第173話 また、やっちゃった…

 新しく覚えたマリーの植物魔法リーフカッターは周辺にある普通の木にはえている葉っぱを呼び出し、鋭利な刃物のように葉っぱを飛ばす魔法だった…。カッターの役目を終えた葉っぱはヒラヒラとその場に落ちるみたいで、どうやらマリーはカッターの役目を終えたその葉っぱを拾って持ってきたようだ。


 「えっと…どうしたのお姉ちゃん?そんな大きな声で…」

 「あっ!ごめんごめん。たぶんだけど…エレナの残り半分がわかったかもなの」

 「ほんと?」

 「試してみないとわからないけどね?エレナも気になるよね?」

 「…うん」

 「お姉ちゃんそれって?」

 「その前に…マリー新しい魔法おめでとう。考え事してたからすぐに言えなくてごめんね?」

 「ううん。大丈夫だよ。ありがとうお姉ちゃん」

 「その葉っぱなんだけど、見せてもらっていい?」

 「うん!はい」

 「ありがと。この葉っぱを…はい?エレナ」

 「ん?これどうするの?」

 「んとね…次はその葉っぱを持ったまま、魔力ぐるぐるしてもう1回リンの指輪に触ってみてくれる?私の予想だと☓が消えて火の時と同じように見えると思うんだぁ」

 「うん。ぐるぐるして…えいっ」チョン


 リリスに言われてその通りに試してみるエレナ。すると!エレナの頭の中にもう1度さっき見た文字が浮かんできたが…よく見ると、今回はリリスが言った通り上から☓で消されていなかった…。


 「…見えた。見えたよ?お姉ちゃん」

 「ほんと?よかったぁ〜合ってたんだ」

 「でも…」

 「はいはい。お姉ちゃんが読んであげるからね〜?」

 「うん!」

 「さっきと同じね?お姉ちゃんの背中に指で書いて教えてね?」

 「うん!…こうだよ?」

 「えっと…へ…ん…げ?変化だね。そっか〜それで葉っぱなのね〜」

 「変化?」

 「そうだよ。これはエレナしか使えないすんごい魔法だよ〜」

 「えっ?そんなに凄いの?」

 「お姉ちゃんはわかってるの?」

 「うん。私の予想通りなら…みんなびっくりすると思うよ?」

 「へぇ~。気になる〜」

 「うん。気になる〜」

 「ね〜。どんな魔法?」

 「リンならわかるんじゃない?ヒントはあっちの世界ね」

 「え?私とお姉ちゃんがいた世界?…きつねさん…山?動物園?あと神社!」

 「そうそう。私とリンがいた世界ではキツネは不思議な力を持っているって言われてて、力を持っているキツネは火を使ったり、頭の上に葉っぱを載せて何かに変身したりできるって…先生に聞いたの思い出してね」

