第22話 待望のリボン
「返事を!さぁ早く!」と急かすとメイドがおどおどし始め、アルベルティーヌを見るが今はそれどころじゃないとわかり、領主の方を見ていた。
「チッ!ああーもうわかった。娘の負けとする」
(え?今、領主チッって言った?…今は黙っとこ)
「おい。早く言う通りにしてやれ」
「は、はい」
今は言う通りにした方がいいと思った領主がメイドに離してやれ。と命令する。
リリスに近寄るリン…
「大丈夫?痛い事されてない?」
「うん…大丈夫みたい」
「さぁ終わっただろ?早く娘を離せ!」
「いえ、まだです。これは神聖な決闘なんですよね?アルベルティーヌさん」
「ええ…そうですわね」
「わかりました」
やっとリンが解放され、言う通りにしてやったから次はこっちだと言わんばかりに娘も早く解放しろ!と言ってきた。
リリスはこれは神聖な決闘ですよね?とアルベルティーヌにわざと確認をし、メイドの前まで歩いて行き、ぴょんとジャンプしメイドの頬に「バチーン!」とビンタした。
「な…なにするんですの?」
「いえ、神聖な決闘を人質取るとか汚ない行為するからお仕置きですよ」
「そ…そうですわね」
「アルベルティーヌさんあなたが言った事ですからね。それでどうします?その状態でまだ続けますか?」
「わかりました。私の負けですわ」
人質を取ってまでリリスたちを手に入れようとした領主の娘アルベルティーヌがやっと負けを認めた。
「わかりました。では、私たちはこの町を出て自由にさせてもらいます。では…」
「ちょ、ちょっと待って下さいまし。ここから出して頂けませんか?」
「私たちが町を出るまでそのままです」
「な!なんでだ?」
「私たちの身が危ないからですよ。さっき領主もチッ!って言ってましたし…今度はこっちが人質を取る番です」
「むむむ…」
決闘は終わったが、この後も面倒な事になりそうな気がしたリリス。領主の舌打ちで猫を被っていると思い、人質を取る形で安全に町を出ようとするのでした。
「じゃ行こうか?」
「うん」
「覚えておれ、いずれ痛い目に合わせてやる!」
「魔族の私には人族の権力なんて効きませんよ。あなた1人の考えで魔族と戦争になりますがいいですか?また昔話のように繰り返しますか?」
「…クソッ」
捨て台詞を言ってきた領主。なかなか謝ってこない事にスッキリとしないリリスは少し脅してやろうと、ありえそうなことを並べ領主を黙らせた。
「最初はいい人そうだったのに…すごい本性だったね」
「ね~見た目じゃわからないね」
「そういえば、あれって新しい魔法?」
「そうだよ。ピンチの時、頭に浮かんできたんだ」
「格好良かったけど、あれって長いよね?短くできたら、お姉ちゃん好きそうなのに…」
「それだぁ!ありがとリン」
領主の屋敷から出て、町を出ようと歩きながら会話する2人。リリスの新しい魔法を見ていたリンが新しい技を閃いてくれた。
「もうこの町に来れないからお店見てみる?お金あまりないけど…」
「いいの?私たちが町出ないとあの人あのままじゃ?」
「いいよ。お仕置き♪」
「そっか、悪い人にはお仕置きだね。結局、最後まで謝らなかったし」
「でしょ?だからいいの」
謝られてない事にまだ腹を立てているリリスは、少しでも町を出るのを遅くしてやろうと寄り道し始める。
2人はこの町に来て、初めてお店を見てまわった。
武器、防具屋にて…
「やっぱり片刃の剣って無いんだなぁ…防具は大人用ばっかりかぁ。私たちが今つけれるのってないのかなぁ?」
「お姉ちゃん、じゃあ服屋さんいこ?」
「うん。いいよ」
服屋さんについた2人…
「わぁ~綺麗」
「かわいい~」
「リンは欲しい物あるの?」
「うーん。考えたことないかも…じゃあ、お姉ちゃんとお揃いで何か欲しい」
「あっ!じゃあさ、私欲しいのあるんたけど…リンもそれでいい?」
「うん。いいよ~」
「すみません。リボンありますか?」
「リボン?」
「髪の毛を結ぶ可愛い布なんだけど…」
「あ~はいはい。あれでいいかな~」
お店の人は赤と緑の端切れを1枚ずつ持ってきて、縦長く切り最後に切り込みを入れて可愛いく仕上げてくれた。
「これでいいかい?」
「うん。ありがとー。おいくらですか?」
「捨てるだけの余った端切れだから、銅貨1枚ずつの銅貨2枚でいいよ。後これハンカチね。サービスでつけてあげる」
「ありがとう」
武器、防具屋さんではいい物に巡り合わなかった2人、次に行った服屋さんでリリスがずっと欲しかったリボンがやっと手に入りました。
「お姉ちゃん嬉しそう~」
「うん。欲しかったんだぁ…やっとポニーテールできるよ。お揃いしようね~」
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