第170話 エレナもお勉強

 やっと日記を読み終えたリリスは、ちょうど様子を見に来たティムに日記に書いてあった事と、わかった事を伝えた。内容を聞いたティムは少し驚いた表情をするが、リリスの予想通りリンとは身内なのだとわかると大きな声で喜んだ。

 ティムの声は家中に響いていたらしく…。


 「なになに?どうしたの?」

 「お姉ちゃんどうしたの?」

 「ちょうどこの本読み終わってね…ティムに話してたとこだよ〜」

 「へぇ~。どんなお話?」

 「それがねぇ…」

 「あっ、お姉ちゃん夜ご飯出来たから食べながら話す?」

 「冷めちゃうし、そうしよっか?もうちょっとだけ待ってね〜」

 「は〜い」

 「うん」

 「みんな手伝ってね?このテーブルまでお料理持ってくるよ〜?」

 「は〜い」

 「うん」

 「飲み物は…お水でいいかな?」

 「そうだね。ベーコンエッグには牛乳は合わないしね〜」

 「うん。用意するね〜」

 「ありがと。リン」


 リリスたちはみんなで手伝って夜ご飯をテーブルに並べ始めた。エレナもアリアを見ながら…真似するようにみんなのお手伝いをしていく。


 「揃ったね〜」

 「うん」

 「はい」

 「お姉ちゃん?今日の夜ご飯はリサちゃんが1人で作ったんだよ~?」

 「そうなんだ?楽しみだね〜」

 「はい。少し手伝ってもらいましたが、なんとか作れました」

 「そっかぁ〜。じゃあ温かいうちに早く食べようね?」

 「は〜い」

 「エレナ?お姉ちゃんの横おいで?」

 「うん」

 「あ〜アリアも〜」

 「はいはい。じゃあアリアはこっちの横においで?」

 「うん!」

 「みんな座ったかな?じゃあ食べようね?せ〜の…」

 「いただきま〜す」x7

 「いただきます?」

 「うんうん。そうだよ〜ご飯食べる時の挨拶だよ」

 「へぇ~」

 「あ〜エレナも可愛いな〜」

 「お姉ちゃんデレデレだね?」

 「ね〜」

 「そんなお姉様も…」キラキラ

 「リサちゃんもすごいね?」

 「ね〜」


 夜ご飯を食べ始めると、リリスが読んでいた本の話題になったので…みんなにも話しておく事にした。


 「リサ美味しいよ?」

 「ほんとですか?」

 「ほんと、ほんと。ね〜?」

 「うんうん」

 「美味しいよ?リサお姉ちゃん」

 「美味しい…」

 「アリアちゃん、エレナちゃん…よかった。お姉様のお料理、私にも作れました」

 「うんうん。もうこのお料理はリサに任せられるね」

 「そうだね~」

 「うんうん」

 「お姉ちゃん、そろそろ本の事聞いてもいい?気になっちゃって…」

 「ティムちゃんがあんな大きい声で喜んでたもんね〜?私も気になる〜」

 「いいよ。みんなは昔話は知ってるのかな?魔族と人族が戦争して、人族側に天使がやって来て魔族を追い払った話なんだけど?」

 「うん。知ってるよ」

 「うん」

 「たぶん…」

 「あの本は魔族と人族が戦争してた時に生きてた人の日記だったの」


 それからリリスは日記に書いてあった事を細かくリンたちに教え始め、天使が天界に帰って行く所まで話した。


 「天使が天界に帰って行く時に光る物を落として帰ったみたいでね?それがあの石だったんだって?」

 「へぇ~。天使様の落とし物かぁ~」

 「うん。日記には7つ落ちてたって書いてあるよ」

 「7つ?」

 「うん。マリーの予想通り…それから私の予想通り」

 「え?それって…」

 「この人は…この後、村を修理してずっとこの石を大事に守ってるの。子々孫々…自分の子供、その子供って感じでずっとね」

 「へぇ~」

 「この人はティムのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん?つまりご先祖の日記だったんだよ」

 「へぇ~。すごい古い本なんだね〜」

 「うん。7つともティムの家にあったはずなのに、1つだけリンの家にあったって事は?」

 「ティムちゃん家の誰かが結婚する時に分けてもらった?」

 「うんうん。もうわかるよね?つまり…」

 「私とティムちゃんは親戚なんだね?」

 「そういう事だね」

 「おめでとう。リンちゃん、ティムちゃん」

 「おめでと〜」

 「リンお姉ちゃん、ティムお姉ちゃんおめでと〜」

 「リンちゃん…」ギュー

 「ティムちゃん…」ギュー

 「みんなありがとう」

 「ご飯食べ終わったら、石も試してみようね?リサ」

