第39話 初めての料理

 「さっそく、簡単な物から作っていこうか?」

 「はい」

 「横で見ながら教えるから自分でしてみようか?」

 「うん」


 ゲイルの指示のとおりに作業していくリリス。


 「肉を出して小さく切っていく。フライパンで肉を焼いていこうか?肉はひっくり返しながら裏も表も茶色くなれば大丈夫だ」

 「はい。これぐらい?」

 「うん。大丈夫。片手なべを出して、フライパンで焼いた肉を移してくれ」

 「はい」

 「片手なべに水を入れて少し煮込んでいく。濁った泡が出てきたら掬って捨てよう」

 「うん」

 「そろそろいいかな?小さく切った野菜をなべに入れていこう」

 「はい。できた」

 「後は味付けなんだが…最初だし塩でいいか。少しずつ塩入れながら味見しようか」

 「少し飲んでみて、自分が美味しいと思ったらもういらない。後はそのまま煮込んで柔らかくなれば塩スープの完成だ」

 「ありがとう」

 「一緒に入れた肉からもいい味が出てるから、これだけでも美味しいと思うよ」

 「うん。美味しい」


 ゲイルに1つ1つ手順を教えてもらい、肉入りの塩スープを完成させたリリス。


 「もう1品、なべは使ってるからフライパンだけで作れるのにしようか?」

 「うん」

 「肉をこれぐらいの厚さに切って、肉に塩をふってフライパンで焼いていく。これも肉が茶色か少し灰色になるまで焼けば完成だ。簡単だろ?ステーキっていう料理だよ」

 「うん。簡単だね」

 「この2つが作れるなら少しの間は大丈夫だよ。塩に飽きたら、お店に行って他の調味料買ってみてくれ」

 「うん」

 「お店のおばさんなら味付けに詳しいと思うから聞けばいいよ」

 「はぁい。ありがとう」


 リリスはゲイルに教えてもらい、ステーキと塩スープを完成させた。ついでにお昼ご飯にしようと…復習を兼ねて5人分作ることにした。

 お昼ご飯に…パンと葉物野菜を小さくちぎって塩をふったサラダとステーキと塩スープの4品を出した。


 「初めてお料理したんだけど…お味どうかな?」

 「美味しいよ。お姉ちゃん」

 「おいしい~」

 「大丈夫。ちゃんと出来てるよ」

 「よかったぁ~」

 「お肉は赤いとお腹痛くなるからちゃんと色が変わるまで焼いてね」

 「うん。わかった」


 みんなからの評判もよく初めての料理は成功したようだ。


 「あっ忘れてた。リリスちゃんこっちへ」

 「はい」

 「これ少ししか渡せないけど…塩もあげるね」

 「いいの?」

 「いいよ。買い物も出来ないんでしょ?」

 「うん。ありがとうございます」

 「後はこれだね?竈の火…すぐ離していいから触ってごらん」


 竈の火を触ってみるリリス。すると…頭の中に❮ファイヤーウォール❯と浮かんできた。

 「火魔法覚えれた~」

 「成功したみたいだね。おめでとう」

 「ありがとう」

 「戻ってご飯食べようか」

 「うん」


 リン、マリー、マリーの祖父がいるとこに戻り、リリスもご飯を食べていく。


 「お姉ちゃん火魔法覚えれたの?」

 「うん。1つ覚えたよ~」

 「なんかすごい嬉しそう…欲しかった魔法でもきたの?」

 「うんうん。よくわかったね?ボールじゃなくてウォールが浮かんだの」(火の壁とか…まるで火遁の術だよ)

 「へぇ~」

 「でも壁だと料理用の小さい火出せるかな?」

 「魔力あまり使わないように調整して出してみるとか?」

 「そうだね。練習しないとね」


 昼ご飯を食べ終わり、そろそろ家を出ようとする。


 「ゲイルさんありがとうございました」

 「力になれたようで良かったよ。気をつけて王都行くんだよ?」

 「はい。マリーちゃんまたね~」

 「うん。またね」


 ゲイルたちとお別れし、入ってきた門と違う門へと向かう2人。


 「さぁ、次はいよいよ王都だね」

 「うん。私たちも気をつけないとね」


 門の付近で乗り合い馬車を見つける。


 「どこまで行きますか?」

 「王都サレンまでだよ」

 「おいくらですか?」

 「1人銀貨2枚だよ」

 「はい。銀貨4枚」

 「はい、確かに」

 「じゃ先に乗って待っててくれ。出発時間までもう少しお客さん待つよ」

 「はぁい」


 王都サレン行きの馬車を見つけたリリスたち…。王都到着まであと少しだ。

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