第38話 属性魔法の秘密

 「おはよ」

 「おはよ~」

 「マリーちゃんおはよ」

 「うん。おはよ」


 仲良くなったマリーにも挨拶をし出掛ける準備をする。

 リンが❮ウォーターボール❯で水を出し、みんな顔を洗い目が覚めたら馬車に乗っていく。


 「水魔法便利だね~」

 「うん。お姉ちゃんもまだ覚えれる属性あるよね?」

 「うん。火と風ね…焚き火とかすると覚えたりして?」

 「でも、今まで火使ったことないから…」

 「そうだね。お料理の時覚えれたりしてね」


 リリスとリンが話していると御者が…

 「お嬢ちゃんたち、まだ覚えれる属性があるならいろいろと体験するといいぞ」

 「そうなんですか?」

 「まぁ俺は魔力ないが…こんな仕事してると冒険者からよく聞くんだよ」

 「へぇ~」

 「魔力があって属性もあって必要ステータスもあるのに覚えない~って聞いたことがある」

 「うんうん。どうなりました?」

 「夜、馬を休ませるために野宿してる時、その魔法使いがたまたま料理当番だったらしくてな…焚き火の火に一瞬触れたら魔法名が頭に浮かんできたって言ってたぞ」

 「おお~!いい情報ありがとう」

 「おう。条件が揃っていてもきっかけが必要な属性もあるってことだな」

 「なるほど、なるほど。ありがとう」


 御者が…

 「そろそろ見えてくるぞ!」


 御者の言葉にリリスとリンとマリーが馬車の前方に移動する。

 小高い丘を越えると目の前に大きな町ベリアが見えてきた。


 「おお~大きい~」

 「すごいね」

 「町の後ろに見えてるのって?」

 「海だよ。この町は魚が食べれるんだよ」

 「見えてるけど、もう少しかかる。ちゃんと座ってな」

 「はぁい」


 町が見えてくるとリリスが少し不安になっていた。


 「魚食べれるなら食べたいけど、まず私たち町に入れるかだよね…」

 「そうだね…入れなかったらお料理も出来ないね」

 「そうなのかい?何か訳ありのようだね」

 「…はい」

 「その時は町の外で簡単に教えてあげるよ」

 「ほんと?ありがと」


 「降りる準備しろよ~忘れ物しても知らね~ぞ」

 「はぁい」


 ベリアの町に到着。リリスとリン、父娘、商人が馬車を降りていった。

 商人とはここでお別れする。


 「ありがとう」

 「いや、こっちこそだよ。楽しい旅だったありがとう」


 少し不安になりながらも…ベリアの門兵まで向かいギルドカードを見せてみる。


 「町入っていいですか?」

 「どれどれ?リリス…話は聞いている。入ってもいいが安全の保障はできない。後、捕まえろ!と依頼書が貼られれば我々は捕まえなければならない。それでもいいなら好きにしろ」

 「わかりました。用事が終わればすぐ出ます」


 ゲイルとマリーは通行料を払い先に町に入っていたので、リリスとリンも町に入りゲイルについていった。


 「門兵があんな対応するとは…あまり時間かけない方が良さそうだね」

 「はい。ごめんなさい」

 「いやいや、謝るような事じゃないよ。この町に私の親、マリーの祖父の家があってね…そこで教えるよ」

 「はい。ありがとう」


 少し歩きゲイルとマリーが1件の家で立ち止まり、中へ入っていく。


 「ここだよ。ただいま父さん」

 「おじいちゃんただいま~」

 「おお、おかえり。マリー」

 「おじゃまします」

 「ゲイル、この子たちは?」

 「乗り合い馬車で一緒になってね。2人で旅してるんだって」

 「リリスです」

 「リンです」

 「こんな小さな子たちが旅?」

 「うん。お料理出来なくて、毎日同じ物しか食べれないって聞いてね」

 「おじいちゃん、リリスちゃんとリンちゃんがパンと果実くれたの」

 「そうそう。ベリアに向かったはいいけど、干し肉1つしかなくて…そんな時食料もらったんだよ」

 「そうか、そうか。孫がお世話になりました。こんな家で良ければ使ってくだされ」

 「ありがとうございます」

 「ありがとう」


 マリーの祖父に挨拶と事情説明をして、さっそくキッチンに向かう事になった。


 「急ぎだったね?さっそく始めようか」

 「はい。あの…お肉と野菜持ってます」

 「わかった。後は道具だね…あの様子だと買い物も出来ないよね?」

 「そうですね…家出ない方がいいですね」

 「じゃあ、古い使ってないので良ければなんだけど…片手なべ、小さなナイフ、フライパンあげるね」

 「ありがとう」


 いよいよ初めての料理が始まる。

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