもみんなエレナちゃんと同じような状況です。絶対エレナちゃんを1人ぼっちにはさせません…安心して眠ってください」


 ファイヤーウォールの火も消え、エレナの母親の遺体も骨まで灰にする事ができたので…そっと土を被せて墓標を立てるリリスとリン。隣にあるリンの両親とティムの祖父にも挨拶をすると、2人は家に戻って行った。


 「まだまだやる事あるけど、今日の分は終わったね」

 「うん」

 「私たちも早く寝ようか?明日はギルマスにも会うから…また難しい話が始まるよ?」

 「あ〜そっか…。王都に行く事にもなるかも知れないね?」

 「そうだね…。羽隠せるように上着かマントも見ないとね」

 「そうだね…。ずっとこのままでいいのに…」

 「ね〜。貴族…ほんと面倒くさいね…」

 「…うん」

 「さぁもう寝よっか?また明日考えればいいよ」

 「そうだね。寝よ、寝よ」

 「うん。おやすみ〜リン」

 「おやすみ〜お姉ちゃん」

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