第48話 みんなでお揃い

 何をするにしても、まず身支度を整えようとするリリス。


 「アリアーヌちゃん、お姉ちゃんたちまだお顔洗って服も着替えてないから、少し待ってくれる?」

 「うん。待ってる~」

 「ありがと。リン、ティムまずお顔洗うよ?」

 「はぁい」


 リリスたちに用意された部屋には洗面所とその横に猫足バスタブが置いてあるお風呂場、簡易キッチンが備え付けてあった。

 洗面所に行き…

 「はい。綺麗になった」


 ポーチからいつもの服を取り出し…

 「着替えるよ。寝間着は私に渡してね」


 顔を洗い、服を着替え終わるとアリアーヌが待っているソファに戻る。


 「リン、後ろ向いて」

 「うん」

 「櫛でといて…今日は流す感じにしてみようか」

 「うん」

 「綺麗になったら…左肩の前に纏めてここでリボンっと」

 「ありがとう」

 「痛くない?」

 「うん」

 「次はティムね~後ろ向いてね」

 「じゃあ、私がお姉ちゃんの髪してあげる」


 リリスに今日の髪をセットしてもらったリンは、リリスの髪をセットし始め、リリスもティムの髪をセットし始めた。


 「ティムもお揃いにできたらいいのにね~」

 「そうだね~」

 「リボン買わないとね」


と、話しているとメイドが話しかけてきた。


 「ご用意しましょうか?」

 「いいの?」

 「どのような物でしょうか?」

 「豪華な物じゃなくていいよ。捨てるような端切れを縦長に切って、端に少し切り込み入れてもらえれば十分です」

 「リン、そのリボン見せてあげて?」

 「はい。こんな感じ」

 「わかりました。色はティム様の髪色に合わせる感じでいいですか?」

 「はい。お願いします」

 「あの…アリアーヌ様にもしてあげてもらってもいいですか?」

 「いいよ。アリアーヌちゃんにはちゃんとした布をお願いします」

 「はい」


 数分待つと、メイドが3種の色(白・青・黒)の布とキラキラの布を持ってきた。


 「この布辺りがよろしいかと…アリアーヌ様にはこちらのキラキラした布をお願いします」

 「ありがとう。ティムは綺麗な茶髪だから白がいいと思うんだけどどうかな?」

 「こう?どうかな?」(布を持って髪に合わせてみる)

 「いいね。リボンが明るいからすごいワンポイントになるよ」

 「じゃこれにする~」

 「では、私が切りますね」


 メイドは白い布を縦長に切り、切れた布の端に切り込みを入れてくれた。


 「ありがとう。ティムおいで~」

 「はぁい」

 「結ぶ前に綺麗にしようね。櫛でといて…っと。そうだ、リンと合わせてみようか」

 「うん」

 「リンが左だから、ティムは右肩に流してあげるね。纏めてここでリボンっと」

 「お~可愛い」

 「そう?えへへ」

 「お姉ちゃんも出来たよ。お気に入りのポニーテール」

 「リンありがとう」


 3人の今日の髪型が完成した。


 「アリアーヌちゃんお待たせ~お揃いにしようね」

 「うん」

 「どんな髪型がいいかな~」

 「アリアーヌちゃんの髪、腰まであるね」

 「三つ編みにしてリボンで纏めようか」

 「リンも櫛だして?髪長いから手伝ってね」

 「うん」

 「櫛終わったら、次は編んでいくよ」


 アリアーヌの髪を3等分にし、リンとティムに持っててもらい少しずつ編まれていく。

 「はい。次リン、次ティム、次ティム、次リン。少し持っててね最後にこのリボンでとめるよ」

 「はい。出来た完成~」

 「わぁ~アリアーヌ可愛い~」

 「ほんと?えへへ」

 「みんなリボン付いてるよ。お揃いだね~」

 「ね~」


 みんなの身支度が終わったので何をするか相談し始める。


 「どうしよっか?」

 「メイドさん私たちが入っちゃダメな場所はどこですか?」

 「そうですね…牢屋、玉座の間、応接室、執務室、後は王様たちの寝室でしょうか」

 「わかりました。とりあえず…お庭行ってみようか?」

 「うん」

 「うん」

 「アリアーヌちゃん綺麗なお花見に行こっか?」

 「うん」


 リリスたちが部屋を出て庭へ向かう…

 「お姉ちゃん手つなご?」

 「あ~私も~」

 「はいはい。じゃリンこっち、ティムこっちね」

 「アリアーヌ様、私と手繋ぎますか?」

 「うん」


 リンとティムと手を繋ぎ庭まで来たリリスたち。アリアーヌもメイドと手を繋いでリリスたちについてきた。


 「お花いっぱいだね~」

 「ね~」

 「いろんな色あるね~」

 「アリアーヌちゃんもおいでよ。いろんなお花あるよ」

 「うん」


 城の庭には花壇があり、そこにはいろんな花が種類や色違いで綺麗に並んで咲いていた。子供たちが花壇の周りでキャッキャとはしゃぎだす。

 それを少し離れて見守るメイド…と、城の2階の窓から庭を見ていた王様。


 「アリアーヌの楽しそうな顔久しぶりに見た。小さい子があの子しかおらんから心配しておったが大丈夫そうだな…」

 「陛下、話を詰めませんと」

 「ああ、わかっておる」

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