第169話 リンの指輪と6つの石
リサに魔法の勉強をさせるリリス。どうやってリサの属性を調べようか悩むリリス…。
「まだいろんな注意するとこあるけど、大きくこの3つだよ。何回も言うけど魔力は危ないからちゃんと聞くんだよ?」
「はい!」
「さて、リサの属性だけど…どうするかなぁ」
「え?どうするとは?」
「魔法ってね?どの属性も最初に決まった行動があってね…それをしないと魔法を覚えないのよ」
「へぇ~」
「例えば…火の属性なら焚き火とかの火を直接触るって感じみたいにね」
「なるほど…」
「勿論、リサが火の属性持っていないと火を触っても覚えないよ」
「はい」
「でね?いつもなら火を触ったり、水を触ったり…いろいろするんだけど、今日からはリンとティムの村で見つけた石があるからね」
「あの綺麗な石ですか?」
「うん。魔力ぐるぐるした状態であの石に触ると最初の行動無しで魔法を覚えるの。…あっあれがリンの指輪の石と同じならね?」
「へぇ~。リンちゃんの指輪凄いですね」
「ね〜。お母さんの形見だから…私の予想通りだとお父さんかお母さんがティムの家系の人で、結婚指輪に持ってきたんじゃないかな?って考えたの」
「あっ!さすがお姉様。それで親戚だと…?」
「そうそう。今までの調べ方は危険だから、石を触るだけのがいいでしょ?」
「そうですね」
「絶対にリサの属性調べてあげるから、まずあの本読んで石の事調べていいかな?」
「はい。待ってます」
「ありがとね。リサ」
ティムとリンの村から持ってきたあの石が本物なら、もう危険な調べ方をしないで済むはずと考えたリリスは…ついに石と一緒に持ってきた本を読み始めた。
「リサちゃんどうだった?お姉ちゃん」
「大丈夫。ちゃんと魔力あったよ〜」
「お〜よかったね」
「うん。ぐるぐるも出来てたし…あとは属性を調べるだけなんだけど、今回はほら?村から持ってきた石があるでしょ?」
「うんうん」
「今まで危険な調べ方だったからね…石を調べて本物ならこれでいこうかと思ってね」
「そうだね~」
「今から読んでみるね?」
「うん。わかった〜」
「ん?これって日記かな〜?どれどれ…」パラッ
「お姉ちゃん?あっ…」
「どうしたの?マリーちゃん」
「夜ご飯どうするか聞きたかったんだけど…」
「そっか。今お姉ちゃんは村から持ってきた本読み始めちゃったから…」
「そっか〜。どうしよ?」
「食材だけもらって私たちで何か作ってみる?」
「そうだね。お姉ちゃん?」トントン
ティムとリンの村から石と一緒に持ってきた本は日記だった…。どんどん読み続けるリリスにマリーが声をかけてきた。
「お姉ちゃん?そろそろ夜ご飯作らないと…」
「あっそうだね。今日はどうしよっか?」
「お姉ちゃんはそれ読んでていいよ?私たちが作るから食材だけくれる?」
「そう?じゃあお願いね〜」
「作れるの決まっちゃってるけどね…」
「じゃあ、お肉と卵と…フライパンとナイフとお塩と胡椒あたりかな?」
「う、うん。よくわかったね?」
「タマゴサンドかベーコンエッグかハンバーグでしょ?ハンバーグは朝とお昼に食べたから…ベーコンエッグかな?ってね」
「へぇ~。すごいね」
「ありがと。じゃあパンとお野菜も出しとくね?」
「うん!」
「リサ?お手伝いしてくれるかな?」
「はい。お姉様」
「マリーと夜ご飯お願いね?」
「はい」
「じゃ台所行こうね?リサちゃん」
「うん」
「私も手伝うよ?マリーちゃん」
「うん。ありがとリンちゃん」
夜ご飯をマリーたちに任せて、どんどん読み進めるリリス。再び読もうとするリリスにまた声がかかる。
「えっと、どこまで読んだかな?」
「お姉ちゃん?」
「ん?ティムどうしたの?」
「エレナちゃん1度起こさなくていいの?夜寝れる?」
