第56話 ベリアでお買い物

 「ん、う~ん」

 「あっ起きた?」

 「ティム、アリアおはよ」

 「おはよ~」ギュー

 「おはよ」ギュー

 「2人ともどうしたの?」

 「あっおはよ。お姉ちゃん」

 「リンおはよ。大丈夫だった?」

 「うん」

 「ねぇ2人どうしたの?」

 「お姉ちゃんが朝までウルフの警戒してたのと、王都行く時も寝ずに警戒してたって教えたんだよ」

 「そっか。何もなくてよかったよ」

 「お姉ちゃんありがと」

 「ありがと~」

 「うん。私が守るって言ったでしょ。3人が無事ならお姉ちゃん頑張ったかいがあるよ」


 みんな起きてから、数時間後にリリスは目を覚ました。自分たちが寝ている間にウルフの警戒していたと聞いたティムとアリアはリリスが起きると思わず抱きついていた。

 「あっみんなご飯食べてないんじゃ?」

 「お姉ちゃん起きてから一緒に食べようと思ってたんだけど…」

 「ん?だけど?」

 「たぶんもうすぐベリア着く頃だよ?」

 「え?もうそんな時間?みんなお腹すいてるよね…どうしよ?ベリアまで我慢できる?」

 「御者さんベリアまでどれくらいですか?」

 「お嬢ちゃん起きたのかい?ウルフ来てたんだってね、見張りありがとね」

 「いえいえ。冒険者ですので」

 「ベリアならそろそろ見えてくるよ?1時間もあれば着くよ」

 「ありがとう」

 「もうちょっと我慢して、ベリアで美味しい物食べようか?」

 「うん」

 「わ~い」

 「はぁい」

 「私たちもご飯はいいよ。ベリアもすぐだしね」

 「ありがとね」


 数分、馬車に揺られ続けるとベリアの町が見えてきた。

 「ベリアが見えてきたよ」と御者が言うとティムとアリアが馬車の前方へ向かった。

 「わぁ~大きい町だね~」

 「お水いっぱい」

 「あの水は海って言うんだよ。お魚いっぱいいるんだよ」

 「へぇ~」

 「さぁ、危ないからベリアに着くまでちゃんと座ってようね」

 「は~い」

 「うん」


 ティムとアリアを座らせて、数分待つと馬車はベリアの門に到着した。


 「お待たせしました。ベリア到着です」

 「ありがとう」

 「いえいえ、見張りありがとうございました」


 馬車を降り、御者とお別れしたリリスたちは…町に入るため門兵に話しかけ始める。(王様の書状あるし、もう大丈夫だよね…)


 「町入っていいですか?」

 「ギルドカード見せてくれ」

 「はい」

 「リリス?ギルドの依頼に出てるリリスか?」

 「そうみたいですね。ついでにこちらも見てもらっていいですか?」

 「どれどれ?え?王様の書状?」

 「はい。王様から直接いただきました」

 「中を見せていただきました。どうぞ通ってください」

 「カード持ってない子もいるので、通行料いくらですか?」

 「1人銀貨1枚です」

 「はい。じゃ銀貨2枚」

 「はい。大丈夫です」

 「王様のお手紙すごいね?」

 「うん。さすがだね」


 リリスたち4人はすんなりとベリアの町に入る事ができた。先に門を通っていた母娘が待ってくれていた。


 「お待たせしました」

 「いえいえ、大丈夫ですよ。ではお店に案内しますね」

 「はい」


 母娘の案内でベリアの町を歩く4人。大通りにはいっぱいの露店が並んでいた。


 「うわ~お店いっぱい」

 「人もいっぱいだから離れないように誰かと手繋いでてね」

 「は~い」

 「お姉ちゃんと~」

 「リンちゃんと繋ご~」


 リリスはアリアとリンはティムとで手を繋ぎ、人も露店もいっぱいの大通りを歩いていく。


 「お待たせ。お魚はここの露店で買うのがオススメだよ」

 「ありがとう。いろんな種類あるね~」

 「でも、お姉ちゃん?私たちお魚料理できないよ?」

 「そうだった…。すいません、料理できないんで後は焼くだけの状態の物ってありますか?」

 「ここにある分しかないが、銅貨2枚上乗せで焼くだけの状態にしてやるぞ?」

 「ほんと?じゃあ塩焼きに合うお魚4つお願いします」

 「あいよ。じゃあ魚4つと手間賃込みで銀貨1枚だ」

 「はい。銀貨1枚」

 「さばいた魚どうすればいい?入れ物あるか?」

 「はい。このバックに入れるから大丈夫」

 「待ってな」

 「はぁい」


 リリスたちは魚屋で綺麗に内臓だけ取り出された魚を4つ買うことができ、次の店へ向かい始めた。


 「あとはクッションだったね」

 「はい」

 「服屋と小物屋とあるけど、どっちがいい?」

 「どう違うの?」

 「服屋のは余った布や綿を使うから、触りごこちも良いけどちょっと高いの。小物屋のは触りごこちもあんまりで壊れやすいから安く買えるよ」

 「馬車以外にも使うだろうし、丈夫な方が良いかな?」

 「うん」

 「そうだね」

 「服屋でお願いします」

 「わかったわ。そこの角を曲がった先にあるよ」

 「服屋さんかぁ…着物もあったりするかなぁ~?」

 「着物って?」

 「ほら、くのいちさんの服だよ」

 「あ~。あるといいね」

 「うん」

 「くのいちさんの話になると本当に嬉しそうにするよね?」

 「えへへ。そうかな~」


 服屋と聞いて着物があるかも?と思うとワクワクするリリスだった…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る