第51話 説得!

 朝になり目を覚ますリリス。


 「あの子たちまだ寝てるのかな?私たち最後までいる必要もない気がするし、長くいればさらに貴族の問題に巻き込まれる感じもするのよね…」


 パジャマをポーチにしまい、いつもの服に着替え3人が寝ている部屋へ向かう。

(そういえば…1人きりになったの久しぶりかも。ずっとリンが側にいてくれたから何か少し寂しいな…)


 3人が寝ていた部屋に着き、扉を開けて入ってみると…3人はまだ寝ていた。

 「あちゃ~まだ寝てたかぁ」とリリスが発声した時…「ん、う~ん…」とリンが目覚めようとしていた。


 「リン!リン!」

 「ん?あ、お姉ちゃんおはよ~」

 「リン!よかったぁ~おはよ~」ギュー

 「お…お姉ちゃんくるし…」パンパン

 「あ、ごめんごめん。心配したんだよ」

 「え?何かあったっけ?」

 「覚えてる?お庭にお茶を持ってきたメイドのこと」

 「うん」

 「その持ってきたお茶を飲んだリンとティムとアリアーヌは倒れたんだよ」

 「えええ!じゃあ私今まで寝てたの?」

 「うん」


 リンが目覚めた事に喜び抱きつくリリスと、この状況がわかっていないリン。


 「あのメイドって、王妃様が私たちの身の回りのお世話用に呼んだ人なのよ」

 「うん。そうだったね」

 「お城の中にいるのに…私の家族に手出されたから直接、王妃様に文句言ってやったの」

 「そうなんだ…」

 「ねぇ…ティムも助けたし後は大人に任せて、私たちはもう王都出てもいいような気がするの…。長くいればいるほど、どんどん問題ごとが増えてくる気がするんだよね」

 「お姉ちゃん…まだ王妃様に怒ってる?」

 「元気なリン見れたし、ティムもそろそろ目覚めると思うから…昨日よりは…」

 「まだ怒ってるんだ…」

 「お城の中なら安心だと思ってた私がバカだったよ…きっとアリアーヌちゃんもお城の中の人に誘拐されたんだろうね。私も飲んでたら…きっとまた4人とも誘拐されてたとこだったよ」

 「悪いのは昨日のメイドだよね…王妃様かわいそう」

 「確かに悪いのはメイドだよ。私はね…自分の身の回りのお世話を任せてるメイドがどんな人物なのかもわかってない王妃様にも怒ってるの。今回、どんな人物かわかってないメイドを私たちのお世話につけて私の家族に手出されてるし、わかってないからアリアーヌちゃんも誘拐されたんだと思ってるの」

 「そっか…」

 「お城が安全じゃないとわかったからには、もう何処にいても同じだから問題事が増える前に王都出ようと思ったの」

 「でも…王都出るなら大人に話してからの方がいいかも?いきなり王都出ると探されるよ?」

 「あっ、そっか…それもそうだね。忘れてた」


 リリスとリンは状況説明とこれからの事を話し合い、大人にちゃんと話してから王都を出ることに決めた。


 「そろそろ2人も起きるかな?ティム!アリアーヌ!起きて~」

 「ティムちゃん、アリアーヌちゃん起きて~!」


 2人はティムとアリアーヌを起こし始める。

 肩を掴み揺さぶるリリスとリン。


 「ん、う~ん…」

 「2人とも起きて!」

 「…おはよ」

 「おはよ…ふゎ~」

 「やっと起きたね。おはよ。2人とも体は大丈夫?痛いとことかない?」

 「大丈夫だよ」

 「うん。大丈夫」

 「リンも大丈夫?」

 「うん」

 「よかった。睡眠薬だけで本当によかった…」

 「あっ!そうか。もし毒飲んでたら…」

 「そうだよ。気づいた?私が怒るのもわかるでしょ?」

 「…うん」

 「2人ともゆっくりしたいとこ悪いんだけど、大人の人がいる部屋に行くね」

 「はぁい」

 「うん」


 やっと目が覚めた3人と一緒に、大人がいると思われる執務室へ移動し始めるリリス。


 「この部屋で合ってる?アリアーヌちゃん」

 「うん」


 コンコンとノックするリリス…

 「誰だ?」

 「リリスです。お話があってきました」

 「入れ」

 「おはようございます。無事3人は目を覚ましました」

 「おお、アリアーヌや。心配したぞ~おいで」

 「うん」

 「話とは3人が起きた事ではないよな?」

 「ええ。お城にいても危険だとわかったので王都を出て行きます」

 「そうか…そう言うだろうと思ってはいたが…」

 「何も言わずに出るのも考えましたが、また権力で探されても面倒なのでお別れの挨拶をしに来ました」

 「リリスよ、やはり怒っておるのか?」

 「はい。悪いのはあのメイドですが、どんな人物なのかわかってない人物を身の回りのお世話においてる王族に失望しました」

 「そ、そうか…」

 「先にも言ってました通り、私の家族に手を出されたので護衛の件もここまでにさせてもらいます。あと、ナーレ領主の件どうなりましたか?」

 「まだ決めているとこだ」

 「結構時間かかるんですね?処分が決まるまでに、ギルドの依頼を受けてきた人やナーレ領主がまた来た場合はこちらで仕末しますけどいいですか?」

 「な!何を言っておる!」

 「先にも言いましたよね?人族から手を出してきてるのです。王様が決めてくれないなら戦闘込みで考えます。と」

 「何が望みだ?金か?」

 「いえ、安全です。この子ら2人をのんびり暮らせてあげたいだけなのですが、私と一緒にいるだけでこの子らも魔族扱いされるのです」

 「わかった。わしの名前で書状を持たせてやる。全国民とはいかんが、貴族や兵士からは手が出せなくなる。これでよいか?」

 「はい。それでお願いします。今回の事も含め、後はそちらで対処お願いします」

 「わかった。すぐ書状を用意する待っておれ」

 「はい」

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