第55話 再び、魔物警戒中!
「夜ご飯するよ。パンと果実と塩ふったサラダでいいかな?」
「うん。いいよ」
「お肉は町まで待ってね。火の後始末が大変だからね…」
「はぁい」
リリスはポーチからパン4つと果実4つと、ちぎって小さくした葉物野菜に塩ふったサラダを2皿用意した。
「はい、どうぞ。サラダは2人で1皿ね」
「は~い」
「リン、ボウル出してくれる?」
「あっトマトね。は~い」
「ありがと」
リリスはボウルにトマトを1つ入れ潰し、赤い液体にしていく。
「お姉ちゃんはこれ飲まないと体調不良なっちゃうの」
「そうなんだ?じゃあトマトいっぱい買わないとだね」
「そうだね~」
「みんなも飲んでみる?トマトジュース」
「う~ん…」
「まぁそうだよね。何かと混ぜないと飲みにくいかもね~」
「うん」
「3人用に何か飲み物も買えるといいんだけどなぁ」
「うん。お水ばっかりはちょっとね…」
「あっごめんなさい。ご飯どうぞ?」
「ありがとね~。あなたたちの大事な食料なんでしょ?よかったのに…」
「みんなで食べた方が美味しいから…気にしないでいいですよ」
「うんうん」
同乗者の母娘にもポーチから、パン2つと果実2つとサラダ1皿を取り出してあげるリリス。
「小さな女の子でも飲めるような物って何かありますか?」
「うーん、そうねぇ。お茶とかお水とか果実搾ったジュース…あと近くに牧場があれば牛乳が手に入るかもしれないわね」
「そうか。牛乳だ。ベリアに売ってるかな?」
「ごめんね。さすがに心当たりないわ」
「いえいえ、ありがとうございます。牛乳探してみます」
夜ご飯を食べ終わり、寝る場所を決める。今回は大人2人と子供5人だったので荷台にみんな並んで寝る事に決まった。
「御者さん魔物避けは使いますか?」
「そうだね。王都から近いとはいえ…魔物がいないって事はないだろうしね」
「わかりました。リン、私たちはすぐ出れるようにみんなの外側に寝るよ?」
「うん。わかった」
「ティムとアリアは私とリンより内側に寝てね?」
「うん」
「え?お姉ちゃんと一緒がいい!」
「アリア!外で寝る時は私の言う事聞いて。魔物に食べられちゃうかもだからこうしてるんだよ」
「う…うん」
「よしよし。偉いね。外じゃなければ一緒に寝れるからね。今日はティムお姉ちゃんと寝ようね?」
「は~い」
「ティム頼むね」
「うん」
もし、魔物が来てもすぐ動けるように、戦える2人が荷台の端で寝ることにした。アリアがリリスと寝たいと言い出したが外を知らないアリアに外ではダメだと言いきかせた。
「じゃもう寝ようか」
「うん」
「おやすみ~」
「おやすみ」
大人2人と子供5人で馬車の荷台に並んで寝ていると、遠くの方でウルフの遠吠えが聞こえリリスはまた目を覚ます。
(またウルフかぁ…距離はまだまだ大丈夫かな?少し様子見るか…)
リリスがウルフの遠吠えで目を覚ましてから数時間が過ぎる頃、
「あれ?お姉ちゃん?」
「あっリン起こしちゃった?」
「ううん。何かパチッと覚めちゃた」
「そっか。もうすぐ朝だね」
「お姉ちゃん寝てないの?」
「みんなと一緒に寝たんだけどね…夜中にまたウルフが遠吠えしてたから様子見で起きてたんだ。まだ遠かったみたいだから一応ね」
「私代わるよ?お姉ちゃん寝てていいよ?」
「そう?じゃあお願いしよかな?」
「うん。任せて」
「何かあったらすぐ起こしてね?」
「うん」
リリスとリンが交代してから、さらに数時間がたちリリス以外の人が起き始めた。
「おはよ~」
「おはよ」
「あれ?お姉ちゃんまだ寝てるの?」
「し~!お姉ちゃん寝たの少し前だよ。夜中にウルフが遠吠えしてたから、様子見で朝まで起きてたんだよ?」
「え?そうなんだ?」
「うん。また寝ずに出発しそうだったから、朝私と交代したんだよ。寝かせといてあげて」
「うん」
「そうなんですね。本当に何から何までありがとうございます」
「はい。伝えておきますね」
「リンちゃん、またって?」
「王都に行く時も夜中にウルフの群れが来てて、お姉ちゃんしか気づいてなくてそのまま朝まで起きてたの」
「へぇ~そんな事あったんだ」
「うん。お昼食べたらウトウトしてたから、膝枕して寝かせてあげたんだ」
「その時はウルフの群れきたの?」
「うん、きたよ。お姉ちゃん起きた後にウルフの群れが来て戦闘になったよ」
リリスが1人で見張りをしていた事を聞いたティムとアリアは、リリスを起こさないように静かにリリスの側に座りだした。
「お姉ちゃんがんばったね~」ナデナデ
「ね~」
「私も力あれば交代出来るのに…」
「でもティムちゃん、ナーレまで我慢だよ」
「そうだよね…」
「うん。ちゃんと訓練しないとね」
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