 「へぇ~。それで葉っぱ見て大きな声出してたのね?」

 「えへへ…そうなんだ」

 「変身…」

 「すっご〜い!」

 「エレナちゃん凄いね。おめでとう」

 「おめでとう〜」

 「エレナちゃんおめでと〜」


 黙ってリリスの話を聞いていたエレナだが…狐族に火や変化などの隠された力があった事に驚きを隠せなかった…。


 「エレナ?お〜い?大丈夫?」ブンブン

 「う、うん。びっくりしちゃって…」

 「うんうん。そうだよね~。私とリンがいた所ではキツネさんは神様の使いとしても有名なんだって…エレナの狐族さんと何か関係あったりしてね?」

 「神様の使い…」

 「うん。私の妹、エレナは凄いんだから〜」ギュー

 「お…お姉ちゃん」パンパン

 「お姉ちゃん、お姉ちゃん!エレナちゃん潰れちゃう!」ユサユサ

 「あっ!ごめんエレナ。お姉ちゃん嬉しくってつい…」

 「ふぅ。大丈夫〜」

 「もぅ〜。お姉ちゃんったら〜」

 「ごめんね〜。エレナが可愛くって…」

 「それはわかるけど…お姉ちゃん?後ろ見てごらんよ?」

 「え?後ろ…あっ」

 「ティムちゃんとアリアちゃん、リサちゃんまで不安そうにしてるよ?またヤキモチやかれても知らないよ?」

 「あ〜…どうしよ」


 エレナと出会ってからデレデレしっぱなしのリリス。どうやらついに…お姉ちゃん大好き3人の気持ちに影を作ってしまったらしい。


 「あ、あのね…」

 「お姉ちゃん!」

 「は、はい!」ピン

 「お姉ちゃん…そんなにエレナちゃんがいいの?」

 「アリアの事嫌いになった?」

 「お姉様…」

 「ふぅ。ティムおいで?不安にさせてごめんね。確かにエレナは可愛いけど、今日来たばかりだから構ってあげたいってのもあって…ごめんね?ティム」ギュー

 「お姉ちゃん…」ギュー

 「アリアおいで?嫌いになんてなってないからね?お姉ちゃんはみんなの事が大好きだからね?ごめんねアリア」ギュー

 「うん…お姉ちゃん」ギュー

 「リサもおいで?」

 「はい。お姉様」

 「リサもごめんね?不安なっちゃったね…」ギュー

 「いえ…私は…」

 「いいの…ごめんね」ギュー

 「…はい。お姉様」ギュー

 「もぅ。気を付けないと?みんなお姉ちゃんの事が大好きなんだからね?」

 「リン…」


 不安がっていたティムとアリアとリサと抱き合い、不安にさせてごめんねと優しく話すリリス。リリスは顔を上げ、そっと見ていたリン、マリー、ミーナにもごめんねと一言…。


 「もういいよ。気を付けてね?お姉ちゃんに嫌われたって思ったら…私たち…」

 「うん。大丈夫。何があっても嫌いになんてならない!みんなは私が守る!」

 「うん」

 「お姉ちゃん…」

 「お姉様…」

 「お姉ちゃん…」

 「さぁもう大丈夫?ティム、アリア、リサ」

 「うん!」

 「うん」

 「はい」

 「えっと…話を戻すね?エレナの変化だけど、葉っぱを持ってないと使えない魔法だと思うの」

 「葉っぱ持ったら文字が見えたもんね?」

 「そうそう。だからポケットにでも何枚か葉っぱ入れとくといいかもね?」

 「うん。わかった」

 「葉っぱ無くなったら、私が出してあげるよ?エレナちゃん」

 「ありがとう。マリーお姉ちゃん?」

 「うんうん。そうだよマリーだよ」

 「いっぱいお姉ちゃんいるから、ゆっくり覚えてこうね〜」

 「は〜い」

 「さぁ残りは…白と黒と透明な石だね。そのまま光闇無でよさそうだね」

 「うん。もう夜だし早く触っちゃお?」

 「そうだね〜」


 残りの石もあと3つとなり、まず光属性であろう白い石から触ってみる事にした。


 「光を持っているのはリンとアリアだね」

 「うん」

 「アリアまだ1つも増えてない…」

 「そうだね〜。でもね?魔力ぐるぐるを寝る前に毎日続けると少しずつ魔力が増えていくんだよ?」

 「へぇ~」

 「今はダメでも、もう少し後でもう1度触ると覚えるかも知れないね?」

 「そうなんだ…」

 「うん。今回、風属性は誰も覚えなかったけどそれも魔力が足りてないだけだと思うから…ティムとミーナも大丈夫だからね?」

 「うん!」

 「は〜い」

 「じゃあまず光を持ってない子から触ってみようか?」

 「は〜い」x3

 「う〜ん…属性持ってないとそうだよね〜。ティム、マリー、ミーナもダメだったか…」

 「お姉ちゃんも?」

 「うん。ダメだった…私はリンと持ってる属性が反対だからね」

 「そうだね〜」

 「リサとエレナ、次触ってみようか?」

 「はい」

 「うん」

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