第19話 濡れ衣着せられた?

 次の日、2人が目覚める。パジャマをポーチにしまい、木の短剣を差しいつもの服に着替える。


 「おはよ。お金あるから宿の朝ご飯食べてみようか?」

 「おはよ~。うん」


 部屋を出て食堂に向かう。


 「朝ご飯食べるかい?」

 「うん。お願い」

 「2人で銅貨3枚もらうね」

 「はぁい」


 パンとスープと細かく刻まれたウサギ肉が入ったサラダを食べる。

食べ終わるとポンポンとお腹を叩く。


 「ごちそうさま~」

 「あいよ。美味しかったかい?」

 「うん」


 今日はローラ捜索に参加するからギルドに行かないと。

 宿を出て、冒険者ギルドへ向かう2人。ギルドに到着すると受付の前でギルマスとカーラを発見した。


 「昨日、森を捜索したが見つけられなかった。今日はもう少し奥も捜索するから、わるいが予定通り休憩場として教会を提供してくれると助かる」

 「うん。わかった」

 「もう少しここで待機してくれ、人が集まったら出発しよう」

 「は~い」


 領主は人手を出そうとしないので、ギルマスとカーラと冒険者6名とリリスとリンの10名で捜索に出ることになった。

 森では魔物が現れたが、リリスたちは大人の後ろで守られ直接退治することはなかった。


 みんなの疲れが見え始めた頃、2人が住んでいた教会が見えてきた。

両開きの扉を開け、みんなを礼拝堂の広間に案内する。


 「あの像、見たことないよな?」

 「ああ、町の教会にある像とはちがうな」

 「でも、ここはどうみても教会だよな~」

 「ここで良ければ使ってください」

 「助かるよ。ありがと」


 リリスたちは自分の部屋で一休みしていると…そこにカーラがやってきた。


 「へぇ~中はこんな感じだったんだ。前は広間だったからちょっと気になってね」


 カーラが部屋の中をキョロキョロ見渡し始め、本棚に残っているあの本に気づいた。本を触るカーラ…すると、ガコッ!と音がなり本棚は横にズレ始めた。

 そこに現れたのは隠し部屋への通路…カーラはどんどん進んで行き、隠し部屋に入る。


 「え?何この部屋。きゃあぁぁぁローラ!」


 そこにはローラが…魔法で扉を開けようとしたのか、魔力切れを起こして倒れていた。カーラはローラに駆け寄り肩に腕をまわして部屋を出ようとする。

 カーラの叫び声を聞き、広間で休んでいた冒険者たちがどんどん地下へやってくる。


 「え?なんじゃこの部屋は!」

 「どう見ても拷問部屋じゃね~か」

 「とりあえず、みんな上の広間へ行け」


 ギルマスは、カーラ、ローラ、冒険者に広間で待ってろと言い、ベッドのミイラ、突き当たりの磔、足元の羽を調べていく。

 調べ終わったギルマスが広間に戻ってくると…


 「この潰れかけの教会…もしや魔族か?あの像…人族にない物だ」


 ギルマスの話を聞いたみんな、リリスたちを見るが…

 「たまたま使える部屋があったから住みついた感じか?」

 「まさか、こんなちびっ子が」


 ギルマスが…

 「リンは村を襲われて、ここに来たんだよな?」

 「…うん」ズキッ

 「リリス、お前は?」

 「気づいたらここにいた…」


 リリスの言葉に一同しーんとするが、ギルマスが「ローラは見つかった。町に帰還するぞ」と空気を変えてくれた。

 町への道中では会話がなく、嫌な空気になっていたが…無事に町についた。

 ローラはカーラに付き添われ実家に帰っていった。

 リリスとリンは教会での事があったので…


 「様子見のため、今日はギルドに泊まってもらう」


 ギルマスと一緒にギルドへ向かっていく。

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