 「はい!お姉様」

 「みんなも触ってみようね?まだ覚えれるかも知れないよ?」

 「そうだね〜」

 「は〜い」

 「うん」

 「ん?何を覚えるの?」

 「魔法だよ〜」

 「魔法?」

 「まず、エレナは魔力の確認からかなぁ…」

 「そうだね~」


 日記の内容を妹たちにも教え、石の1つがリンの家にあった事も考え答えが出ると…リンとティムは喜び抱き合っていた。

 石の確認もしようと試してみる事にしたが…。


 「みんなで一緒に試すから、もうちょっと待ってくれる?先にエレナの魔力確認とお勉強からでいいかな?」

 「は〜い」

 「いいよ〜」

 「うん」

 「リサもいいかな?もうちょっと待ってくれる?」

 「はい。待ってますね?お姉様」

 「ありがと〜。終わったらみんなで試すからね〜」

 「はい」

 「じゃあリサちゃん、今のうちに食器洗って片付けちゃおうか?」

 「はい」

 「私も手伝うね」

 「ありがとう。マリーちゃん」

 「じゃあエレナはお姉ちゃんと魔法の事覚えようね?」

 「うん」

 「まず魔法ってのはね?自分の体の中にある魔力っていうのを使って、火や水を出す事だよ?」

 「へぇ~」

 「何かわかりやすいのは…リン?水の魔法見せてくれる?」

 「は〜い」

 「コップでいいよね?…見ててね?《ウォーターボール》」

 「わぁ〜」パアァ

 「ありがとリン。エレナ?さっきのがお水の魔法だよ」


 みんなで一緒に石を試すため、先にエレナに魔法を教える事にしたリリス。


 「エレナも使えるか、お姉ちゃんが調べてあげようか?」

 「うん!」

 「うん。じゃあ魔法が出せる魔力があるか調べようね?こっちおいで?」ポンポン

 「うん」

 「そうそう。今回は寝ちゃダメよ?…お腹を上にして?」

 「うん」

 「触るね?お姉ちゃんの指わかる?」

 「わかる〜」

 「おヘソの下までゆっくり動かすね〜」

 「…うん」

 「ここね。エレナのここに何かモヤモヤしたのないかな?」

 「う〜ん…わかんない」

 「どっくんどっくんと違うやつなんだけど、あるかな?」

 「これかな〜?何か暖かいモヤモヤしたのあるかも…」

 「お?じゃあ次はその暖かいモヤモヤを動かしてみようか?」

 「…うん」

 「そのモヤモヤに動け〜って、お話してごらん?」

 「動け〜動け〜」

 「そうそう。集中して…動き出したら足の先や手の先まで動かしてみようね?」

 「…動け〜。ん?お姉ちゃん?」

 「なぁに?ポカポカ暖かくなってきた?」

 「うん」

 「もういいよ。ゆっくりおヘソの下に戻してあげてね?」

 「…うん。…ふぅ」

 「よかったね~。そのモヤモヤは魔力だよ?エレナも魔法を使える力があるよ〜」

 「ほんと?やった〜」


 エレナの魔力を確認したリリスは、エレナにも魔力がある事がわかると魔力循環も教えた。次にリサと同様にエレナにも魔力の勉強をする事にした。


 「次は魔力のお勉強しようね?魔力は使い方を間違えるととても危ないから、きちんと覚えようね?」

 「うん」

 「魔法を使うには大きく3つの条件があってね」

 「…うん」

 「1つめ、魔力を持っている事!これが無いと魔法が使えないんだけど…エレナは魔力有ったからこれはいいね」

 「うん!」

 「次ね、2つめ。魔法には7つの属性があってね?属性ってのは火とか、さっきのお水の事なんだけど…」

 「…うん」

 「これは、産まれた時に決まってるからエレナがどの属性を持っているかわからないの…あとどれも持ってない事もあるかもだから…」

 「へぇ~」

 「このお勉強終わったら、みんなと調べようね?」

 「は〜い」

 「最後の3つめね。隠しステータスって言うんだけど、例えば…私とミーナお姉ちゃんは同じ風の属性を持っているのね?でもね…2人とも風の属性を持っていても、2人が同じ魔法を絶対に使えるかはわからないの」

 「へぇ~」

 「私が使える魔法をミーナお姉ちゃんは使えなかったり、ミーナお姉ちゃんが使える魔法を私が使えなかったりするんだよ?」

 「へぇ~」

 「だいたいこんな感じだよ?魔法は本当に危ないから、わからない事はちゃんと誰かに聞くんだよ?」

 「は〜い」

 「じゃあ、お勉強はおしまいね。みんなと一緒にエレナの属性調べてみようね?」

 「うん!」

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