第18話 魔法を使ってみよう

 次の日、2人は目を覚ますとパジャマを脱ぎポーチへしまい、いつもの服に着替える。もちろん、嬉しそうにポーチのベルトに片刃の短剣を差していく。

 果実とパンをポーチから取り出し食べながら、今日の予定を考える。


 「さすがにまだお金が無いのはヤバいね」

 「うん。何も買えないもんね」

 「今日はギルドでお仕事もらおうか?」

 「そうだね~」


 今日の予定が決まった2人はさっそく宿を出ようとする。


 「おかみさん行ってきます」

 「あいよ。いつでも泊まりに来ていいからね」

 「ありがとー」


 2人並んで、手を繋ぎ冒険者ギルドへ向かっていく。ギルドに到着し受付のヒルデに薬草採取のお仕事を紹介してもらい、見本の薬草を見せてもらう。


 「この草を持って来てくれるかな?10本を1束にして1つ銅貨2枚で買い取るよ」


 2人は見本の薬草を見せてもらい、薬草の生えていそうな場所を聞いていると…個室があった2階の方からカーラとギルマスが降りてきた。


 「お?いいところに…俺たちはこれからあの教会付近でローラ捜索をしてくる。今日は参加しなくていいんだが、もし今日何も見つからなければ明日手伝って欲しいんだが…大丈夫か?休憩場所として教会の広間を提供してほしい」

 「うん。大丈夫だよ」

 「そうか。ありがとよ。また明日の朝ここに来てくれ」

 「はい」


 2人は薬草を取りに町の外に向かう。門兵のアダンにギルドカードを見せながら…


 「今日はギルドのお仕事かい?」

 「うん。薬草取ってくるの」

 「そうか、気をつけてな。それと…ローラが行方不明の事は領主様にも一応伝えてある。リリスたちはローラがいなくなる前に会っていた人ってことで、もしかしたら聞かれるかも知れない」

 「わかった~」


 門兵のアダンとの会話が終わり、ナーレから近い森の中へ入っていく。


 「お姉ちゃん、これでいいんだよね?」プチプチ

 「たぶん…合ってる」プチプチ


 2人が薬草を取っていると茂みからガサガサと音がする。ガサガサ…茂みの中から角がはえたウサギが現れた!


 「かわいい~。けど…どうやらウサギさんやる気マンマンみたいだね」

 「リン、魔法使ってみようか?」

 「うん」

 「私からいくよ~❮ダークボール❯」


 いきなり現れたやる気マンマンのウサギさんに覚えたての魔法を使ってみるリリス。リリスが使ったダークボールの魔法は、対象の頭上に黒い玉を浮かべて、対象の足元に影を作り出すという魔法だった…。


 「へ?これ…なんの効果あるの?ウサギさんに影が出来ただけ?むむむ…なら、こっちは?❮血の操作:網❯」


 すると、真っ赤な血の色をしたネバネバの投網がウサギに絡みついた。


 「おぉ!こ…これはくのいちさんの蜘蛛の糸そっくり!」


 ウサギは自由に動けず、網の中でもがいている。


 「次は私だね。❮ウォーターボール❯」


 見事にウサギを水の玉で包み込み窒息させたリン…ウサギはもう動かない。

 初の魔法戦闘も終わり、一瞬ふらっとしたリリス…


 「お姉ちゃん大丈夫?」

 「大丈夫だよ。さぁギルドに帰ろう」

 「このウサギも持ってくね」


 リリスが使った血の操作はリリスのみが使えるスキルで、名前の通り自分の血を武器等に真似させるスキルのため、血を使うリリス自身も体力が少し減ることになる自滅技に近いものだった…。


 ギルドに戻り受付のヒルデに取れた薬草とウサギをカウンターに置く。


 「薬草採取の依頼完了です。3束なので銅貨6枚になります。あとウサギはあっちの受付で解体と素材の買取してもらえますよ」

 「はぁい、ありがと」


 解体の受付でウサギを出して、肉以外を買い取ってもらうことにした時…


 「これも売れる?」

 「…!。ああ、大丈夫だ」


 教会のお庭で取れた薬草や葉っぱを少し取り出し目の前に置いたら、少しびっくりされたが買い取りは大丈夫だった。ウサギの肉以外と追加した草と葉っぱで銀貨2枚になった。


 ウサギの肉が手に入って喜んでいると…

 「すぐ食べたいだろうけど、ギルドの食堂はあらくれ者がいっぱいで子供には危険だ。宿に帰っておかみさんに作ってもらえ」


 リリスたちは今日の宿の確保と一緒にこの肉でご飯もお願いしに宿へ向かう。


 「おや?今日も来てくれたのかい。」

 「うん。お部屋と…これお料理して欲しいんだけど?」

 「あいよ。じゃ全部で銀貨1枚だけどいいかい?」

 「うん。はい」

 「お部屋は昨日と同じね。お部屋で一休みしたら降りておいで」

 「はぁい」


 2人は食堂に行き、ウサギ肉の串焼きとパンとスープをもらい食べていると…「あっ、私赤い飲み物いるんだった…」とボソッと言い、おかみさんに銅貨1枚でトマトを搾ってもらいジュースにしてもらいご飯と一緒に食べた。

 お腹いっぱいになった2人はお部屋に戻り、パジャマに着替えて魔力をぐるぐるさせて体をポカポカにしてから、一緒のベッドで眠るのでした。

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