第36話 新しいお友達

 夜中…リリスたちがそれぞれ決めた場所で寝ていると、そんなに遠くもない所でウルフの群れが吠えていた。リリスはパチッと目が覚めてしまい、そこから朝まで寝たり起きたりと繰り返すことになってしまった…。


 やがて朝になり…リン、御者、商人、父娘と目を覚ましてく。

 「さぁ、先を急ごうか?」と御者の言葉で、みんな馬車に乗り込んでいく。


 ゴトゴトと馬車が動き始める中で、ポーチからパンと果実を取り出し朝ご飯をすることにした。父娘にももちろん…「はい。どうぞ」「ありがとね」

 リリスとリンも食べ終わり、ゴトゴトと揺られているとお腹も膨れているのですごい眠気に襲われるリリス。


 うとうとしていると…

 「お姉ちゃんすごい眠そうだけど大丈夫?」

 「いや~昨日の夜中、ウルフの群れが吠えながら近くまできててね…」

 「ええ!私ぐっすり寝ちゃってたよ」

 「警戒しながら寝たり起きたりで…ふわぁ~」


 リンはリリスの横に座り直し「はい。お姉ちゃんどうぞ」と自分の膝をパンパン叩く。

 「ごめんね。少し膝貸してもらうね」

 「いつもしてもらってるし…いいよ」

 「おやすみ~」


 リンの膝まくらでリリスが寝ているのを父娘と商人が微笑ましく見てた。


 「お姉ちゃん、寝不足かい?」

 「そうみたいです。夜中にウルフの群れが来ていたらしくて…見張っていてくれたみたいです」

 「全然気づかなかった…ゆっくり寝かせてあげておくれ」

 「はい」

 「おかげでゆっくり寝れた。ありがとね」

 「伝えときますね」


 お昼過ぎ…リリスが目を覚ます。


 「おはよ」

 「あっお姉ちゃんおはよ」

 「私が寝てから何かあった?」

 「ううん。何も無かったよ」

 「そっか…よかった」

 「みんなありがとうって言ってたよ?」

 「え?なんで?」

 「夜中のウルフの群れ見張っててくれたんでしょ?」

 「あぁ~たまたまだけどね」

 「いいじゃん。ウルフ気づいていたのお姉ちゃんだけだったみたいよ」

 「そっか。ならいっか」

 「うんうん」


 リリスは体を起こしリンの横に座り、またゴトゴトと揺られ始めた。


 「馬車って楽だけど、こう暇だと体鈍っちゃうね」

 「そうかもね」


 リリスとリンが話しているそばから御者が叫びだす。


 「魔物だ!ウルフの群れが出たぞ」


 リリスとリンが馬車を降り…

 「昨日のウルフかな?」

 「匂い追ってきたのかな?」

 「かもね~」

 「リン、いくよ~!❮血の精密操作:槍❯」

 「うん❮ウォーターボール❯」

 「それ~!」


 リリスはくないを飛ばし、リンは水魔法でウルフの顔を狙い窒息させていき、接近してくるウルフには思いきり短剣をウルフの頭にふる2人。父娘と商人は馬車に隠れ、御者は馬を守っていた。

 ウルフの群れは数10匹ほど…リリスとリンの活躍で特に問題が起きる事もなく無事に終わった。


 御者は…「嬢ちゃんたち助かったよ」

 「いえいえ、これでも一応冒険者なんで手伝いますよ」

 商人と父親からも…「ありがとう。助かったよ」

 娘からは…「お姉ちゃんたちすご~い!」とほめられた。


 ウルフの群れをきっかけに娘とお友達になることが出来ました。


 「私はリリス、この子はリンだよ」

 「リンだよ~」

 「私はマリー」

 「マリーちゃんかよろしくね」

 「うん。よろしくね」

 「私はマリーの父親のゲイルです。娘と仲良くしてあげてください」

 「はい」


 またゴトゴトと揺られながら…マリーと一緒に話していく。


 「お姉ちゃんたちウルフよかったの?」

 「うん。持って行けないからね」(マジックバッグあるけど…)

 「そうだね~。でも、お肉もったいないね」

 「お料理出来ないから…串焼きにしかなりそうにないけどね」

 「あっ!それじゃあ…ね?お父さん」

 「簡単な料理でいいなら教えてあげるよ?」

 「ほんと~?ありがとう」

 「ただ、お料理するにも道具がいるからベリア着いたらでいいかな?」

 「はぁい」


 マリーが新しくお友達になり、ゲイルにお料理まで教えてもらえることになったリリスたち。

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