第37話 次の町まであと少し
父ゲイルと娘マリーとお友達になったリリスたち。
父のゲイルは娘マリーとハルファに住んでいたが、仕事道具を取りにベリアへ向かっているらしい。マリーはどうやらリンと同じ5才だったようだ。
「私たちは使い古して壊れてしまった仕事道具を新しく手に入れるため、ベリアに向かってるとこだよ」
「そうなんだぁ」
「さすがにマリー1人をハルファに残してベリアに行くのは心配だから、一緒に連れてきたんだよ」
「うんうん。往復で4日も1人はかわいそう…」
「お仕事って何してるの?」
「うちは普通の農家だよ。ハルファじゃ農具すら品揃え悪くてねぇ」
「へぇ~」
「お父さんのお料理美味しいよ?野菜いっぱい」
「うちの畑で取れた野菜を売って生活してるんだよ」
簡単にだが、マリーたち父娘の生活状況を知ったリリス。
「お嬢ちゃんたちはどうして2人だけで乗ってるんだい?」
「あ…いや、なんと言うか…」モジモジ
「言えないなら、無理には聞かないよ。娘のお友達困らせたくないしね」
「…奴隷になった幼馴染みを助けに王都サレンに向かってるとこです」
「え!…すまなかった。そんなに重い話だったとは…」
「…奴隷?」
「ごめんなさい。マリーちゃんに聞かせたくなかったんだけど…」
「いや、こちらこそすまない。大人に聞かれれば言っちゃうよな…」
ゲイルに王都に向かっている事を話すと…マリーも聞いていたようで…。
「お父さん奴隷ってなに?」
「よく聞いて覚えとくんだよ?奴隷ってのは…お金が無くて誰かにお金を借りたけど返せない人…いっぱい家族いるけど食べていけない人の中には、自分からまたは追い出されて働きにでる人…酷いとこは自分の子供を売る親もいるし…住んでた場所が襲われ1人きりになってるのを見つけて誘拐され知らない人に売られたり…といろいろあるけど、お金で自分の体を買われ無理矢理働かされている人の事を奴隷というんだよ」
マリーは無言になり、びくびくと怯えだした。
「大丈夫。お父さんがいる…ちゃんと守ってやるからな」
「…うん」コクン
「ごめんなさい。こんな事聞かせてしまって…」
「いや、そろそろこの国の事も知っていく年齢だ。きっかけになっただけさ」
夕方になり…そろそろ今日の野宿場所を探すようだ。御者は手頃な場所がないか町へ向かいながらもキョロキョロしてる。
「今日はあの木の辺りで休もう」
ポーチからパンと果実を4つ取り出していると…
「マジックバッグかい?ウルフ入れればよかったのに…」
「はい。でも解体出来ないし、お料理も出来ないので…」
「冒険者ギルドに持ち込めば、解体してくれるよ?」
「はい。わかってるんですけど…訳ありでギルド行けないんです」
「そ、そうか…まだ小さいのに問題いっぱい抱えてるんだな」
「…そうですね。いつの間にか」
父娘にパンと果実を渡し、リリスとリンも夜ご飯にする。
「はい。ご飯どうぞ」
「ありがとう。ほら?マリーも」
「ありがとー」
「ベリアまで後どれくらいですか?」
「明日の昼前には着くと思うぞ」
「はぁい」(また宿に泊まれないかもだし…ちゃんと寝なきゃ)
御者にベリアまでの距離を確認をして、寝る準備を始めていく。
「今日も魔物出るとか…ないよね?」
「ああ~ゆっくり寝れないね」
「魔物避けって無いんですか?」
「あっ!わるいわるいすっかり忘れてたわ」
「え~」(御者が魔物避けを忘れていたからウルフの群れに狙われちゃったけど、忘れてなかったら父娘とお友達になれなかった可能性もあったのね…)
今度こそ、御者は魔物避けを使い…今日はゆっくり休んでいくリリスたち。
朝起きれば、もうすぐベリアだ…。
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