第58話 ベリアでお買い物3

 「リン!卵あるんだって」

 「そうなんだ?」

 「あれ?鶏の卵だよ?」

 「うん。村にいたんだよ。卵も食べてたよ。ね?ティムちゃん」

 「うん」

 「そうなんだ?卵があの赤い屋根の近くの露店で売ってるらしくてね。卵あればハンバーグ自分で作れるかも?なのよ」

 「え?ほんと?」

 「さっき作ってるとこ見て、覚えちゃった」

 「卵買いにいこ~」

 「はいはい。アリアいこっか?」

 「うん」


 店の店主から卵が売ってると聞いたリリスたちは、よほどハンバーグが気に入ったのか作れるとわかると急いで卵を買いに向かった。


 「鶏のお肉もあったら買おうね」

 「そうだね」

 「鶏がいるなら、牛乳手に入らないかな~」

 「どうだろう」

 「この辺りかな?卵どこだ~」キョロキョロ

 「どこだ~」

 「あったぁ!」

 「よく見つけたね。ティム」

 「これで作れる?」

 「うん。お姉ちゃんがんばるね」


 「すいません。卵ありますか?」

 「あと10個で終わりだよ」

 「全部ください」

 「銀貨1枚だよ」

 「はい。銀貨1枚」

 「割れやすいから入れ物とかあるかな?」

 「このポーチに入れるから大丈夫ですよ。あと、鶏のお肉はありますか?」

 「うちは卵だけ売ってるんだ。ごめんよ」

 「いえいえ、大丈夫ですよ。牛乳って何処か売ってるとこ知らないですか?」

 「ベリアにはないが、ハルファでなら買えるかも知れないよ?」

 「ありがとうございます」


 卵を買うことができ、牛乳が売ってそうな町も教えてもらえたので次の行動を決めるリリスたち。


 「みんなお腹は?まだすいてる?」

 「ハンバーグ大きかったからもういいよ」

 「うん。お腹いっぱい」

 「私もいいよ」

 「じゃあ次はお料理に使う調味料のお店探してくれる?」

 「は~い」

 「お姉ちゃん何が欲しいの?」

 「砂糖か蜂蜜だよ」

 「わかった~」

 「リン。砂糖か蜂蜜あれば…たぶん美味しいの作れるよ」

 「え?なんだろ?」

 「あるかわからないから、見つかったら教えてあげる」

 「え~。気になる~」

(確か…牛乳に卵と砂糖入れて混ぜて、パンをその中に入れるんだよね…。フライパンで染み込んだパンを焼けば良かったはず…)


 牛乳が手に入るかもと聞いて…あと1つでフレンチトーストが作れる事に気づいた。ティムとリンが元気よく調味料のお店を探し始める。


 「砂糖~か蜂蜜~」

 「どこかな~」キョロキョロ


 どんどん歩いていくリンとティム。


 「あまり離れちゃダメだよ~」

 「は~い」


 大通りを歩き続け、そろそろ大通りが終わりそうになった時…

 「あったぁ~!」とティムの声が聞こえてくる。大通りの一番端の露店が調味料のお店だった。


 「ティムすごいね~」

 「これで美味しいの作れる?」

 「売っていればね」

 「そっかぁ。あるといいね」

 「うん」


 「すいません。砂糖か蜂蜜ってありますか?」

 「いらっしゃい。砂糖は高価な物だから無いが、蜂蜜ならいっぱいあるよ」

(う~ん…パンにも塗るだろうしいっぱいあってもいいよね?砂糖の代わりだし)


 「蜂蜜1つどれくらいですか?」

 「見る方が早いよ。ほら」コト


 店主が見る方が早いと言うとコトッと蜂蜜が入った小瓶を1つ置いて見せてくれた。


 「いっぱい欲しいんだけど、この瓶があとどれくらいありますか?」

 「20くらいあるよ」

 「おお。じゃ20本ください」

 「ありがとよ。銀貨4枚だ」

 「はい。銀貨4枚。ポーチに入れるからそのままでいいですよ」

 「あいよ。ありがとな」


 砂糖は無かったが蜂蜜を大量に買うことが出来たので、リンが何ができるか聞いてくる。


 「蜂蜜あったね」

 「お姉ちゃんこれで何が作れるの?」

 「リン覚えてるかわからないけど、施設いた時によく先生が作ってくれたやつだよ。温かくて黄色い食パン覚えてない?」

 「甘くて温かい食パン?」

 「うんうん。覚えてないかな~?食べたら思い出すかもしれないね」

 「そうだね…お姉ちゃんが言うなら美味しかったんだろうね」

 「あとはハルファで牛乳が買えればたぶん食べれるよ」

 「ベリアでやる事は終わったんだけど、もう少しベリアにいる?それか、もうハルファ行きの馬車乗っちゃう?」

 「ベリアも危険なんだよね?」

 「うん。聞いた話だけどね。ハルファまで行けばだいぶ安全にはなるね」

 「ハルファ行き乗っちゃおうか?」

 「うん」

 「いいよ」


 リンは施設にいた時によく先生が作ってくれていたフレンチトーストを覚えていなかった…。ベリアでやる事が終わり、ハルファ行きの馬車を探す4人だった。


 「ハルファからベリアって2日かかったよね?」

 「そうだね。ゲイルさんとマリーちゃんと乗った時だね」

 「露店で串焼きとか買ってポーチに入れとく?」

 「いいね。パンと果実ばっかりになるしね」

 「うん。何がいい?」

 「…ハンバーグ」

 「うん。あれ美味しかった」

 「また半分ずつでいいよね?」

 「うん」

 「じゃあいいよ」

 「ありがとう。お姉ちゃん」

 「1日目はハンバーグでいいとして、2日目どうするかな~」

 「これからお金かかるから、パンと果実でいいよ?」

 「そう?」

 「うん」

 「いいよ」

 「じゃハンバーグ2つ買って、馬車行くよ」

 「は~い」


 「すいません。2つくださいな」

 「お?また来てくれたのかい?」

 「うん。美味しかったから、馬車に持ってくつもりなの」

 「そっか~ありがとよ」

 「はい。銀貨1枚ね」

 「あいよ。すぐ作ってやるからな~」


 みんなが気に入ったハンバーグを2つポーチに入れ、ハルファ行きの馬車を探すリリスたちだった。

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