第53話 家族が増えました

 「アリアーヌちゃんまでついてくる事になるなんて、びっくりだね」

 「ね~」

 「顔洗って、髪セットして出かける準備済ませちゃうよ」

 「はぁい」

 「は~い」


 リリスたちはこれからの事を話ながら旅支度をしていく。


 「まず、村に1度戻るのは決定ね」

 「うん」

 「あと、乗り合い馬車の代金はいいんだけど…2人はこれから町入るたびに通行料かかっちゃうね」

 「うん。それなら…」

 「うん。ティムとアリアーヌにもギルド登録してもらおうか?ナーレまでのお金はあるから私たちとお揃いでナーレで登録する?」

 「いいの?ナーレまでお金かかるんじゃ…」

 「1人だけ違う町とかいやでしょ?カードに何かあるとわざわざ登録した町まで行かないとだしね」

 「うん。ありがとう」

 「決めちゃったけど、リンもいい?」

 「いいよ。道中お金かかるから、無駄使いしないようにしなきゃだね」

 「うん。そうだよ。火使っていいならお料理すればいいしね」

 「うん」

 「さぁそろそろ出るよ?忘れ物ない?」

 「大丈夫」

 「大丈夫~」


 ティムとアリアーヌにもギルド登録してもらう事を決め、みんなで部屋を出て行き、お城の入り口でアリアーヌを待つことにした。

 リリスたちがお城の入り口で待っていると…

「お姉ちゃ~ん」と元気よくアリアーヌが走ってきており、王様と王妃様がアリアーヌの後ろを歩いてきていた。


 「きたね。アリアーヌちゃん」

 「うん!」

 「ちゃんと旅出来るように着替えてきたね。えらいえらい」

(ふわふわキラキラドレスを着ていたアリアーヌは、リンたちと同じような布の服とスカートにエプロンドレスを着ていた)


 「この姿なら王女様だとわからないね」

 「リリスよ。これを持っていくがよい」


 リリスは王様から革袋を渡された。


 「これは?」

 「1度ナーレに戻るのだろ?道中の馬車代とでも思ってくれればよい」

 「ありがとうございます。あと、これからの事を考えるとアリアーヌちゃんもギルド登録してもらおうかと思うのですが…」

 「わかった。本人もお主たちとお揃いのが喜ぶだろうから、後でアリアーヌに決めさせてやってくれ」

 「わかりました。あっ最後に1つだけ…」

 「なにかな?」

 「アリアーヌちゃんも家族として妹として扱います。時には、姉として怒ることや1人のミスが家族全員に降りかかる事もあると思いますが良いですか?」

 「ん?特別扱いは出来ないと申したいのか?そんな事気にせんでよい。今日よりアリアーヌはリリスの妹じゃ!よいな?」

 「はい」

 「もう行くがよい。このような場面、貴族に見られると問題が増える」

 「はい。あの…王妃様ごめんなさい。ずっと謝りたかったんだけど、出来なかった」

 「大丈夫。私たちを思って怒ってくれたのわかってますよ。アリアーヌをお願いね」

 「はい。行ってきます」


 リリスたち4人は仲良く王都の乗り合い馬車に向かい歩いていたが、途中で王様からもらった革袋を開けてみた。


 「ねぇ?リン」

 「なぁに?」

 「せっかくの王都だから武器屋か防具屋さん行かない?」

 「いいけど、お金ないよ?」

 「王様が持たせてくれた革袋開けたら…金貨20枚入ってたの」

 「すごい大金だね。それなら、家族が一気に2人も増えたから食料を先に買ってからにしようよ?」

 「そうだね。安全策ばっかり考えてて食料忘れてた…さすがリンだね」

 「えへへ」

 「お料理ナイフしかないから、私らはいいけどティムとアリアには何か武器いるかな?ってね」

 「アリアって…アリアーヌちゃん?」

 「うん。もう私の妹だもん。呼ぶ時はアリアって呼ぶね?」

 「うん。お姉ちゃん」

 「よかったね。アリアちゃん」

 「長いと呼びにくいもんね」

 「馬車が続くから食料だけでも買って行こうか?武器はティムの訓練してからの方がいいかな?合う合わないあるみたいだしね」

 「そうだね」


 リリスたち4人は乗り合い馬車を探す前に食料を買いに肉と野菜を中心にお店をまわっていた。


 「ふぅ~結構買い物したね。全部で金貨1枚か」

 「ちょっと休憩しようか?」

 「そうだね。…おじさんジュース4つください」

 「はいよ。銅貨4枚ね」

 「ありがとう。はいリン。はいティム。はいアリア」

 「ありがとね。しっかりしたお姉ちゃんだね」

 「えへへ」


 リリスたち4人は食料を買い込み、ジュースを手に休憩をとり終わると再度、乗り合い馬車を探して移動し始めた。


 「馬車どこかな~?」

 「どこかな~?」

 「かな~?」

 リンが陽気に話し出すとティムとアリアが吊られて話し出す。


 「あっ馬車あった~」

 「あったね~」

 「うん。あった~」

 王都の門付近に乗り合い馬車は客待ちしていた。


 リリスが御者に話しかける。


 「すいません。どちらまで行きますか?」

 「いらっしゃい。ベリアまで。1人銀貨2枚だよ」

 「4人お願いします。はい、銀貨8枚」

 「タイミング良かったね。もう出るとこだったんだよ。さぁ乗ってくれ」

 「はぁい」


 無事、帰りは何事もなく王都を出れたリリスたち。村に向かって馬車に乗っていく…。

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