第28話 目指すは王都!

 リンの両親のお墓に挨拶する2人…

 「初めまして。リリスです。娘のリンちゃんは私が妹として大切に守ってます。安心して眠って下さい」

 「お父さん、お母さん。私を助けてくれたお姉ちゃんだよ。私もう…1人じゃないんだよ」


 「さて、これからどうしようか?」

 「王都まで遠いのかな?」

 「リンはやっぱり王都行きたいよね?」

 「…うん。ティムちゃん…」

 「だよね…ナーレの領主から情報漏れてたら危険なのは私だろうな」


 2人が持っている地図には町の場所に印は付いてるけど、名前も書いてないからどこが王都なのかもわからなかった。


 「1度ナーレに戻ろうか?入らなくても門兵のアダンさんに王都の場所くらい聞けるかも知れないね?」

 「そうだね」


 1度ナーレに戻ると決まり、来た道を引き返し歩き続けると遠くに私たちが住んでいた教会が見えてきた。


 「教会寄れるけどどうする?」

 「そんなに疲れてないから大丈夫だよ」

 「わかった。このままナーレ向かうね」


 住んでいた教会には寄らずそのまま歩き続け、ナーレの入り口付近まできた2人。

 「まずアダンさんに王都の場所聞いて、ついでに奴隷商人の事聞いてみよ」

 「うん」


 町の入り口に着いた2人は門兵を探す…

 「アダンさんどこだろ?」

 「お休みかな~」


 別の門兵を見つけたので聞いてみる。


 「あの…」

 「あ?なんだ嬢ちゃん」

 「アダンさんはお休み?」

 「あ~あいつは王都に別の仕事で行ったよ」

 「え~!そっかぁ…」

 「でも、お姉ちゃん向こうでまた会えるかもだよね?」

 「そうだね」


 じゃあ冒険者ギルドにするか…

 「町入っていいですか?はい。ギルドカード」

 「どれどれ?おう。大丈夫だ」

 「アダンさんいないからギルマスに聞こうか?」

 「うん。知ってる人のがいいもんね」


 門兵のアダンは仕事で王都に行ってしまったとわかり、他に親しい知り合いは冒険者ギルド員しかいないため冒険者ギルドに向かうことにした2人。

 冒険者ギルドに到着し受付にいるヒルデと話す。


 「あら、ここに来て大丈夫なの?」

 「え?今着いたばかりだよ?」

 「ここの領主が、結構根に持ってるみたいよ」

 「あらら…まじか」

 「ところで今日はどうしたの?」

 「聞きたいことあって、ギルマス会えますか?」

 「ん~たぶん大丈夫かな?呼んであげるから2階の個室行こうか」


 2人はヒルデに個室に連れてきてもらい、ギルマスを呼んでもらった。


 「お~ちびっ子。元気か?」

 「うん。今日は聞きたいことあってきたの」

 「おう。なんでも聞いてくれ」


 リンの村に行ってきた事、生き残りが2人いてその内の1人小さな女の子が王都から来た奴隷商人に連れて行かれた事を知らせる。


 「つまり…王都の場所とその奴隷商人を知ってるかだな?」

 「うん」


 地図を広げ…

 「まず、王都サレンはここだ。この町から北東、歩くなら大人の足でも10日間はかかるぞ。次に、奴隷商人だがわりぃなこの町からじゃ王都の事はあまり入ってこないんだ」

 「いえ、王都の場所がわかったので大丈夫です。あと…ここの領地ってどこまでなの?リンの村って入ってないの?」

 「あの村は森の中だから、どこかの領地とかないんじゃなかったかな…?」

 「ここの領主なら怒ってやるつもりだったのに…残念」

 「ははは…ちびっ子に怒られる領主か、見てみたいもんだ。王都の偉い人に聞けばわかると思うぞ。あの村から一番近いのはこの町だからここだと思うけどな」

 「ありがとう。どっちも王都行かないとだね」

 「だな。でもお前たち気をつけろよ?ここの領主、最近やたらギルドに顔だしてお前たちの事調べてるぞ」

 「ありゃ~本当に根に持ってたかぁ」

 「貴族だからプライド高いんだよな~何か起こる前に早く町を出ろ」

 「うん。そうする。ギルマスありがとう」


 2人は冒険者ギルドを出て、町の外へ向かうと町の入り口付近で乗り合い馬車を見つけた。


 「この馬車どこまで行くの?」

 「これは隣町ルビード行きだよ」

 「そっか~王都行きの馬車ってどこかあります?」

 「乗り合い馬車はだいたい近い町同士でやっとるから、1町ずつ王都に近付けばそのうち王都行き出てくると思うよ」

 「そっかぁ。そうだよね、じゃあ2人乗ります。おいくらですか?」

 「2人なら銀貨2枚だね」

 「はい」

 「じゃ乗って。もう少しお客さん待つから待っとっての」

 「はぁい」


 ナーレの町で乗り合い馬車を見つけ、初めての馬車の旅がはじまる。

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