第30話 運命的な再会
「わわわ…だ、大丈夫ですか?」
御者が騒ぎに気づき2人に寄ってくる。
「大丈夫ですよ。私たちも一応冒険者ですので」
「そうでしたか…」
「こいつらどうしましょ?」
「本当なら門兵なりに引き渡すとこですが、手続きとか面倒くさいですよ」
「でしたら…放置していきましょうか。悪人ですし…魔物が処分してくれますよ」
それを聞いた4人組の顔が真っ青になり、命乞いしてきた。
「助けてくれ、悪かった。金に目が眩んだんだ」
4人組を1箇所に集めると…
「さすがにこのままだと、確実に死んじゃいますから…チャンスあげますね」
「チャンス?」
「ええ、運が良ければ助かりますよ」
リンに近寄り…
「あいつらの足元に穴空けてくれる?」
「うん❮ピットホール❯」
「うわぁぁぁ~」ドサッ
「そこなら、もしかしたら助かりますよ~」
「助けてくれ~俺たちが悪かった。もうしないから頼む!」
リリスたちと御者は4人組を放置し、もう一眠りするのだった…。
朝になり、出発前に4人組の顔を見たがギロッと睨まれ、まだ反省していないようだったので助ける気が無くなり、そのまま放置して次の町ルビードへ向かう。
それからは何事もなく、無事ルビードに到着。少し休んだらナーレに帰るという御者にあの4人組の事の報告を門兵にと頼んだ。
「手続き面倒くさいとの事なので、気が向いたらでいいので頼めますか?」
「わかった。後は任せて下さい」
「ありがとう」
「あんなのじゃ寝た気にならないよね?」
「うん。寝たり起きたりね」
「今日はこの町でゆっくりしようか?」
「うん」
リリスたちは門兵にギルドカードを見せ、町に入って行くが…この町ルビードはナーレより小さく、お店も少なかったのですぐに良さそうな宿を見つけ入った。
「いらっしゃい。1人1泊銀貨1枚だよ」
「ちょっと高いけど、仕方ないか…じゃあ銀貨2枚ね」
宿の店主に今回使うお部屋に案内されると、2人してベッドに飛び込んだ。
リリスは気になっていた事があったので今聞いてしまおうとリンに話しかける。
「ねぇリン?」
「なぁに?」
「昨日、私が違う名前出した時、返事まで間が長かったけど何か考え事でもしてた?」
するとリンは、リリスの横に座り直し…ゆっくり話だした。
「私ね…村にいた頃から変な記憶があって…」
「変な記憶?」
「お母さんが目の前で死んじゃった時から、この前村に戻るまで忘れてたんだけどね…」
「うん」
「どこか遠い遠い世界に私はいたの。そこには馬車じゃなくて硬い鉄の塊が馬車のように動いてたり、背の高い建物がそこら辺に建ってたり、夜になっても町はピカピカ光ってまるでお昼みたいな感じだったり、道もここのボコボコな石だらけじゃなくて綺麗にされてて、真ん中に白い線が引いてあったり、所々に赤・黄色・青に光る物が建ってたりする世界。私はその世界のどこかの子供で、ある日私はこの世界でいう孤児院?みたいなところに連れて行かれて、これからそこで生活することになってね…その孤児院にいた年上のお姉さんとずっと一緒にいたの。何をするにも付いていって、一緒にお風呂入ったり、一緒に寝たり、一緒に遊んだり。でもある日…孤児院からお別れすることになっちゃって…知らないおじさんとおばさんに連れられて、鉄の塊の乗り物に乗って……そこから覚えてないや」
そこまでリンが話しリリスの顔を見ると…すごい驚いた顔でリンを見ていた。
「も、もしかして……夢ちゃん?夢ちゃんなの?」
「え?なんで私の記憶の中の名前知ってるの?」
「私も変わっちゃったからわからないか」
「え?変わったって……え?え?私の変な記憶信じてくれるの?」
「信じるもなにも……そのお姉さん、私だよ?真夜だよ?」
「マーヤって…マヤ…まや…真夜?真夜お姉さん?」
「うんうん。そうだよ」
「えええええええ!!な…なんでここに?」
なんと!リンはリリス(真夜)がずっと気になってた夢だった!!!
「説明するから待って。とりあえず落ち着いて。はい、深呼吸」
「す~は~す~は~。落ち着いた」
「その記憶は乗り物に乗った後、事故にあって死んでるの。その後、神様と会って助けてもらって、リンになってると思うよ。それ前世の記憶」
「前世の記憶…」
「でね…私も半年後に死んでるのよ。助けてくれたのは悪魔だったけどね…」
「悪魔…だから魔族なんだ?」
「そう。助けてくれた人は違うけど、私たちが一緒にこっちの世界で暮らして生けるようにしてくれたんだよ」
「そっかぁ……ふふふ」
「ん?どうしたの?」
「ううん、私たちやっぱ運命だったんだねってね」
「そうだね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます