第57話 ベリアでお買い物2

 「そこのお店ですよ」

 「ありがとうございます」

 「いえいえ、もっといろいろ案内してあげたいのですが、そろそろ行かなくてはならなくて…」

 「大丈夫ですよ。ありがとうございました」

 「ありがとう」

 「いえいえ、ご飯ありがとうございました。では…」


 クッションが売ってる服屋まで案内してくれた母娘とは、服屋の前でお別れすることになった。


 「入ってみようか?」

 「うん」

 「は~い」


 リリスたちは服屋に入っていく。

 服屋の中に入るとカベには大きな棚、店の真ん中に小さい棚、カウンター横にもカベ掛けの棚があり…大きな棚には折り畳まれた服がいっぱい入っており、小さい棚にも折り畳まれた服と、天板には余り布で作られたクッションがずらりと並んでいた。カベ掛けの棚にはブラシ等のお洒落に必要な小物がおいてあった。


 「うわぁ~いろんなクッションいっぱいあるね」

 「うん」

 「ね~」

 「おや?いらっしゃい。何かお探しですか?」

 「はい。長旅で馬車に乗る事が多いのでクッションが欲しいの」

 「クッションの在庫はそこにあるだけになるよ。どれも銀貨2枚ね」

 「は~い。見せてもらいますね」

 「ごゆっくりどうぞ」

 「ここにあるだけだってさ。好きなの選んでいいけど、馬車以外でも使うならちゃんと見て決めてね」

 「は~い」

 「悩むね~。丸に三角に四角に…」

 「わぁ~可愛い~」

 「どれどれ~」

 「これウサギの顔のクッションだね」

 「あ~こっちにもあったよ」

 「どれどれ~」

 「ほら?にゃんこの顔のやつ」

 「これも可愛い~」

 「他にもあるかな~?」

 「あったけど…これなんだろ?犬?」

 「どれどれ~」

 「すいませ~ん。この動物のクッションって何種類あるんですか?」

 「どれどれちょっと待ってね。今ある分ここに置いてあげるね」

 「ありがとう」


 服屋の店主は動物の顔のクッションに興味津々なリリスたちを見て、動物シリーズのクッションだけを並べてくれた。


 「今の在庫はこれだけかな?端からウサギ、猫、キツネ、クマ、ヤギ、馬かな」

 「ありがとうございます」

(猫はあるのに犬はないんだ…この世界ウルフがいるから犬は作ってないのかな?)


 「どれにする~?」

 「これ~」

 「アリアはウサギがいいの?」

 「うん!」

 「リンとティムは決まった?」

 「迷ってる~」

 「どれも可愛いね。お姉ちゃんは決まってるの?」

 「うん」

 「じゃ先に決めていいよ?ね?」

 「うん。お姉ちゃん先どうぞ」

 「ありがと~。私はこれかな?キツネ」

 「あ~お姉ちゃんまた嬉しそうにしてる~」

 「そうかな?」

 「くのいちさんとキツネで何か思い付いたんでしょ?」

 「ばれた?そのキツネ見た時に狐隠れっていう技あったなぁ…って思い出しちゃってね」

 「へぇ~」

 「2人も決めちゃってね」

 「ティムちゃん決まった?私は決まったよ」

 「決まったよ。せ~ので取らない?」

 「いいよ。いくよ?せ~の!」

 「これ~!」x2

 「見事にバラけたね。お会計してくるね~」

 「は~い」

 「すいません。今みんなが持ってるクッションにします」

 「あいよ。4つで銀貨8枚だよ」

 「はい。銀貨8枚」

 「はい、確かに。ありがとうございました」

 「みんな行くよ~」

 「は~い」


 リリスはキツネ、リンは猫、ティムはクマ、アリアはウサギのクッションを持ち服屋を出ていく。


 「次はご飯行こうか?」

 「うん」

 「もうお腹ペコペコ~」

 「クッション汚しちゃうからポーチにしまっておこうね」

 「うん」

 「は~い」

 「お魚はポーチにあるから、お肉にする?」

 「そうだね」

 「うん。お肉~」

 「お店わからないし、大通りの露店で少しずついっぱい食べる?」

 「いろいろ見たいもんね。さすがリン!1つを2人で分ければいっぱい食べれるね」

 「えへへ」

 「ベリアも王都ほどじゃないけど危ないらしいから、みんなで移動するよ。手つないでね~」

 「は~い」

 「いくよ?アリア」

 「うん」


 店がわからないのもあり、大通りの露店で少しずつ買っていっぱい食べる事に決まり、再度手を繋いで向かうリリスたち。


 「そうだ。飲み物も見つけたら教えてね」

 「は~い」

 「お水ばっかりじゃ飽きるよね」

 「うん」

 「まずはお肉だよね。串焼き食べる人~?」

 「は~い」

 「お肉の串焼き2つください」

 「銅貨2枚だよ」

 「はい。リン1本持って。ティムと食べてね」

 「うん」

 「アリアは私と半分こね」

 「うん」


 久しぶりの肉に美味しそうに食べていくリリスたち。食べ終わると次の料理を探しに行く。


 「次どうしようか?」

 「ねぇ?お姉ちゃん」

 「なぁに?」

 「あれって……ハンバーグ?」

 「え?ハンバーグ?どこどこ?」

 「あのお店だよ」

 「わぁ~すごい似てるね。試してみよっか?」

 「うん」

 「すいません。それ2つください」

 「肉いっぱいだからちょっと高いぞ?1つ銅貨5枚だ」

 「はい。銀貨1枚」

 「待ってな。作りたて用意してやるよ」

 「うん」

(お肉を切って細かくする。ボウルに切ったお肉と知らないやつ入れて、手でこねるのね。形作ったらフライパンで焼いていくのか…。お肉と一緒に入れてたのがわかれば作れるかも…)


 「お待たせ。熱いから気をつけろ」

 「ありがとう。はい、リン」

 「はい、アリア。先に食べていいよ」

 「うん」

 「どう?リン」

 「おいし~。ハンバーグだよこれ」

 「ティムもアリアも気に入ったみたいだね?」

 「うん。お肉が柔らかいの」

 「これおいし~」

 「はい。お姉ちゃん」

 「もういいの?」

 「うん」

 「ほんとだ。おいし~」

 「あの~こねる前に入れてたのって何ですか?」

 「これか?卵だよ」

 「え?鶏の卵?」

 「そうそう、よく鶏知ってたな。卵欲しいのかい?」

 「うん」

 「あっちに赤い屋根があるだろ?あの周囲の露店で売ってるぞ」

 「ありがとう!」

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