第27話 お墓を作ってあげよう
「そっか…父親の悲鳴と母親を目の前で斬られたのを見て記憶がなかったのね」
「うん」
「大丈夫?もし、体残ってるならお墓作ってあげたいんだけど?」
「ありがと。私はもう大丈夫だよ」
2人は今にも潰れそうな家の扉を開ける…そこには体中に数十ヶ所も斬られたり刺されたりしたキズがある体が転がっていた。
リリスは遺体に近寄り「ごめんね。お顔見せてね」と言い、顔を仰向けにする。
「リン…どうかな?お父さん?」
返事は聞くまでもなかった…。
「う、うわぁぁぁん。お父さん、お父さ~ん」
リリスはリンに近寄り何も言わずに抱きしめる。リンを抱きしめたリリスはよしよしと頭をなでて、落ち着かせようとする。
数分後…落ち着いてきたリンにお母さんの居場所を尋ねる。
「リンはお母さんとどこから村の裏にでたの?」
「そこの扉から外に出て、この家の裏から村の柵を超えて村を出たはず…」
「わかった。お母さんも探しにいこうか?一緒にお墓入れてあげよ。案内できる?」
「…うん。たぶんできる」
お父さんの遺体に…
「また後で来ます。もう少しだけ我慢して下さい」
「お父さん、お母さん連れてくるからね」
2人は家を出て裏に回る。
「この柵超えてずっと真っ直ぐ走ったと思う」
「わかった。行ってみよう」
5分程歩いた時、リリスの鼻に血の臭いがした。キョロキョロするリリス。
「どうしたの?」
「血の臭いがするの…近いかも」
さらに歩くと…女性であろう遺体があった。
その遺体は裸で全身キズだらけ、さらにすごい深いキズが1つ付いていた。(この深いキズ1つで致命傷だったはずなのに、亡くなる直前まで体をおもちゃにするとか…ありえない)
リリスはもう1度「ごめんね。お顔見せてね」と仰向けにすると…リンが泣きくずれた…。もう1度リンを抱きしめよしよしするリリス。
数分後…落ち着いたリンに…
「お母さんで合ってるのね?」
「…うん」
聞くまでもないけどリリスがお母さんの顔知らないので確認した。
血の臭いで魔物がくるかと思ったが、お母さんの遺体もなんとか無事に見つけた。
ポーチから一番大きな服を探し、子供用だけどないよりは…と裸を隠してあげた。
さすがに大人を担ぐのは無理なので…どうしようか?と悩む2人、試しに担いでみるがやっぱり無理…。どうにかできないかと、ルシファー様からもらった本を見てみると…マジックバックに❮生き物を入れる事はできない❯と書いてあった。
「生き物…つまり生きて動いてる者。試してみるか…」
「リン?このマジックバックに入れて連れていけるかも?」
「やる!私のポーチでいいから!」
「できるとは…かぎらないよ?」
「わかった。その時は考えよ」
「じゃあ1度ポーチはずして、こっちに向けてバッグの口を開けてみて?」
「うん」
母親の遺体にマジックバックを近づけるリン、リリスはマジックバックの口に母親の腕を近づける。すると…体の一部がマジックバックに触れた事でスルンと体がマジックバックに入っていった。
「やった!成功」
「よかったぁ」
「お姉ちゃんありがと」
「うん、まだまだやる事あるよ」
「うん」
「さぁ戻ろう」
村に戻ってきた2人はポーチから母親の遺体をだし寝かせる。
お墓作ってあげたいけど…幼女の力で穴ほりは無理だし、さすがに今回はルシファー様からの本を見てもどうにもできなくて悩む2人。
とりあえず、遺品の整理をしようと…
「リン?家に大事なものとかある?」
「大事なもの?」
「うん。お父さんかお母さんにこれは大切な物なの。とか聞いてない?」
「聞いたことないかも」
「そっか…じゃあ埋める準備しようか」
「お母さん、お父さんと一緒にしてあげるね」
両親の結婚指輪を形見として指からはずし、自分の指に着けてみると…頭の中に❮土魔法:ピットホール❯が浮かんできた。
「お姉ちゃん!お母さんの指輪着けたら土魔法覚えたよ」
「もしかしたら、使える魔法かも…やってみよ」
少し広い場所に行き❮ピットホール❯を唱えるとボコッ!と落とし穴があいた。
「やった。これで埋めてあげれるよ」
「あっそっかぁ。やった~」
「もう1度ポーチに入ってもらって連れてこようね」
「うん」
2人はお父さん、お母さんの遺体を同じ穴に入れ土をかぶせていった。違う場所にもう1つ穴を空けティムの祖父の遺体を入れ土をかぶせてあげた。
他の村人にもお墓作ってあげたかったが、まともに体が残っているのはこの3人くらいだった…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます