第25話 光魔法ヒールの効果

 「わ~い、わ~い」

 「お姉ちゃん。またすごい喜んでるね」

 「だって~これも欲しかったもん。万能ナイフみたいな武器で投げナイフとしても使うから、いっぱい持ってないとなんだけど…自分の魔法で出せちゃうんだよ」

 「そうなんだ。荷物もなくなるし自分で出せるなら助かるね」

 「リンは2つも覚えたの?」

 「うん。ライトボールとヒールだよ」

 「いいね。お薬も節約できるね」

 「うん。そうだね」


 新しい力でとても欲しかった、くないを再現できたリリスは大喜びしていた。

 一応、リリスは白骨化したミイラと落ちていた羽にも触ってみる…リンも白骨化したミイラを触り、固まってない血をぺろっとなめてみるが、さすがにこれ以上の力はもらえなかった。

 2人は隠し部屋を出て、仕掛け本棚を元に戻し上の部屋へ行く。


 リリスは(リンがヒール覚えたのよね…ヒールってケガには効くけど病気には効かないのかなぁ?)と思い考えはじめた。…これは試すしかないかなぁ。


 リリスとリンでテーブルを挟み、向かい合わせに椅子に座ると…

 「リン?さっきヒール覚えたよね?」

 「うん」

 「リンはこの教会にくるまでの事覚えてる?」

 「え?いきなりどうしたの?頭痛くなるのやだよ」

 「…ちょっと試してほしいことがあって」

 「頭痛いのをヒールするの?」

 「…うん」

 「この頭痛いのってなんだろ?私、病気になってるの?…」

 「落ち着いて。その頭痛いのはたぶん…何か嫌なことがあったショックで、頭が思い出そうとするのを嫌がってるのかも」

 「私、何か大事なこと忘れてるのかなぁ?」

 「そうだと思うよ。村が盗賊に襲われたってとこまではわかってるから、何か見たのかも?知れないね」

 「そっかぁ…」

 「もちろん、嫌ならしなくていいからね?頭痛い時にヒールを自分に使わないとだから、できるかわからないし」

 「うん。ありがと。少し考えてみるね」


 ヒールがもし記憶喪失にも効果があるなら…何かわかるかも。


 リンを1人にしてあげようと…

 「今のうちにお庭の草と葉っぱ、全部ポーチに入れてくるよ。リンはゆっくりしてて」と、外へいく。


 リリスがお庭から戻ってくるとリンが頭をかかえて唸っていた。


 「う~う~」

 「ちょっ、リン大丈夫?リン?」

 「もう少し…」

 「え?なに?大丈夫なの?」

 「う~う~…ヒール!」


 リンは1人でヒールを試していた。


 「ふぅ…おさまった」

 「もう!やるなら私に言ってからやってよ!心配したんだから…」

 「えへへ…ごめんね。お庭から戻ってきて治ってたらびっくりすると思って」


 とりあえず落ち着こう。椅子に座る2人。


 「それで…どうだった?何か思い出した?」

 「少し思い出したよ。両親と3人で生活してた。…後、1人幼馴染みがいたはず」

 「幼馴染み?リンと同じくらいの子?」

 「うん。いつもその子と村で遊んでたはず…名前は確か…【ティム】ちゃん」

 「まだ何か思い出した事ある?」

 「村は大人の人ばっかりだったから、子供は少なかったかも…今はこれぐらい」


 椅子から立ち上がり、リンの側によるリリス。リンの頭をなでなでしながら…「よくがんばりました」と一言。

 リンは嬉しそうに頭をリリスに寄せてくる。寄せてきたリンの頭をなでながら優しく抱きしめるリリス。


 「リン?これからの事なんだけど…」

 「もう、わかってるよ?お姉ちゃんそんな顔しないで?村どうなってるか行くんだよね?」

 「…うん。リンの両親に挨拶しなきゃね」

 「どうする?すぐ出発しちゃう?」

 「そうだなぁ…今日は予定どおりゆっくりして、早く寝て明日ここ出ようか?もうここには空っぽの木箱しか残ってないし」

 「…うん」

 「ん?どうしたの?」

 「ううん。幼馴染みのティムちゃん思い出したら寂しくなっちゃって…」

 「そかそか…はい。おいで」ポンポン

 「うん。お姉ちゃん」


 リンの記憶が少し戻り、3人で生活していた事、幼馴染みにティムちゃんって子がいた事がわかった。次に目指す場所はリンがいた村に決まった。

 幼馴染みを思い出したリンは寂しそうにしていたので、リリスは横に座り膝まくらするのだった…。

 のんびりした時間が過ぎていった。

 明日にはここを出ていくと決めている2人は夜ご飯にパン、果実、屋台で買った串焼きを食べ、リンに❮ウォーターボール❯を少し水瓶に出してもらい…2人仲良く体を洗ってパジャマに着替えベッドに向かう。


 「寝る前に魔力ぐるぐるしとこうね。魔法使えなくなるのは嫌だもんね?」

 「うん」


 魔力ぐるぐるさせ、体がポカポカしてきたら一緒に寝るのでした。

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