「ああ〜どうしよ…」
「私たちでエレナちゃん見とくよ?お姉ちゃんは本読んでて?」
「ありがとう。じゃあ寝れなくなっちゃうから起こしてあげようか?夜ご飯もあるしね…」
「うん」
「エレナ?エレナ?」ユサユサ
「ん…お姉ちゃん?」
「もうすぐ夜ご飯だから起きとこうね?夜ご飯食べたらまた寝ていいからね?」
「うん」
「えらいね〜。ご飯までもう少しかかるから、みんなと待っててね?」
「うん」
「ティム、アリアお願いね?」
「は〜い」
「うん」
エレナを起こすと、ティムとアリアにエレナの相手を頼み…再び本を読み始めるリリス。
「お姉ちゃんは?」
「お姉ちゃんは今ご本読んでるから、私たちとこっちにいようね?」
「…うん」
「私はティムだよ。よろしくね〜」
「ティムお姉ちゃん?」
「うんうん。そうだよ」
「あっちは大丈夫そうかな?えっと…どこまで読んだっけ?…ついに恐れていた事が起こってしまった。人族と魔族との戦争だ。私たちの村は魔族の森の中にある人族の村…きっとここが戦争の最前線になるだろう。家族と早く避難しないと!」パラッ
「…魔族はとても強い。このままでは人族の国も全て魔族の手に落ちるだろう」パラッ
「…人族の兵士たちの数がどんどん減っていく。この国は滅ぶしかないのか…」パラッ
「私は見た!あれは天使様だ!天使様が現れ、強かった魔族をどんどん減らしてくれている…私たちはまだ生きれるんだ」パラッ
「あんなに強かった魔族が…どんどん逃げていく。人族の勝利だ!」パラッ
「天使様の力で生き残る事ができたが、天使様は天界に帰ってしまわれた。その時!何か光る物を落として帰って行ったのを私は見た!」パラッ
「誰も気付いていないのか?私しか見えていなかったのか?難なく私は天使様の落とし物である7つの透き通った綺麗な石を見つけた」パラッ
「もう潰れているだろうと思っていた私が住んでいた村だが、少し修理すればまだ使えるようだ…。この石にどんな効果があるのか私にはわからないが、天使様がこの村を守ってくれると信じてこれを子々孫々に伝える事にする」パラッ
さらに読み続けるが、リンの親の事やティムの事は書いておらず…この日記を書いた人はかなり昔の人だとわかった。
「ふぅ。日記はここまでか…。きっとティムのおじいちゃんのおじいちゃんとかの時代の人なんだろな〜。大昔の戦争の話が出てるし…」
「天使の落とし物か…。リンの家の誰かがティムの家系の人ってのも当たりかも知れないね…」
「お姉ちゃん?」
「ん?ティム?エレナは?」
「ミーナちゃんとアリアちゃんと遊んでるよ」
「そっか…。ねぇティム?この本ね…すごい昔の人の日記だったよ」
「へぇ~」
「昔話にある…人族と魔族の戦争の話は知ってる?」
「うん。強かった魔族を天使様が追い払った話よね?」
「うん。この日記を書いた人はその時に生きてた人なの」
「へぇ~。じゃあすごい古いね」
「うん。石の事もわかったよ。この石は天使が天界に帰って行く時に落とした物なんだって?」
「へぇ~」
「石も最初は7つでね?この人が大事に村に置いてたみたいだよ…自分の子供や子供の子供、ずっとこの石を伝えるつもりだったみたい」
「え?じゃあこの本は…」
「うん。ティムのおじいちゃんのおじいちゃん?ちゃんとわからないけど…ティムのご先祖の日記だよ」
「そんな昔の…」
「うん。だから残念だけど、リンの家の事までは書いてなかったよ」
「そっかぁ…」
「でも、石は最初7つだったって書いてるから…ティムの家の人が1つ持って行ったんだと思うよ?」
「じゃ、じゃあ…?」
「うん!ティムとリンは親戚…身内だね」
「やった〜!」
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