第49話 裏切り行為

 リリスたち4人が庭で追いかけっこしたり、花壇に植えられている花を眺めたり、土で遊んだりしているとメイドが話しかけてきた。


 「飲み物でもお持ちしましょうか?」

 「はい。お願いします」

 「では、あちらの東屋にお持ちしますね」

 「はい。みんな少し休憩しようか?あの建物に行くよ~」

 「はぁい」


 東屋にはテーブルと椅子が4つ置いてあり、リリスたちはメイドが戻ってくるまで椅子に座って待つことにした。


 「今、飲み物持ってきてくれてるから、もう少し待ってね」

 「はぁい」


 少し待つとメイドが戻ってきた…

 「お待たせしました」コトッ


 リリス以外の3人ははしゃいで喉が渇いていたのか、メイドがティーカップを3人の目の前に置くとさっそく1口飲んだ。


 「あっ!こ~ら。お庭の土触ったりしたんだから、手洗ってからだよ?」

 「あ、そうだね。忘れて…た…」パタ


 リリスが手洗いせずにすぐ飲み物を口にしたリン、ティム、アリアーヌを注意し、リンが忘れてた。と反応した時…先に飲み物を口にした3人がリリスの目の前でテーブルに伏せるように倒れた。


 「え?リン!ティム!アリアーヌ!」


 リリスはすぐ後ろを振り返りメイドを探すが、いつの間に移動したのかどこにもいなかった。

(いつ襲ってくるかわからない…。リンたちが気になるけど私までやられるのは避けないと。どうしよ…)


 リリスは周りを警戒しながらリンたちに声をかけていく。


 「リン!リン!ティム!ティム!アリアーヌ!アリアーヌ!」

 「あっ!こんな時こそ気配サーチだ。できるかわからないけど使うなら今よね」

(魔力を使わずに自分の周囲の気配を探るだっけ?目を閉じて耳を澄まして…ん?何か音がする。どこだろ?)


 「ガサガサ…」

 「そこ!❮血の精密操作:槍❯」

 「きゃああああ!」


 リリスが唱えた魔法が茂みの中にいた人物に当たった。と、同時に悲鳴を聞いた兵士が庭にやってきた。


 「悲鳴が聞こえたがどうした?」

 「よかった。この子たちをお願いします」

 「え?アリアーヌ様?どうしました?」

 「犯人がさっきまでそこの茂みにいたの。魔法当てたからケガしてるはず…私が追います」

 「え?危険だ!俺が行く」

 「私は冒険者です。それに私じゃ3人運べないので安全な場所へお願いします」

 「…わかった。無理するなよ」


 リンたちを兵士に預けれたのでリリスは茂みにいた人物を探しに出る。

(兵士さんと話してる間に逃げちゃったかなぁ?そういえば…私のくない刺さったままなのかな?魔力サーチでくないの場所探せるかな?)


 「試してみるか❮魔力サーチ❯…なんか1人、すごい速度で走ってる人がいるなぁ。もしかして、これ犯人かな?」(あっ移動止まった…行ってみるか)


 リリスは自分の魔力で作ったくないだけを探す事は出来なかったが、リリスのくないが刺さっているのかすごい速度で走ってく魔力を見つけ止まったのを確認した。リリスも茂みを通り、同じ道を通って魔力反応が止まった場所へ向かう。


 リリスが着いたその場所は…大きな屋敷だった。

(どこかの貴族ぽいな~さすがに入れないし、どうしよ…)


 周りを見渡すと屋敷の近くに1件だけ野菜のお店を見つけた。


 「すいませ~ん」

 「おや?いらっしゃい。お使いかい?」

 「え?うん、そんなとこ…。じゃトマト1つください」

 「あいよ。銅貨2枚だよ」

 「はい」

 「ありがとね~」

 「ねぇ?あそこの大きな家って誰の家なの?」

 「確か…ベイン男爵のお屋敷じゃなかったかしら?」

 「そうなんだ?あっ戻らないと、ありがとー」

 「あいよ。またきとくれ」

(一応もう1度❮魔力サーチ❯して変わりなければ戻るかな…)


 「❮魔力サーチ❯…くない抜かれちゃったかな?反応消えちゃった…戻るか」


 お城に戻ってきたリリスは庭に来てくれた兵士を見つけ、リンたちがいる場所を聞いて急いで向かう。リンたちがいる部屋に着くと、王様、王妃様、宰相、メイド数人が揃って3人の看病をしていた。


 「リンは?ティムは?アリアーヌは?大丈夫?」

 「落ち着きなさい。3人は大丈夫、寝てるだけだ」

 「ほっ」

 「何があった?」


 王様が聞いてきたが…リリスは王妃様に向かい…

 「お庭で遊んでいた時、あのメイドさんが飲み物持ってきましょうか?と言ってきたので頼みました。私以外の3人は喉が渇いていたのかすぐに1口飲んでいました。土遊びの後なので手洗いしてからよと注意すると3人はテーブルに伏せるように倒れました。私はすぐ3人に近づき状態を確認しようとした時、メイドの姿がない事に気づき私までやられないように気配サーチを試しました。すると、茂みからガサガサと音がしたので魔法を当て、悲鳴を聞いた兵士さんが来てくれました。私の魔法が刺さってるままかも?と思い魔力サーチを使ってみると、すごい速さで走ってく魔力を見つけたので止まったのを確認してから入っていったと思われる建物を見てきたとこです」


 「え?あのメイドが?」

 「ええ。あなたが任されたメイドに私の家族は毒をもられました。今回はたまたま睡眠薬のようですが…」

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