第54話 4人姉妹
王都から乗り合い馬車に乗り、1つ先のベリアの町へ向かうリリスたち4人。
今回ベリアに一緒に向かうのは母娘の1組だった。
「出発時間となりました。ベリアまで1日後になります。では出発!」
御者はベリアまでの時間を伝えるとすぐに馬車を動かし始めた。
ゴトゴト…
「またこの時間が始まるのね」
「だね~体鈍っちゃうよね」
「戦えそうな人は私たち2人だけだから注意しようね」
「うん」
数分、馬車に揺られているとアリアがもじもじし出した。
「アリア?どうしたの?」
「お尻痛くて…」
「そっか、アリアは馬車慣れてないもんね。お姉ちゃんのお膝おいで?」
「うん」
「ティムは大丈夫?」
「うん。乗ってきたしね」
「まだまだ馬車乗るからベリアでクッション探そうか?ベリアまで我慢してね」
「うん」
「アリアもね。明日にはベリア着くからね」
「は~い」
さらにゴトゴトと馬車に揺られ続け昼頃になると…「ぐぅ~」とアリアのお腹が鳴ったことにリリスは気づいた。
「朝から何も食べてなかったもんね。何か食べようか?」
「うん」
「リン、ティム食べる?」
「うん。食べる~」
「食べる~」
「はいはい。馬車の中だからパンと果実でいいよね?夜になったらもう1品ぐらい増やそうね」
「は~い」
「うん」
「はぁい」
リリスはポーチからまずパン2つと果実2つを取り出し、リンとティムに1つずつ渡す。さらにパン2つと果実2つを取り出しアリアに1つずつ渡した。
リリスたちのやりとりを見ていた同乗者の母親が話しかけてきた。
「4人姉妹ですか?」
「はい。血は繋がってませんが…縁あって家族になりました」
「そうですか。素敵ですね。すごく仲良さそうだったのでつい話しかけてしまいました」
「大丈夫ですよ。明日までご一緒なんですから、お話しましょ」
「そうですね」
「ご一緒に食べますか?どうぞ」
「あら、どうもありがとうございます」
「ありがとう」
同乗者の母親に姉妹ですか?と聞かれたリリスは少し嬉しくなり、母娘にもパンと果実を1つずつ渡した。
「あれ?なんかお姉ちゃん嬉しそう?」
「ん?ほんとだ。お姉ちゃん笑ってるね」
「だって…姉妹ですって言えるようになったんだよ?嬉しいでしょ」
「そうか…私たち家族になったんだったね」
「そうだよ。もちろんアリアもね?」
「うん。お姉ちゃ~ん」ギュー
「はいはい。よしよし」ナデナデ
家族になったことに気づいてなかったリンとティム。アリアも気づいてないと思いアリアにも教えると喜んで抱きついてきた。
「本当に仲が良いですね。どう見ても姉妹ですよ。ね?」
「うん。可愛い4人姉妹だね」
「ありがとう」
同乗者の母と娘にも改めて姉妹に見えると言われ、嬉しくなるリリスだった。
「ベリアかぁ…ゲイルさんとマリーちゃん元気かな?」
「そうだね。ベリアならお魚も気になるね~」
「うん。焼き魚ならみんな食べれるだろうしね」
「クッション探すなら、少し見てまわってもいいかもだね」
「そうだね」
「リン?ゲイルさんたちの家の場所覚えてる?」
「ん~?忘れちゃった…」
「だよね~。私もあれからいろいろ合ったから、家の場所忘れちゃったよ。会えるなら会いたかったけど、仕方ないね」
「だね~」
「ベリアに知り合いがいるんですか?」
「はい。ゲイルさんとマリーちゃんの父娘なんですけど、ハルファで農家をしていたところ新しい農具を取りにベリア行き馬車で知り合ったんです。ベリアにはゲイルさんのお父さんの家があって、そこで簡単なお料理教えてもらったの」
「そうなんですね。さすがにその人たちは知りませんが、ベリアの町のおすすめのお店なら教えれますよ?」
「ほんと?お魚買えるお店と馬車移動用にクッションが買えたら嬉しいんだけど、お店わかりますか?」
「わかりますよ。ベリアに着いたら案内しますね」
「ありがとう」
ゲイルの父の家を忘れてしまっていたリリスとリンだか、代わりに魚やクッションが買える店を教えてもらえる事になった。
ゴトゴトと馬車は進み、時間が刻々と過ぎていった。
「そろそろだね?」
「うん。そろそろ…」
「そろそろ?」
「何かあるの?」
「今日、寝る場所決めるんだよ」
4人が話していると御者から…
「あの木の下辺りで今日は野宿しようと思います」
「ね?」
「ほんとだ」
「何でわかったの?」
「王都着くまで何回も乗ってきたもん。ナーレ着くまでに覚えちゃうかもね」
「そっかぁ」
「夜ご飯食べて寝る準備しようね」
「はぁい」
今日寝る場所に到着した4人。ベリアに向けてゆっくり休んでいく…。
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